第8話 夢か現か

家に帰ってきた。

手洗いうがいをした後は、そのまま熱いシャワーを浴びる。

疲れた体には熱いシャワーが1番良い。

汗を流してさっぱりしたら、コーヒーを一杯。

ここまでが私のいつもの休日ルーティーン…


時計を見ると、まだ午前10時だった。

携帯には透さんからLINEが入っていた。


先程はどうも。

朝ごはん、一緒に食べれて楽しかった。

また、お時間があればぜひ。


いえいえ、こちらこそ、お恥ずかしいところをお見せしてしまって…

美味しかったし、楽しかったです。

また、食べに行きたいです。


っ送信っと。

だめだ。

色々ありすぎて、今朝のことが現実かを疑う。

ほっぺをつねる…痛い。

現実だぁ。

落ち着け、私。


これは良くない私の癖なのだが、魅力的だなっと思う人の人間像を想像してそれに当てはめてその人を見てしまうことがままある。

その人間像と実物が全然違ったということも結構あるけど…


透さんは………

やっぱり私よりも年齢的にも、経験的にも大人で余裕があるから、引っ張ってくれるタイプの典型的な年上男性というように見える。

でも、声をかけるタイミングといい、ここまでの流れといい、遊びなれているなという感じがする。

LINEはどうやらマメな方だから、束縛が少し強いかもしれない。

自分磨きも怠っていなかったから、ナルシスト気質はあるだろう。


こういう人は自分の魅せ方を知っている。

そして、かかった獲物は逃がさない。


人にはいい面も悪い面もあるから、ものはいいようだけど、マイナス面を気にしてしまうのが人間の性でもある。

まぁでも、次に彼に会った時にはこんなこと、頭から抜けてしまっているんだろうけど


顔はイケメン,身体つきもいい。

お金もそこそこ持っていることが感じられる…

明らかに有料物件なのに、感じてしまうこの違和感はなんだろう。

もう一回会えば分かるだろうか?

でも、ここですぐ会ってしまったらセフレコースな気もする。

彼ならそれでもいいかもしれない、とまでは今はまだ思えない。




いつも、私は恋が始まろうとする時に姉の言葉を思い出す。


恋に落ちるのは簡単だけど、恋を続けるのは大変なのよ。


姉は、ため息混じりにこの言葉を吐く。

8歳年上の姉は数年前に結婚して、今ではもうセックスレスらしい。

それ故、謎の説得力がある。


久々に受身体制ではなくて、自分自身が、この人いいなと思える人に出会ったから、たとえプレイボーイだとしてもナルシストだとしても彼についてもう少し考えたいし、会って話したいと思った。


次に透さんと会うのはいつになるだろう…







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