暗い心情、やわらかな風

やみ点在てんざいする緑は、そよぎながら、うらぶれながら。

鳴き鳥は、しじまを見詰めながら、息を殺しくすか?

無声むせいであげる悲鳴は、なんと稀有けう断末魔だんまつまだろう。


闇、そのひとかけらの底の底、夜の自然公園にひびくのは

それは生々しい打撃音だげきおん後腐あとぐされ。


闇、それはどんなに暗くとも、めしいることは決してない。

ナタデココをボコボコにして

叩きのめしたタピオカの心。


それはプルプルしながらも

虚無きょむしずみ、大いなる闇や

暗澹あんたんたるあれこれが

とんとん拍子びょうしに幅を利かせている。

その凄惨せいさんさに、かえって誰しもが

ははと笑うだろう、うふふ。


天が裂け、一助いちじょな光が射し込んで

甘いエンジェルボイスが舞い降りる。

首吊くびつひもつかまって

天啓てんけい降臨こうりん

げ、ぐち

口裏合わせの、満場まんじょう一致いっち


「心に穴が空いたときはね~」

と切り出すのは、みんなのアイドル

『ミス・ドーナッツちゃん』。

自己愛じこあい徹底的てっていてきにレイプしてやれ~」

嬉し恥ずかしけ合いの、その決めポーズは

本当に恥ずかしくて見ていられない。

「自分の出生しゅっせいのろって、不幸自慢ふこうじまんをゲロしちゃえ~」


闇の青天井あおてんじょう天窓てんまどは、目薬欲しくて開眼供養かいげんくよう

恋に恋する神様が、一本釣いっぽんづりの神話を語り

あとに残るのは、闇、そればかり。


歯止はどめにとどめを刺されてひさしく

出遅れながらも、理性の羽交はがめを振り払い

たが外れにきょうじる、『ミスター・タピオカ』。

「僕はえらく物知り、殺しちゃうのが大正解」

彼はポンと手を打ち

次の拍子ひょうしには地面にころ

きれいな受け身をとっていた。

そのあまりの脈絡みゃくらくのなさに、誰もが必ず

ははと笑うだろう、うふふ。


「いいかよく聞けよ、お前の頭に直接、五寸釘ごすんくぎを打ち込んでやるからな」

現在進行形の息遣いきづかいに感応かんのう

森の木立こだちのそれぞれが

催眠術さいみんじゅつのステージじみた

同調圧力どうちょうあつりょくかもし出す。


「の、呪ってやる! の、ののの! 呪っちゃう!」

生中継なまちゅうけいと同時進行のノスタルジー。

視界のせせらぎ、うなじで感じて

小川の思い出、せせらぎ笑い。

封印ふういんされし可笑おかしみ

いずれはなたれ

思い出し笑いとなりて

ははと笑わせるだろう、うふふ。


……妙案みょうあんが、……みょみょーん……。

「バレないさ、簀巻すまきにして、ミルクのいずみにでも沈めちまえば」

お見事! そんな空耳聞こえて

れ笑いうかべる、はにかみ屋の馬鹿ばか正直しょうじきな心。

そこに善悪を持ちだすのは

くさ外道げどう所業しょぎょうですか?

返答返らず、諸行しょぎょう無常むじょうをノコギリギコギコ。

小分こわけにして、店先に並べるのも、お洒落しゃれかもしれないよな」

優柔不断ゆうじゅうふだん大渋滞だいじゅうたい

右向きゃ左でなにかが光り

左向いたら右手で誰かがよっといで。


地団駄じたんだ! 時短じたんだ! テキパキ指折りゃ肩が外れて、せっせとかせばミスがボロボロ。

「なんでお前は、死んでからもこんなにプルプルしてやがるんだよ。なあ、おい!?」

「うなぎをさばいていると、そのあまりの難しさに、自分の手首がうねっているように思えてくるのは僕だけか? なあ、おいって!?」


数十年来破棄はきされてきた出来損できそこないの短冊たんざくが、夜風にそよぎなら死後の睦言むつごとを交わしだす。

お空の彼方かなたから舞い降りるのは、全身が死後硬直しごこうちょくされた、空耳の皆様方。

――『点眼てんがんして味わう、まったく新しいタイプのタピオカができました』――

――『なにそれ、目からうろこが落ちるんだが……』――

――『……ここだけの話……、身から出たさびで行く、くそみたいなお前はいっそ、接着剤せっちゃくざい点眼てんがんしたらいいんじゃないか?』――


「……おい、僕の心さぁ……、……ひとり遊びもいい加減にしろよお!!」


はっと我に返ると、彼というおのれは、翌朝の喫茶店きっさてんでお茶をしていた血眼ちまなこで。

猫舌ねこじたを引っこ抜くのが億劫おっくうで、あちちと大火傷おおやけどい、えある味蕾みらい喪失そうしつ

時計のはり徒刑場とけいばを差したから

彼はお会計が大好きになる。

伝票でんぴょうかいして思い伝染でんせん

り首吊り、過去を清算せいさん

宣誓書せんせいしょはセンセーション。

「ふむ。コーヒーよりも、外の空気の方が、うまいね」


むちのしなりを確かめたくてもそうされない。

方向音痴ほうこうおんち痴呆症ちほうしょう相乗効果そうじょうこうかは底知れぬ。

ほかほかの饅頭まんじゅういずこのどこどこ祭りの会場は?

囃子はやしは、どこ吹くかぜで、ホントどこ?

聞き流し可の灯篭とうろう流しで、やや右から超左。


ハイ、イエス、僕はイエスマン、ハイ、更にハイ、続けてイエス。

僕はきっとするでしょう、ハーイ。

短冊たんざくにまみれた願い事オバケにふん

無垢むくな子供たちに、もっと頑張るように

背筋せすじこおるようなおどしをかけること。


凄惨せいさんな甘みにおかされた口腔内こうくうないから吐き出されるのは

臓腑ぞうふからたちのぼる、「なんかモヤモヤするなぁ~」

自演じえんのジ・エンド、いつかはれて、自白じはくじりじりうながします。

あさりの砂抜き砂時計、土左衛門どざえもんまでどれくらい?


「気持ち悪くて仕方ないときはね~」

と切り出すのは、みんなのアイドル

『ミス・ドーナッツちゃん』。

「自分の指で、自分ののど徹底的てっていてきおかしてやれ~」

顔の向こうが丸見えの、穴の空いたそのひとみ

本当に見えているのか分からない。

「おなかに力をこめて、はら逸物いちもつゲロしちゃえ~」


白、点在する茶色は、らめきながら、ただよいながら。

鳴き鳥は、しじまを見詰めながら、息を殺し尽くすか?

無声であげる悲鳴は、なんと稀有けう断末魔だんまつまだろう。


白、そのひとかたまりの上の上、めしの自然発光に微睡まどろむは

それは生々しい解体音かいたいおん後腐あとぐされ。


白、それはどんなにきよくとも、可視かしすることは決してない。

なたぶたをバラバラにして

叩き売りするビーガンの心。


「風が吹けば桶屋おけやもうかるんだろ!? そうなんだろ!?」

「……いい加減認めてしまえよ……ブラジルで一匹のちょうばたいたから、テキサスで竜巻たつまきが起こったって……。そうなんだろ……? なあ! そうなんだろう!!」

良心の呵責かしゃく鬱陶うっとうしくて癇癪かんしゃく起こし

憤怒ふんぬ気化きかして虚空こくうに流れ

めぐりめぐってめぐりあい

トンカツ屋さんがうっとりして

へへと笑うだろう、うふふ。

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