第194話 雨率高い6

 突然の大雨により。このままだといつ帰れるかもわからない。ということで、本日の宿探しとなっていた俺と海夜。検索の結果――海夜が見つけた激安ホテル。超現在地から近かった。


「めっちゃ近かったな」

「まさかの家電量販店の隣の建物が百貨店とは……先輩チェックインしてから百貨店で夕食の買い物しましょうよ」

「だな。まあ激安なのにいいところにあるじゃん……って、海夜。真面目な話いいか?」


 俺は海夜の全身を見ながら声をかける。


「はい?」

「服——買ってやるから制服からは着替えたらどうだ?俺が怪しまれそうだ」


 そう、俺達学校帰り。海夜は制服のままである。なんか俺が高校生を連れまわしている――そしてホテルへ。と変な状況に周りにはうつりそうでね。


「今更ですかー。お出かけしている時点で変な組み合わせに見えているかもと私は思ってましたが――」

「……」


 こやつ。気が付いていたか。気が付いてるなら言えよ。途中で服屋たくさんあっただろ――って、一度家に寄ってから出てくればよかったのか。暑くて電車から降りるのが面倒ということでそのまま来たが――うん。完全に高校生を連れまわしていたというね。


「先輩大丈夫ですよ。って、確かこの家電量販店の上の階に服屋入ってますから。そこで買います」

「——なんか、全部あるなこの辺りって」

「町ってすごいですね」

「ホントだよ」


 それから俺達は階移動。海夜に服を与えてやり。着替え完了のち、ちょうど傘も手に入り。いや、服屋のレジ横にあったんだよ。うん。マジか。だったが。近いとはいえ、濡れるのもだからな。傘も1本購入してから、俺たちはホテルに無事に移動した。ちなみに外はまだ大雨だったな。そこそこ大きなビニール傘で助かったよ。海夜と2人でもほとんど濡れなかったからな。幸い道路が冠水しているところは歩かなかったし。良い場所のホテル見つけたよ。

 そしてホテル到着後は、無事に何もなく俺達は部屋まで行くことが出来たのだった。ちなみにホテル内。普通のビジネスホテルだった。シンプルなフロント。受付があり。パパっと、手続き。エレベーターに乗って部屋へ。ちなみにホテル自体が凄く狭い土地にドーンだった。まあエレベーター内で見た各フロアのマップには――普通サイズくらいの部屋で書かれていたんだがな。そんな狭いのだろうか?だったが――まあ部屋へと入ってみての第一声。


「 「狭っ」」


だった。ドア開けて1歩入ったらなるほどだった。


「でも――室内綺麗ですね」

「まあ確かにって、マジでベッドが部屋を占領だな」


 部屋のドアオープン。左手にトイレ、風呂。ちゃんと洗面所あってからの風呂だった。そして部屋の入り口から既にわかっていたが。ちゃんと説明すると、数歩進むと……室内。ベッド登場である。ベッド以外は――人1人が通れる隙間が壁とベッドの間にあって……そこを進むと入り口からも見えていた窓だった。窓のところは少し腰掛ける?いや、たまたま?なのかはわからないが、少しだけスペースがあったがそれだけ。うん。終わりである。室内紹介終わりだ。机とか冷蔵庫?ないない。もしかしたら窓のところが机?うーん。わからんが。まあ無駄に洗面所と風呂を頑張って場所取ってある。が……室内は激狭ベッドの上が生活場だった。でも室内は綺麗。寝るだけなら全く問題ないだな。ちなみに風呂は湯舟ではなく頭上からのシャワーのみだった。なるほど。すべてがコンパクトだった。


「この部屋がたまたま隅っこなんですかね?あれ?でもホテルのレビューだったから――全部?」

「もしかしたらさっき見たフロアガイド?的なやつでは広く感じたが――部屋数確保のためか。全部こんな感じなんだろうな。ベッドが入ればOKみたいな」


 俺が室内を見つつ言うと、海夜が早速ベッドに乗っかり――窓の方へ。すると――。


「あっ、先輩先輩窓際に薄い冷蔵庫あります」

「薄い冷蔵庫?」

 

 海夜がそんなことを言ってきたので、俺はベッドには乗らず。激狭の壁とベッドの間を通過して――窓際を見ると――あったよ。ペットボトルくらいが冷やせそうな薄い冷蔵庫があった。マジ薄い。そんなペットボトル用みたいな冷蔵庫あるのかよ。って、ドアを開けるだけでギリギリ。いや、開いてない?ホントペットボトルが出し入れできるギリギリの開き方だった。まあ仕方ないか。

 って、冷蔵庫で思い出したが。ほんとは暑いから水分必須というのが数時間前だったのだが――それは晴れてる時の事。今は大雨。そして気温激下がりだったので雨が降り出してからの俺達水分飲んでないというね。そんなことを俺は思いながら。


「そういや海夜。寒くなかったか?歩いてくるときひんやり。ってか。冷たかっただろ?」

「ちょっとひんやりでしたね。って、おかしいですよ。猛暑どこいったんですか?」

「知らん。まあ雨が全部冷やしたな。っか海夜。傘があったにしろちょっとは濡れただろ?シャワー先浴びろ。その間に俺が夕食パパッと百貨店で見てきてやるから。なんでもいいだろ?」

「あっ、私も行き――」


 すると海夜がすぐに付いてくる宣言――だったが。窓の外を見ると大雨は続いている。傘はあるにしても――あまり海夜を気温差というか。さっきからすごいからな。暑いところから涼しい建物。また暑いところ。涼しい建物――というのを繰り返していたら――涼しい建物から大雨。そしてひんやりだからな。今はいい感じなので海夜をこのままにしてやりたいという俺の優しさである。それに濡れるからな。濡れると冷えるだろうし。ってことで――海夜が言い終わる前に俺は口を開いた。


「海夜が体調崩すと大変だからな。せっかく室内入ったんだし。今日はそのまま温まるように」

「そんなに私弱くないですよ!」

「でも外はひんやりしてるし。気温差やばいからな。大人しく待ってろ」

「むー過保護先輩――でもまあ確かにちょっと濡れましたし。じゃ、シャワーお先です。買ってもらったばかりの服あまり濡らすのもですから既に少し濡れちゃいましたが」

「安い服だから気にしなくていいがな。明日帰るまでってことで」

「かわいいから着ますよ」

「まあ、いいか。じゃ、ちょっと行ってくるから。大人しくしてろよ」

「はーい。じゃ、先輩、美味しいものお願いします」

「はいよ」


 俺はそれからまた部屋を出てホテルの外へ。そしてほぼお隣さんの百貨店の方へ移動したのだった。

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