第2話 優しさに包まれて

私が好きなのはみんなに優しい人


昔からいつもそうだ。

でも、みんなに平等に優しくしているようなエセ優男とかじゃなくて、自然とそう振る舞う人。

彼はまさにそのタイプで、姉がいると言っていたから、なるほどなと納得した覚えがある。

そんな、みんなに対して優しい彼の優しさの片割れを私は独り占めしたい衝動に駆られた。


彼のタイプは皆可愛い子ばかりで、私とは違う女の子らしい子だから、無理だとはわかっていた。

でも、これはもう癖なのかもしれない。


彼が引っ越してしまう前、彼が遊びに誘ってくれた。2人で東京の街をぶらつきながら他愛もない話をした。彼は私の好意には多分気づいていて、私からの何かしらの告白なり何なりのアプローチを期待していたと思う。

そうじゃなきゃ急に2人で遊びに行こうなどと誘うことはなかっただろう。

策士だ。


今と変わらずチキンな私は何もすることができず、とりあえず連絡先を聞くことにはやっとのことで成功した。

今までよりも悪化してしまうだろうと予測される関係を自らその通りにする人はいないでしょう?


彼と過ごしたその1日は今までのどのデートよりも楽しかった。


その日以降、私と彼は連絡を取り合っていた。

私も彼も全然LINEを返さないタチだから、1日とか2日とか返信がなくてもおかしくはなかった。話が途切れないようにダラダラと続けて、今考えたら良く返してくれていたなと思う。


ある日を境に彼からの連絡は途絶えてしまったけど

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