青い鳥は夜を駆ける2

ガコン、と缶が落ちる音がする。要舞はコーラーの缶を自動販売機から取ろうとその場に屈んだ。

コーラー缶を取れば葵の横へと座る。

彼はいちごミルクの入った牛乳パックを持っていた。

「葵、夜中にそんなの飲んで大丈夫…?」

思わず問いかければ葵は、ハハッと笑った。

「要舞くんこそ…身体に悪くない?」

お互いの飲み物を見合えば二人は声を上げて笑った。

「確かに、夜中にコーラーは身体に悪いよね。今日だけ今日だけ」

うんうんと葵も頷く。

そしてぐ、と拳を握りしめた。

「大丈夫だよ、夜中は一周まわって早朝だから、きっと。だからいちごミルクも、牛乳だしセーフだね」

安心して飲もう、と葵が微笑んだ。

楽しそうに笑いつつも要舞が葵に寄りかかる。

「時折思うんだけど、葵って発想が面白いよね」

そういうところ好きだよとくすくすと笑う。

その言葉に葵は首を傾げた。

「そうかな?普通だと思ってたからそう言われると嬉しいかも」

照れくさそうに笑えば遠慮がちに要舞の頭へと手を置いて撫でる。

嬉しそうに要舞が笑えば肩へと顔をぐりぐりと押し付けた。

「ふふん、よかったよかった。葵のこと僕がいくらでも褒めてあげるよ!」

得意げに笑えば頭を撫でる手を取った。

「そういえば」

ふと、葵が問いかける。

その言葉に要舞が何かと首を傾げた。

「ん?なぁに?」

きょとん、とした顔で葵を見上げる。

「要舞くん、なにか話すことがあったんでしょう?聞くよ」

その言葉に要舞がそうだったねと頷いた。

「うん、話させて欲しいな…でも、多分…ここじゃあれだから僕の部屋でもいい?」

少し震えた声。視線を落とすと彼の手が震えていた。

その言葉に葵は肯定するように頷く。

「勿論だよ、聞かせて?」

大丈夫だと言うように震えた要舞の手を葵は優しく握りしめる。

自動販売機の灯が二人を灯していた。





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