春風のプリンシピオ4

要舞が起きた。

その事に葵は大きく安堵する。

要舞は眠っていた時にとてもうなされていた。

嫌な夢でも見ていたのだろうか。

いや、きっと御影の夢だ。

要舞があそこまで声を上げる相手。

何度も彼の口から零れる御影の名。

そう、考えると、どう考えても彼の夢だと推測できる。

嫉妬と悔しさが葵の心の中でぐるぐると駆け回っていた。

できるのならば、知らない方が幸せだった。

そう、考えながら目を覚ました要舞に安堵をする。

それと、同時に、それだけ御影を想える程の思い出があることに羨ましさが込み上げた。

もう、暗くなった空には星が輝いている。

葵は要舞の手をしっかりと握り締めては頬を緩めた。

「おかえり、要舞くん」

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