特別編 アナタは愛しのファンティーヌ

「ねぇ、エイトちゃん。今日私誕生日なんですよぉ」

金曜日の昼下がり、温室でお茶会をしていたエイトとエンジェフラワー。

突然、エンジェフラワーが麻雀の入門書を読んでいたエイトの顔を覗き込んで言う。

その唐突な言葉にキョトンとした顔でエンジェフラワーを見つめるエイト。

「え……誕生日なの?知らなかったなぁ」

どうしようかなぁとうーんと考え込みつつ、麻雀の入門書を閉じて机へと置く。

トントン、とエイトの頬をエンジェフラワーが突っついた。

「そんなに考え込まないでくださいよぉ。せっかくのお祝い事じゃないですかぁ」

ぷくり、と不満そうに頬を膨らませばエイトの頬を引っ張った。

「はは、ごめんねエンジェ。もう少し早く知ってれば何か渡せたんだけど……」

その言葉にエンジェがエイトの顔へとグリグリと顔を押し付ける。

「そういうの、無くて良いんです。私はエイトちゃんにお祝いされたいだけなんですよぉ」

だから、気負わないでくださいとエイトの事を抱き締めれば顔を見つめる。

その言葉にハッとすればエイトはエンジェの頭を優しく撫でた。

「そうだよね、失念してたや。……エンジェ、生まれてきてくれて、僕と出会ってくれてありがとう」

お誕生日おめでとう

大好きな相棒

そっと微笑めば、己の肩に頬を預けるエンジェの頭を優しく撫でた。

温かな光が二人を見つめている。

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