第15話

私立桃山学院。

元お嬢様学校だったけど、女子校のままだと生徒数が増えないからって、最近共学になった学校だ。

元お嬢様学校だっただけあって、生徒は割合穏やかでのんびりした性格の人が多い。

「転校生を紹介する」

「只野ミモレです。遠い所から来ましたので習慣等違っていたら教えてください」


嘘は言っていない。

「只野はあの席に座りなさい」

ミモレは担任に指を指された空いた席にすわるとため息をついた。

「柊、只野に教科書をみせるように」

「はい、先生」


柊と呼ばれた生徒はミモレの隣の席だった。おかっぱ頭で制服を規定通りに着ている真面目そうな生徒だ。

「私、柊ちひろ。ちひろって呼んでね」

「私は只野ミモレ。ミモレって呼んで」

ちひろも声が小さく、おとなしい感じでミモレは胸をなで下ろした。

「ミモレさんは部活何に入るの?」

「部活?」


「あの、学校で授業以外に活動があるでしょ。私は料理部に入ってるの」

「料理部があるんですか?」

ミモレは喜んだ。これなら大っぴらに料理ができる。

「こら、柊、只野、おしゃべりは後にしろ」

担任に怒られてしまった。ミモレはしゅんとしながらも新しい友達にワクワクしていた。

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