第6話 鑑定結果がおかしいです
ええと、はい。どうもこんにちは。ローザです。これがあたしのステータスを鑑定した結果です。
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名前:ローザ
種族:混血(人族、天空族、淫魔族)
性別:女性
職業:孤児
年齢:11
HP:18/34
MP:64/65
スキル:
鑑定:1
収納:1
魅惑:1
適性:光、火、風、闇
称号:星に導かれし者
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えっとですね。なんか、ですね。
えっと、えっと。こう、あまりにも衝撃的で……。
あの、あたし実は純粋な人族じゃなくて淫魔族と天空族との混血だったらしいですよ?
人族は良いとして、淫魔族ってどういうことですか? 淫魔族って、アレですよね? 男の人にうふーんやあはーんな事をして食べちゃうアレですよね? そんなの絶対に嫌なんですけど!
しかも淫魔族は見つかったらすぐに討伐対象になるって冒険者になったお姉さんが言ってましたけど、もしかしてあたしも討伐されちゃうんでしょうか?
それはちょっと勘弁してほしいです。あたしはずっと自分を人間だと思って生きてきたんですからね。
それと、この天空族っていうのは一体何なんでしょうか。こんな種族、聞いたことすらないですよ?
鑑定先生、教えてください!
頭に浮かんでいる天空族という言葉を鑑定してみようと思いましたがやっぱり無理でした。残念です。
どうやら鑑定先生はあたし自身の事は詳しく分かるものの、それ以外については表面的な情報しか分からないみたいですね。
はい。えっと、それとですね。このステータスと言うのは何なのでしょう。
まるで「あろう小説」の異世界転生物みたいじゃないですか。「あろう小説」なんて夢の中の話なのにこんなにそっくりなものが出てくるなんて不思議ですよね。じつはあの夢の中の話は現実だったとか?
あ、でも夢の中の創作の話だから夢が現実じゃないわけで、そうすると夢の中から現実を覗いていたというか……。
えっと、はい。すみません。
もうあたしも自分で何を言っているのか分からなくなってきたので気にするのはやめにします。きっと、これはこういうものなんでしょうね。
ただ、このステータスが「あろう小説」のものと同じ意味ならきっとあたしは魔術師向きなんでしょう。もしかしたら、将来はすごい魔術師になれるかもって思うとちょっと夢がありますね。
ところで、あたしの
たしかに、自分で言うのもなんですが孤児院の中でも顔立ちはかなり整っている方でしたし、かわいい方だとは思っていましたよ? 顔のパーツはしっかり左右対称で、目だってぱっちりしていますし。
でも、それって孤児院の中だけでの話なんですよね。あたしを含めた孤児院の子供たちはみんないつもお腹をすかせていますからがりがりですし、町の同年代の子供たちと比べたら背だって頭一つ分くらい低いんです。
髪の毛だって満足にお手入れできないから薄汚れていますし服だって町の子達みたいにきれいなものは着たことがありません。
それに、胸だって平らですし、女の色気的なやつはゼロなはずです。
そんなあたしを寝室に連れ込んで乱暴しようとしたあの頭領とかいうやつはロリコン確定なわけですけど。
あ、もしかして!
えっと。ということは将来は胸バーン、腰キュッ、お尻バーンみたいな感じになれるのかもしれません。
あ、ちょっと嬉しいかも。えへへへへ。
こほん。
それと次はスキルのところです。
【鑑定】と【収納】は良いです。これは確かに洗礼の時に貰ったスキルですから。
ですけどね。この【魅惑】ってなんですか?
あ! もしかして!
これって淫魔族のスキルですか?
だとすると、あの時ゴブリンが突然喧嘩し始めたのってこの【魅惑】スキルのせいだったりしますか?
あたしを奪い合って殺し合いにまで発展した、みたいな。
これ、ちょっと怖すぎません?
町に行ってこのスキルを間違って使っちゃったら同じようなことが起きたりするんですかね?
今後一生町に入れないとか、あたしイヤですよ?
でももちろん、このスキルのおかげで助かったのだとしたらそれはそれで良かったとは思いますよ。だって、あのままゴブリンに乱暴されるよりは遥かにマシですからね。
はい。えっと、次は適性のところですね。
光と闇と火と風の四つって、多すぎると思うんです。適性があるのは普通は一つだって冒険者になった卒業生のお姉さんが言っていましたけど……。
努力すれば他の属性も多少は使えるようになるらしいですけど。
あ! これってもしかして、この淫魔族と天空族との混血だっていうところが原因だったりするんですかね?
淫魔族だから闇属性に適性があって、天空族っていう名前からして風に適性があるみたいな。ということは、人間の方の血筋で光と火に適性があったってことになりますね。
あれれ? でも人間だと適性属性は一つのはずですからそれも違うような?
あれ? えっと?
はい。そうですよね。あたしが分かるわけないですね。
それはそうと、最後の称号なんですけどね。この【星に導かれし者】って一体なんでしょう?
さっぱり聞いたこともないですし、そもそも称号なんて【
うーん。なんだかあまりにもよく分からな過ぎてちょっと頭が痛くなってきました。
なんだか、もう深く考えるのはやめた方がいいような?
はい。そうですよ! そうしましょう。
だって、ビワはこんなにも甘くて美味しいんだもの!
あたしは近くにあるビワをもう一つもぐと皮をむいて口に含みます。
「んー、やっぱり甘い!」
もうこの甘さが口いっぱいに広がるだけで自然と笑顔がこぼれてしまいます。
「あーあ。この木が孤児院の庭にも生えていたら良かったんですけどね」
そうすればあたし達みんなお腹も膨れて笑顔になれたと思うんですよね。
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