未確定な関係

オオムラ ハルキ

第1話 思い出に浸る午前3時

気づいたら、落ちていた



ずっと、ずっとずっともう恋なんかしないだろうと思ってたし、ここ数年そんな気も起きなかった。

でも、あぁこれはやばいかもしれないと私の心の奥底から感じてしまった。

この人は、あの人と同じだって。

はまってはいけない、好きになってしまったらもう抜け出せない人。

この気持ちが錯覚である方がまだよかったかもしれない。


私は人をちゃんと好きになったことがない。

といっても、今まで人とお付き合いしてこなかったわけではなくて、、、

付き合うことになるのは大体向こう側からのアプローチで、私は完全に受け身姿勢。

嫌いなわけじゃないから、好意はありがたく受け取るし、振る方がエネルギーを使う気がする。

要するに怠惰。社会人になってからは特にそう。


でも、学生時代に一度だけ、この人しかいないと思ってしまった瞬間がある。完全に一目惚れだった。

背は私より10センチ以上高くて、切長の目、綺麗な手。極め付けはくしゃっとなる笑顔。

好きにならないわけがなかった。

多分私の言動全てに好きが溢れていて、側から見たら好意はバレバレだったと思う。


それまで私は恋に臆病だったし、何しろ好きな気持ちもわからなかった。だから、あぁ好きなんだなと思うまでに時間がかかった。

気づいた時には、彼は引っ越していて、不完全燃焼の気持ちだけが残った。

私は他の誰かを好きになる気持ちを忘れた。



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