第24話

「ミモレは高田とはラインしないのか? 」

日曜日、暇を持て余したスカーレットが何気なく訊ねた。

「はい、直接会うことが多いので、そう言う話にはなっていません」

ミモレはそう答えると、朝食を作り始めた。


「今度、高田とライン交換してこい。命令だ 」

スカーレットは偉そうに人差し指を突き出してポーズを決めた。

「ええ!? なんでですか? 」

ミモレはオムレツの卵を割りながら、スカーレットに訊ねた。


「なんて言うかフェアじゃないって言うか・・・・・・ 」

スカーレットは言葉が続かない。

「はい? 」

ミモレは訝しげにスカーレットを見た。

「お裾分けもらうのにも、ラインで連絡できた方が楽だろう? 」

スカーレットは良い口上を思いついて、笑顔で言った。


「それはそうかもしれませんね・・・・・・ 」

ミモレはそう言うと、二人分の朝ご飯をテーブルに並べた。

「でも、私のラインなんて、知りたくないんじゃ無いですか? 」

ミモレがまたつまらなそうに言った。

スカーレットはオムライスを頬張りながら、首を振った。


「一条とはライン交換したんだろ? 」

「姉さん、なんでそれを知ってるんですか!? 」

ミモレの顔が赤くなる。

「ほら、ちょうど飲み物が無くなってるしさ、コンビニに行こうよ」

スカーレットがそう言うと、ミモレは仕方なく頷いた。


コンビニにつくと、今日は一条と高田が働いていた。

「あちゃー、間が悪いな」

スカーレットがそう言うと、ミモレが言った。

「やっぱり、一条さんに悪いからラインの交換はちょっと・・・・・・ 」


二人は1リットル入りのグレープジュースを持って会計に並んだ。

「おはようございます、ミモレさん、スカーレットさん」

「おはようございます、高田さん」

レジ打ちは高田がしていた。ミモレが挨拶をしていると一条がやってきた。


「おはよう、ミモレちゃん」

「あ、あの、おはようございましゅ 」

ミモレはかみながらも一条に挨拶した。

「高田って、ミモレちゃんのライン知らないんだって? 」

一条が高田に聞いた。


「はい、ミモレさんラインやってるんですか? 」

高田はびっくりしてミモレに聞いた。

「はい、あの」

「ライン交換しとけば? 」

意外にもそう言ったのは一条だった。

「変な奴に襲われそうになったときとか、近所だから助けに行けるだろ? 」


「そうですね、ミモレさんが良ければ、交換しておきましょうか? 」

高田が笑顔で話しかける。

「はい、よろしくお願いします 」

ミモレが慌ててスマホを出した。

高田とミモレはライン交換をした。


「よかったね、ミモレちゃん」

一条は笑っていた。スカーレットが茶々を入れた。

「高田にミモレが持ってかれてもいいのか? 」

「そんなことには成らないでしょ? 」

一条はそう高田に言うと、少し怖い感じの笑顔になった。


ミモレは高田のラインを不思議そうに眺めてから<よろしくおねがいします>と送ってみた。高田からはスタンプで<OK!>と返ってきた。

ラインでは高田はちょっと軽い感じになるらしい。


ミモレとスカーレットは買い物を済ませると、コンビニを出た。

「一条、良い奴かもな」

スカーレットがそう言うと、ミモレは頷いた。

「高田さんも、ライン交換嫌がってませんでした。ちょっとほっとしました」

ミモレはそう言って、スマホをしまった。


ミモレとスカーレットは家に帰ると、冷めかけたオムライスを食べ始めた。

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