二十二章 ユニコーンは夢を駆ける

「リリーさん、魔法少女って一体なんなのでしょうか?」

学校の授業も無事に終わり、放課後温室へとユキ達は来た。

置いてある白い椅子へと腰かければ三人揃ってリリーの方をみる。

ミルクティーの入ったカップに口付ければリリーは一息つく。

そしてゆっくりと口を開いた。

「うぅん、そうね。魔法少女は……私達が幸せになるためにいる存在。かしら」

難しいわね、と苦笑いしつつソーサーの上にティーカップをカタンと置く。

「僕たちが幸せになるためにいる……?」

よく分からなかったのか首を傾げる。

「えっと、魔法少女は願いを叶える為に居るの。願いを叶えたくて魔法少女になるでしょう?その力を糧に私達は魔法少女になるの」

まあ、他にもあるのだけれど、と心の中で呟けばクッキーの入った缶を取り出してそれを開けた。

「つまり、魔法少女は願いを叶え合う存在ってことですか?」

シモンが難しいと首を傾げつつ問いかける。

「まぁ、多分。そんなところね。それに願いを叶えたい人間に男も女も関係ないでしょう。だから、私たちは魔法少女になっているのよ」

彼女の言葉に納得したのか頷く。

どうぞ、とクッキーの缶を空ければ一年生達に差し出した。

「ありがとうございます」

頂きますとシモンがいちごのジャムの付いたクッキーを手に取った。

「アリガトウゴザイマス!」

ユアが花型のクッキーを手に取れば嬉しそうに見つめる。

「頂きます」

ありがとうございますと礼を言いつつユキはピンク色のクッキーを手に取った。

口の中へと入れればさく、と齧る。バターの優しい甘さが口いっぱいに広がった。

「ふふ、どういたしまして。あ、そうだわ」

何か思い付いたのかリリーが手を合わせて一年生の方を見る。

「何か困ったことがあったらメアリーに聞くといいわ。多分、あの子は人の事を気にかけるところがあるから、きっとアナタ達の力になってくれるんじゃないかしら?」

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