第2話 だんじょん!
「お坊っちゃま。恨むなら旦那様ではなくこの私を恨んでください。」
そういいながら執事長はなんどもぼくに、話し掛けてくれる。こんなジジイの謝罪なんてもう聞き飽きているのに。でも、重要な情報は教えてくれた。移動しているときに執事長が【奈落の解答】についてぼくに話し掛けてくれたのだ。本人にとっては、おとぎ話を赤子に伝えているだけだろうけど。
まあ、要約すると
①【奈落の解答】は、世界三大迷宮の一角で大陸の中央にあるらしい。
②ダンジョンにしては珍しく階層という概念が存在しないみたい。
③クリアすると、望む物を手にすることができるらしい。
④帰還者がいないらしい。
の、4つだ。
生後1ヶ月どころか1週間すら経っていないぼくに大の大人がクリアしてないことを、しろとか無理ゲーだろ。どんなに訴えようが口からは、「うぅぅぅー」しかでてこない。喋れても「人格が赤子の時からあるだって。悪魔だー!」と、言いそうだけどね。
「お坊っちゃま。今日でお別れですね。」
そうなのだ。【奈落の解答】までは、今日で着くのだ。どんなにこのジジイが重要な情報をくれようが赤子を殺すのは、間違いない。だから
『オマエモコロシテヤル』
太陽がちょうど真上に来るぐらいの時にダンジョンにはついた。【奈落の解答】は、地下に半径1キロほどの穴が空いていた。底のほうまで暗くて見えないがたくさんの眼光が地上を睨み付けているのが分かる。
えっここに落とすの?ガチでいってる?ヤバいって!
「では、お坊っちゃま。お元気で。」
そういいながら糞ジジイ(執事長)は、ぼくを穴の中央めがけて投げ入れた。
そして、ダンジョンに落ちた瞬間
『ダンジョン【奈落の解答】に挑戦しました。』
はっ?
『器と魂が矛盾している存在です。処置を検討........』
いや、検討よりぼくのことを返してけれよ。
そう思いながらぼくの意識は消えた。
『処置としてスキル【再生強化】を付与.........実行中...
完了しました。』
『世界で始めてスキルを持った人類が現れました。』
『世界のレベルアップを開始...対象は、【奈落の解答】におり、干渉不能。レベルアップは一時中断します。』
『魔力圧を感知!スキル【再生強化】発動!』
『敵対存在を感知!スキル【再生強化】発動!』
『肉体への負荷を感知!スキル【再生強化】発動!』
『対象の生命力の激減を感知!【奈落の解答】にアクセス...対象をフィールドの安全地帯への転送を要請します...』
ピコン!
『【奈落の解答】に安全地帯が存在しない!』
『安全地帯の創造を要請.........受理されました。』
『【奈落の解答】に安全地帯【叡智の湖】が創造されました。対象を転送します。』
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