剛毅な武~家族に殺されかけたので復讐します~
白マロン
奈落の解答
第1話 たんじょう!
「おぎゃーおぎゃーおぎゃー」
風の名門と呼ばれるリスタール伯爵家で新たな産声があがった。
「旦那様、たいへんお元気な男の子でございます。」
リスタール家に仕えるメイド長が赤子を抱き抱え当主にみせる。産まれた赤子は、ブロンドの髪の毛をうっすらと生やしており体力を消耗したのか少し弱々しかった。
「本当にこの赤子が私の子か!」
先程までは声を出してまで喜んでいたのに赤子をみるなりきれはじめた。
「そうでございます。この赤子は、リスタール伯爵の第三子で間違いありません。」
出産に立ち会ったメイド長は間髪いれずにこたえる。
「どうして...私の子が...」
「あなた...産まれた...赤ちゃんが...どうかした...の?」
ようやく体調を整えてきた奥様がおそるおそる尋ねると.........
「....しろ。」
「左様でございますか?」
執事長も旦那様が正気かと疑ってしまった。
「いいから!!!この悪魔を早く処分しろ!!!」
普段は穏やかな当主が怒りにぷるぷる震えていた。
「あなた...どうしてでしょうか?」
お腹を痛めてまで産んだ子をすぐに処分するとは、どのような理由があるのか聞かずにはいられなかった。
「ブロンドだ」
「なるほど...」
髪の毛の色で全てを理解したのか奥様は諦めてしまった。
実はこの世界、髪の毛の色によって魔法の適正が分かる世界だ。通常は、親の遺伝を引き継いでいることが多いいのだがたまに変異してしまうことがある。しかし、変異といっても1000人に1人あるかないかぐらいの確率で誰もが我が子は有り得ないと思っていた。
「この子は、リスタール家の恥だ!!!すぐに処分をしなければならない!!!」
炎の適正の赤髪や水の適正の青紙ならまだ生きる希望があった。だけど風魔法の天敵である土の適正の茶髪だけは、許してはいけなかった。両親とも風の有名な使い手なのに産まれたのは土の使い手とは笑い者になる。また、先代のリスタール当主は、土の悪魔と言われる帝国の兵士に殺されたからである。
「旦那様、いくらリスタール家の天敵である土の使い手でもあなたがたのお子様でございます。私達では、とてもではないですが処分することが出来ません。」
「ふむ...だからといい私自ら行うのは、信仰に逆らってしまう。」
この両親ともラミジカ教の信者で教えの中に親族殺しは重罪な罪になってしまうのだ。
「では、迷いの森などに放置いたしますか?」
執事長は名案を思いついたが...
「ならん。あそこは、高位の冒険者などが度々訪れたりする。」
「では、ダンジョン【奈落の解答】はいかがでしょう。あそこは、三大迷宮の1つですが帰還者が1人もいないため発見もされないと思います。」
「では執事、箝口令と処分を頼むぞ!」
「かしこまりました。」
そういって当主は部屋を立ち去っていった。
.........僕さ、泣いていい?
華麗なる美声(泣き声)で誕生したら処分だって!!!
産まれて1時間も経たないうちに誰も帰らなかったダンジョンに放置とかヤバくない?((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル
髪の毛の色が違うだけって人それぞれでしょ!
だからさ、そこの執事よ。死んだ魚のような目でぼくをみないで!!!
やめて、近づかないて、あやまるから。
「奥様、最後のお別れを。」
「もう、見せないで!どうしよう。あの人に嫌われると...」
えっ。
子供より自分のことが大切なんですか。
あなたがあんだけ可愛がっていた子供をすぐ殺すなんて...
ははっはっは
こんなに醜い奴らから産まれてきたのかと思うと乾いた笑いしかでてこない。
自分の保身のためや名誉のために実の子を殺すとはな。
まあいい。お前らの顔や名前全て覚えた。
殺してやる。おまえらに復讐してやる。そして、親族に手を下したらいけないと教えた神様本当にありがとう。
お陰で僕は喜んで
『アナタタチカミヲコロセマス』
そう思いながらぼくの意識は消えた。
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