おとぎ話のようなカエルたちの世界から始まって、舞台は現代的な人間の世界へ。二つの世界が交錯しながら、登場人物(含・カエル)たちの生きざまが丁寧に綴られます。
同性愛が題材に用いられていますが、それはあくまでも一つの要素だと感じます。夢のため、成功と栄誉のため、あるいは愛する者のため、それぞれの生を生きて、もしくは生き疲れてしまった彼らに、共感を覚える部分もあるでしょう。
それに加えて、おとぎ話といえば!な魔女も出てきます。この作品では「魔女蜘蛛」さん、出番は少ないですが味があって個人的にお気に入りのキャラです。
ディズニーでも近年ヴィランがフィーチャーされていたりしますが、彼らは意地悪に見えて大切なことを教えてくれる存在なんですよね。
文章量は一度に読むにはやや多いかな、と最初思ったのですが、ストーリーを基軸にそれぞれのキャラクターに順にスポットライトを当てていく展開で、二つの世界を織り交ぜつつ丁寧に構成されているので、読み疲れることはありませんでした。
読了後、じっくりと考えさせられる良作です。ぜひお時間のある時にお手に取ってみてください。