第18話
翌朝。
ミモレは初めて体育の授業に出た。
女教師が怖いともっぱらの評判だった。
「ちひろちゃん、そんなに怖いの?」
「うん、こわいっていうかセクハラ女教師」
ミモレはうつむいた。セクハラなんてされたくない。
「どうした、うつむいて。体育の時はちゃんとブラを外すんだぞ」
「あの、私胸が大きくてブラを外すと走ったりとかしんどいんですけど」
ミモレがおずおずと、女教師に言った。
「たしかに大きいな。Fカップくらいか?」
「あの、セクハラやめてください」
「セクハラ? セクハラって言うのはこういうことか?」
そう言うと女教師はミモレの乳首を体操服越しにつねった。
「ふええぇ」
ミモレはしゃがみこんだ。
こんなことが許されるなんて信じられなかった。
「ミモレは校庭一周してこい。 根性を入れ直してやる」
女教師に目をつけられてしまったミモレだった。
校庭一周を終えると、皆と鉄棒の授業が始まった。
ミモレは逆上がりが出来なかった。
「んんっ」
「こら、まじめにやってるのか只野」
女教師はミモレのお尻を押し上げて、逆上がりをさせた。
ミモレは体育の授業がすっかり嫌いになってしまった。
「ミモレちゃん、大丈夫?」
「ありがとう、ちひろちゃん。大丈夫だよ」
「目、つけられちゃったかもね」
「うん、こわいよ」
「教室に戻ろう」
教室に戻ると男子が部屋から出てきた。
女子の着替えの間は男子が教室を開けることになっていた。
女子の着替えが終わると男子たちが部屋に戻ってきた。
キーンコーンカーンコーン
ベルがなると皆、国語の教科書を出した。
ミモレも教科書を出した。
ミモレは国語は嫌いじゃ無い。漢字も面白いと思っていた。
人間界の読み物はいろいろなストーリーがあって、楽しかった。
ミモレは教科書をもう暗記してしまっていた。
「それじゃ、先日のテストの結果です。100点は一人だけでした。只野ミモレさん」
「はい」
「よくやりましたね」
「ありがとうございます」
ミモレは100点と書かれた答案用紙をぎゅっと握った。
嬉しかった。
サッキュバス界では国語はあまり良い点を取れなかったけれど、人間界の常識の方がミモレには合っていたのかもしれない。
そうして、国語の授業が無事に終わった。
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