特別編 二人だけ、秘密のお茶会
温室へ来るといつもと言っていいほど、メルルちゃんという魔法少女がいるらしい。
らしい、というのは僕が忙しくて、あまり温室に来ないから。
僕はいつもエンジェにだけ会いたいから金曜日だけだけ。それ以外は生徒会の仕事をしている。
ある日、メリルちゃんにたまにはメルルちゃんと話してみたらどうかと言われた。
でも、メルルちゃんの事を僕はよく知らない。
三年生になって魔法少女になった子だとは聞いていた。
僕は二年生の時の二月に魔法少女になったから、僕の方が先輩だ。
彼女には先輩として接した方がいいのだろうか。
でも、同い年だと聞いているからそれはそれで気が引ける。
正しい答えは一体どれなんだろう。
そう、ぐるぐるとした想いが駆け巡る。
温室へと来れば暖かな空気が身体を吹き抜ける。
ここは魔法少女しか来れないらしい。
だから僕は魔法少女の姿でいつもここへと向かう。
温室の奥へと向かえば一人の少女がちょこん、と白い椅子の上に座っていた。
ふんわりとしたエメラルドグリーンの髪。
頭にはハートのお団子がちょこん、と二つ乗っている。
カメラの飾りに瞳の形のイヤリング。
空飛ぶ羽根の生えた不思議なカメラが彼女の回りを飛んでいる。
「は、初めまして!」
思わず僕の口から声がこぼれる。
らしくないな……どうしたんだろう。
急に話しかけられてびっくりしたのかメルルちゃんが瞳をぱちくりさせていた。
「え、と……は、初めまして……?」
彼女の口からも声が零れる。
思わずおかしくて笑ってしまった。
メルルちゃんもつられて笑う。
これが、僕達の出会いだった。
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