マシュマロの角は柔らかく4
「えっ、リリー先輩が僕達の話聞いてくださるんですか」
標の言葉に思わず彼の方へと振り返る。勉強していたノートを思わずくしゃ、と握りしめてしまった。
「嗚呼、そうらしいぜ。メルルさんが言っておいてくれたみたいだ」
さっきメールが来たとスマホをゆうきへと見せる。
「ボクにも見せて」
之彦が二人の肩に手を置いてスマホの中を覗き込んだ。
『こんにちは、標くん
今日リリーに君たちに魔法少女について教えてあげてくれないかって書いたら快く受け持ってくれたよ。
だから、安心して明日の放課後温室においで
葵』
そう、丁寧な文で記されていた。
「今どきメールでやり取りなんですね」
思わずゆうきが問いかける。
「嗚呼、葵さん携帯ガラパゴスケータイしか持ってないらしくってさ、マイン入れられないらしいぜ」
「嗚呼、それは入れれないね……」
今どき珍しい……と之彦が顎に手を当てる。
「まあ、趣味は人それぞれ、ですしね……」
ゆうきがフォローをしたのかしてないのか分からないフォローを入れた。
「大学行ったら買うんだってさ」
それまでこれでやり取りだなと標はメールに了解しました、と返信をした。
「ありがとうございます標くん。それにしても……今どき珍しいですね、ガラパゴスケータイなんて」
久しぶりにその単語聞きましたとゆうきが言う。
「俺も見た時思わずびっくりして声出しちまったよ。でも、葵さんカメラもよく良く考えれば昔のタイプのやつだしさ、もしかしたらアナログ派なのかもな」
「なるほど…そう思うと先輩なのに可愛く思えるね」
之彦が頷いた。
「確かに。それに甘いもんの好きらしいから今度なんかお礼にお菓子でも買ってくるかな」
「あ、それだったらボク料理部だしなにか作ろうか?先輩にでも上手く頼んでみるよ」
その言葉にナイス、と標が之彦の腕を軽く叩く。
「そういや、前ご馳走してくれたシュークリーム。あれ、美味かったもんな」
その言葉にゆうきが眉を下げる。
「え、狡いです標くん……僕も食べたかったです」
「良いだろ。めちゃくちゃ美味かったぜ」
「大丈夫だよ、ゆうきくん。作り方分かったしさ、今度一緒に作ろう?」
之彦が宥めるようにゆうきの頭を撫でた。
腑に落ちないです……と呟きつつも、こくこく、と首を縦に振る。
「じゃあ、明日、だな。」
「そうですね、明日温室に行きましょう」
「うん、そうだね、ちゃんと知って、子音くんが帰ってきてくれたら……」
そしたらきっと、
ボク達は君をめいいっぱい抱き締めるのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます