流れ星は夢をみるか?5
「ツクラレタ…セカイ?」
ゆうきがよく分からないと首を傾げた。
「うーん…ここはとある反転世界なんだ。えっと、何年前だったかな…かなり前に、とある宗教団体があったらしいんだけど、己の欲望のためにここの世界の扉を開いたらしいんだよね。それを正義の魔法少女。ボク達みたいな魔法少女の一人が、己の身体と引き換えに本の世界へとドリームワンダーワールドを移動させたらしいんだ。それの後処理をボクらはしてるんだけど…」
詳しいことはよく分からないかも、と苦笑いする。
「じゃあ、僕みたいに迷い込んでくる人は沢山いるんですか?」
その言葉にうーん、とシモンが唸る。
「時折いるらしい、って先輩魔法少女からは聞いているんだけど、ボクが見たのは君が初めてだよ。でも、ドリームワンダーワールドに迷い込む一般人はドリームイーターっていうヤツに希望を喰われてしまうんだ」
だから、早くキミを外に出したいんだけど、とシモンが苦笑いする。
「どうやったら外に出れるんですか?」
ゆうきは首を傾げて問いかけた。
ああ、とシモンが申し訳なさそうに笑う。
「この世界に閉じ込められたドリームイーターを倒さないと出れないんだ」
そうなんですねとゆうきが項垂れた。
別にこの空間にいるのは構わない。
でも、元の世界でしないといけないことがある。
ここで立ち止まる訳にはいかなかった。
一つ、疑問がある。
ゆうきはシモンに問いかけた。
「ドリームイーターってなんですか?」
「それはね、人の強い想いや夢を喰らうバケモノだよ。昔とある宗教団体が操ってたらしいね」
なるほど…とゆうきが頷く。
「魔法少女は大丈夫なんですか…?」
「夢を喰われるのは普通に人間に戻った時らしいんだよね。だから僕は大丈夫だよ」
心配してくれた?とシモンが問掛ける。
「はい……なんで、この学園なんですか?」
聞きたいことが山ほどある。
分からないことだらけだ。
ふふ、とシモンが笑う。
「キミ、さっきから質問だらけだね。いいや、特別に教えてあげる。ドリームイーターを作った宗教団体がこの学園の関係者なんだ。この学校孤児院出身の子が多いだろう?とある宗教団体の組織が孤児院だったらしくてさ、その一部がこの学園ってわけ。隣にある孤児院とこの学園は付属しているんだよね」
その言葉に知りませんでした…と、ゆうきが呟いた。
確かそうだったなぁと懐かしそうにシモンが目を伏せる。
考えれば、己の学校には孤児院の協会で育ってきた子が多かった。多いと言っても学年に二,三人位だけれど。
ここでひとつの疑問が浮かぶ。
「なんで君はそんなにも詳しいんですか…?」
その言葉にシモンが穏やかに瞳を細める。
そして己の唇に人差し指を押し付ければひっそりと微笑んだ。
「ひみつ」
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