第5話 恋愛サイコパス

執着と恋の境目はどこなのだろう


長い間続いていた会話をあっさりと断ち切ってしまった自分に内心驚いた。


でも、良く考えれば、振り返ると、私は恋愛らしい恋愛をしてこなかったかもしれない。

恋愛を語れるほど、恋愛経験があるわけではないけど、どこが好きだったかと聞かれるといまいちピンとこないし、何で好きだったのかもわからないから、多分私は”恋愛”をしていなかったのだと思う。


多分、執着だったんだと思う。


このことがきっかけかはわからないけど、

私はちゃんと人を”好き”になれなくなったし、

お付き合いをすることになっても、刹那的なlikeであって、最後は怠惰へと変わってしまうことが多かった。


一度だけのときめきの瞬間を自ら手放した後は、自分が思っているよりもモヌケノカラで、毎日がつまらなかった。


手放してわかる。

彼の存在が大きかったことに。

数年間見返りのない気持ちを持ち続けていた過去の自分は嫌いだけど、同時に、好きがわからない今の自分にとっては、その盲目具合が逆に羨ましかった。

たとえその盲目具合が執着で構成されているとしてもね。



もちろん、私が連絡をたってから、彼から連絡が来ることは半年以上無かった。

もう、寂しいとは思わなかった。

前よりも強くなった。


半年を少し過ぎたあたりに、彼から連絡が来た時は結構びっくりした。


久しぶり、元気してる?


多分、執着。

連絡が来て初めに思ったのはこれだった。

形勢逆転。

控えめに返して、自然に会話を途切れさせる。

電話はもうしない。


特別な気持ちももう湧いてこなかった。

少女漫画で良くあるような展開は正直、現実ではあまり起こり得ないし、私も、もう同じ過ちを繰り返したくなかった。

タフになったなぁと我ながら思う。


これが、

私が学生時代、最後となるときめきを覚えた話。

そして、

アラサーを迎えてしまった今の私の一部を構成する考え方を作ってくれた淡い思い出。


こんなことが久しぶりに頭をよぎった。

何でだろう。


また、同じ理由でフラれたからかな………


本当に俺のこと好き?

たまに君の気持ちがわからなくなる


2年付き合った彼にそう言われた。

前にお付き合いしてた人にも、そう言われた。

私はちゃんと(”好きな時は”)好きだったよ?

でも、ある時からいてもいなくても変わらなくなっちゃって、自分の中であなたに”彼氏”って言葉が似合わなくなってるだけ。

わかっちゃうのかなぁ、態度で。

でも、元々連絡しない方だし、返信もなかなか返さない人種だってことはわかってたでしょうに。

付き合う前と、後はさほど変わらない自信はあったけど、何がそう思わせるんだろうね。

逆にこの変わらぬ態度が厄介なのかしら。


仲のいい友達からは、恋愛サイコパス認定された。

もう、末期。


私もわからないや


神様、仏様、恋愛のスペシャリスト様、どうか私に

ちゃんと人を好きになる方法を教えてください。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る