セクハラ校則

矮凹七五

第1話 セクハラ校則

 ここはF県F市の某中学校。この学校の体育館内に生徒達が並ばされていた。

 生徒達の前には教師が二人――生活指導のL先生とH先生――どちらも男性である。

「これから服装検査を行う!」

 L先生が大きな声で言うと生徒達がざわついた。

 この学校の校則は厳しい。茶髪がNGなのはもちろん、ツーブロックの髪型もダメ。そして何よりも理不尽なのが「下着の色は白でなければならない」というルールだ。もし、これに反していた場合、その場で脱がされて没収される。

 

 服装検査が始まった。女子の方はL先生が行う。

 まず一人目。ボタンを外し、シャツを開いて上の下着をチェックする。白。問題なし。同様にスカートをめくり上げて下の方をチェックする。白。これも問題なし。

 検査が終わった女子生徒は嫌そうな表情をしながら、頬を赤らめていた。

 二人目。こちらも問題なし。こちらの生徒は検査が終わった後、泣きそうな顔をしていた。

 三人目。上の下着はピンク。NG。その場で上の下着を外して没収する。女子生徒は両腕で胸を押さえながら怯えている。下の方もチェックするとこちらもピンク。その場で脱がして没収した。恥ずかしさのあまり、女子生徒はうずくまって泣き出した。しかし――

「泣くくらいなら、校則を守れ!」

 L先生は厳しい表情で容赦なく女子生徒を叱責する。

 L先生は同様の作業を繰り返しながら全ての女子生徒の服装検査を終えた。下着を没収された女子生徒は泣くか、羞恥心と怒りに震えながら顔を真っ赤にするかのどちらかだった。


 校則は男女平等である。男子の方はH先生が行った。下着を没収された男子生徒の中には暴れ出す者もいたが、取り押さえられ、しばらくの間、廊下に立たされた。


 こんな調子だから生徒達は校則について大きな不満を抱いている。先生に対して意見する事もあった。しかし、「内申に響く」等と恫喝されたり、説教されたりで悉く沈黙させられていた。



 職員室には教師達が何人かおり、そこにはL先生とH先生もいる。

「L先生、どうでしたか?」

 H先生がニヤニヤした顔で尋ねる。

「ぼちぼちってとこだな」

 L先生は袋から、女子生徒達から没収した下着を取り出し、机の上に広げた。

「このピンクの奴は俺がもらうから、お前はそれ以外のを選べ」

「では、僕はこの水色の奴をいただきます」

 H先生は水色の下着を手に取り、匂いを嗅ぎだした。

「ああ~、いい匂い」

 H先生は芳しそうに匂いを嗅ぎながら悦に浸っている。

「H先生、男子の下着はG先生とS先生にあげてこい」

「わかりました」


「G先生、S先生、こちらが今回の男子生徒の下着です」

 H先生がG先生とS先生に声を掛けて、袋の中に入っている下着を見せた。

「お、今回は大漁だな」

「まあ、こんなにたくさん! 嬉しいわぁ!」

 男性教師の方がG先生で、女性教師の方がS先生である。どちらも喜びの声を上げている。


 初老の男性が職員室に入って来た。校長先生である。

「L先生、H先生、例のものはどうかね?」

「ばっちりです。校長」

 L先生とH先生が声をそろえて返答した。

 校長先生は嬉しそうな表情をしている。



 視聴覚室には校長先生とL先生、H先生、G先生、S先生がいる。

 彼らは大型の液晶ディスプレイで動画を視聴していた。

「いいねえ~。成長中の女子の体は」

 校長先生が楽しそうな表情でL先生達に語る。校長先生の口からはよだれが垂れている。

「たまりませんな。校長先生」

 L先生が恭しく、そしてニヤニヤしながら答える。

 H先生も楽しそうにしており、顔のニヤニヤが止まらなかった。

 その一方で、G先生はつまらなさそうな表情を、S先生はムスッとした表情をしていた。けれども――

「男子生徒の分は僕が撮影しましたよ」

 H先生がG先生とS先生に向けて声を掛けると、G先生とS先生は頬を赤らめながらニヤリと笑みを浮かべた。

 彼らが鑑賞しているのは服装検査時の動画。

 L先生とH先生は小型カメラを服に仕込んで、服装検査を受ける生徒達を撮影していたのだ。



 生徒達は理不尽な校則について外部に声を上げた。これが引き金となったのか服装検査の実態が発覚した。

 校長先生を含め、何人もの教師が警察に逮捕された。

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セクハラ校則 矮凹七五 @yj-75yo

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