5Dー2

『ちょっと!!やっと繋がった!!今どこにいるの?!スーツのシステムが起動しているし、位置反応が急に消えたから心臓止まるかと思ったじゃないッ!スーツを使うときは私に連絡してってなんどもッ』


ジジッと雑音の後、耳元から聞こえる飛鳥の声。そういえば、急いでいたから飛鳥に連絡する暇も無かった。


「飛鳥、すまない。今はお前の説教を聞いていられなックッーーー」


『っ!?いまどこにいるの?!』


「【人食いキャット】と戦闘中だ、ぐ、クソっ」


素早いスピードで俺に襲い掛かる奴の攻撃を避けるが、その速さに追いつくことができず、徐々に傷ついていくスーツ。

モードチェンジする暇もなく、避ける以外にどうすることもできない。

まずい、このままじゃスーツの機能が停止してしまう‥そうなれば


食われるッ


ガクガクと震える脚。

なん、だ、どうして俺は震えて‥


ギャハハハハッ!!!モット モットッ

アソボゥゼエエエエ


「しまっ!?ウガッ!??!」


二本の尾が刃物から人の腕の様な形に変わる。

それは一瞬で、気づいた時には二本の太い腕の様な尾に掴まれて、地面に押さえつけられていた。


ツーカーマーエータ


「ぐ、ゔ‥はな、せッ」


ナニシテアソブ?テヲヒキチギル?アシガイイカナ?ソシタラ モウ ニゲナイヨネ?

ソウシヨウ!!ドッチガイイ?コッチ?ソレトモ コッチ?


奴が俺の左足に触れる。

刹那、グシャリと、耳を塞ぎたくなる様な、そんな音がした。


「ッヴガッアアアッ!?!?」


悲痛な叫びは、俺の、声‥?ッ、なん、で

ッ!?俺の、あ、足が‥無くなって‥


あ、れ。



アヒャヒャヒャッ!!オモシロイオモシロイ!!モウカタホウモヤロウ!!ソウシヨウ!!


ドロリとした黒い瞳が、涎を垂らしたその裂けた口が、俺の足を持って高らかに笑う声が血で真っ赤に染まった爪が全部全部全部っ


『にげ、て‥』


『姉ちゃんッ?!姉ちゃッ、うあああああああああ』


恐ろしい‥バケモノ。


「やめ、ろ」


いやだ、いやだいやだいやだいやだしにたくないしにたくないしにたくないころすころすころすッころさないところさないところさないとっくそおおおおお動けえええええ


「うごけえええええええッ!?!?」


俺は力の限り暴れる。腕を、足を‥もがいてもがいてもが、いて‥奴の尾はびくともしない。

駄目だ、どうすればッ痛いっ苦しいっ食われたくないっ姉ちゃんみたいにはなりたくないッ誰か、誰か‥


そうだ‥助けなんて‥来なかったじゃないかーーー



キャハハ、サーン、ニー、イーーチッ!!


「あ‥いや、だっ‥ゃ、め、ろ‥やめろおおおおおお」


ゼーロッ、グガァッ???ッ、ギイイイヤアアアアッ!?!?


『「落ち着きなさいーー貴方には、


私がいるんだからーーー」』


奴の尾から解放される身体。悲鳴を上げる化物は、地面をのたうちまわる。

ふわりと俺の目の前に、純白が舞い降りて、まるで天使みたいだ。

ふいにそう思った。



「あす、か」

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怪人の俺が、ヒーローをぶっ倒すヒーローになる話 仮 白丸 さく @kurehasaku

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