流れ星は夢をみるか?6

そんな話をしていると、遠くから、ポチャン、という音がする。

「なんの音でしょう…?」

さらに『キュィン』という聞き覚えのない音というより鳴き声に近いナニかが聞こえた。

「それがドリームイーターかな。やっと見つけた」

倒しに行こう。

シモンがゆうきの手を引く。

手を引かれるままにシモンについて行くゆうき。

彼女の手を離れないようにしっかりと握りしめた。

「怖い…?」

その言葉に首を横に振る。

「いいえ、それよりもあなたが怪我をしないか心配です」 

その言葉に驚いたように瞳を大きく開くシモン。

そして嬉しそうに笑えばゆうきの手を強く握り返した。

「心配してくれてありがとう。思っていた以上にキミは肝が座っているようだ」

びっくりだよ、とシモンが笑う。

鳴き声のする方へと来ればソレ、はいた。

真っ赤なテディベアの頭だけがあるソレ。

黒い鳥の羽がついているぬいぐるみ。

口は縫われており、目は取れかけていた。

横に付属して、ドクドクと鼓動を立てているのは心臓なのだろうか。

とてもグロテスクだった。

バサバサ、と飛び回る生物。

ぽた、ぽた、と血のような赤い液体が零れ落ちていて、不快感を誘う。

何と言葉で表現すれば良いのか分からなかった。

「うわ、相変わらず気持ち悪い」

シモンのその言葉にゆうきが確かに、と頷く。

「なんというか…その、凄い見た目ですね…?想像よりも遥かに可愛くない気がします…」

その言葉がドリームイーターに聞こえたのか、ソレが大きく羽を羽ばたかせた。

ヒュッ

飛んできた風がかまいたちのようにゆうきの頬の表面を切り裂く。

つぅ、と生暖かい血が頬を伝った。

「大丈夫か!?」

思わずシモンが叫ぶ。その言葉にあ、これが素かな?とゆうきが心の中で呟いた。

大丈夫だと伝えるようにゆうきが首を縦に振る。 

「一般の生徒に怪我させやがって…………!」

許さない。そうシモンが小さな声で呟いた。

すぐさまポケットからコインを取り出ふ。

それを勢いよくピン、と親指で上へと弾く。

落ちてきたコインを握り締めた。

ビリッ

雷がシモンの手の中で鳴る。

シモンが大きく振りかぶった。

雷を纏ったコインをドリームイーターへと投げつける。

コインが分身する様に増える。

増えたコインがドリームイータへと直撃した。

ビリビリっとドリームイーターが感電する。

ボテ、と音を立てて地に落ちた。

砂埃が舞う。

「やったか…?」

砂埃が消え、視界が開ければドリームイーターが顔を出す。

何食わぬ顔でドリームイータが空を飛び始めた。

ダメージを受けた痕跡はない。

再び、ふよふよ、と飛び続けている。

「っ」

クソ、とシモンが思わず言葉を吐き捨てた。

ドリームイーターが反撃をしてくる。

大きく翼を羽ばたかせれば強い風が吹いた。

ゆうきが飛ばされ、よろけて尻もちを着く。

「ゆうき!」

カッターのような風がゆうきを狙っていた。

シモンがゆうきの方へと走り出した。

「来ないでください、シモンくん!」

その言葉にシモンが叫んだ。

「そんなこと言ってる場合か!」

ドリームイーターがカッターのような風をゆうきへと飛ばす。

反射的に身を守ろうと身体を丸める。ぎゅ、と強く目をつぶった。


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