甘い紅茶はミルククラウンをつくる2

灯縁祭二日目。

今日も沢山の人で賑わっている。

休憩時間、ゆうきは別のクラスの二人を迎えに二人の教室へと足を進めていた。

遠くから賑やかな声とソースのいい匂いが漂ってくる。

外まで伸びる列に繁盛してるなぁと心の中で呟いた。

出口側の扉から顔を出せば二人を探す。

「あ、いました!」

ちょうど休憩時間になったのか、ほかのクラスメイトから焼きそばの袋を貰っている標と之彦を見つけた。

ゆうきは二人に手を振る。

「あ、ゆうきくん。お疲れ様」

ゆうきの姿に気がついたのか之彦が嬉しそうに駆け寄ってきた。

その後ろから標が付いてくる。

「お疲れ様です、二人とも。とても繁盛されてますね」

凄い列でびっくりしました、と視線を焼きそばを買おうとする人達へと向ける。

「すげぇだろ、まじでさ、暑くて暑くて汗止まんねぇの。思わず夏かと思ったぜ」

標が手をパタパタとさせて風を仰ぐ。

「確かに、標くんは焼きそばを焼く係りだったからね。一番暑かったんじゃないかな」

ボクも暑かったけど標君ほどじゃないかなと之彦が眉を下げて笑う。

「それにしても……」

標がゆうきへと視線を向ける。

「なんですか、標くん」

ゆうきがきょとん、と首傾げた。

「いや、すげぇ格好だな、お前」

標が思わず苦笑いをした。

それもそのはず、ゆうきは全力で羽灯縁祭を楽しんでいた。そのせいか、頭にはひょっとこのお面。

手には、りんご飴とチョコバナナ。腕には数々の買ったであろう屋台飯がぶら下げられていた。

ゆうきが再び焼きそばを買うのに並ぶ列を見て項垂れる。

「焼きそばも食べたかったんですけどね……こんなに列じゃ諦めざるおえません……」

残念です。とゆうきが眉を下げた。

「ゆうき……」

思わず標がゆうきの肩に手を置く。

「違う、そうじゃねぇ……」

之彦が苦笑いをした。

「お昼、食べに行こう?」

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