第192話 雨率高い4
ドザーー。
俺と海夜は電気屋巡りを終えて、そろそろ時間も遅くなってきたし。今日は帰るか。などと話しながら6階建て?くらいの電気屋に居たため。エレベーターに乗り。1階へ。そしてドアが開いて――外へと出ようとしたら。今である。目の前雨のカーテンだった。俺達と同じように呆然としている人や、雨の中へと突撃する学生。ちゃんと傘をさして歩いて行く人など様々な光景が広がっていた。
いやいや、確かに俺駅で待っている時に氷でも降ってこないかな?的なことを思った気がするが……スコールはな。呼んでないよ。まあ気温は下がっている感じだったが――うん。ちょっと厄介なことになっていた。
「「……」」
もう少し今俺と海夜が見ている目の前の光景。電気屋の前の状況を言っておくと――滝のような大雨は。先ほども言ったな。あとは電気屋の前などの道路が冠水していた。水流れてる。だった。確かこの建物へと入った時は太陽燦々と、だったはずだ。地面アスファルトからは容赦なく熱が――だったが。今はそれは全くない。水が流れている。または溜まっているだった。
「なんだこれ」
「どう見ても大雨ですね。外が一気に涼しくはなってますが――これはこれで異常ですよ。暑かったり涼しくなったり極端です」
海夜の言う通り。これは異常気象だよな。などと俺も思いながらこの後の事を考えた。このままでは俺達動けないので――今得るものと言えば……。
「傘だな。コンビニにあるかね」
俺はちょうど電気屋の隣にあるコンビニを見た。なんか見た感じ――なさそうというか。今もずぶ濡れの人が入って行き――すぐに出て来てまた雨の中を――という光景があったので。うん。考えることはみんな同じというか。結構人は居るのでね。コンビニにそんなに傘はないか。
でも一応俺は確認のため海夜に電気屋で待っていてもらい、近くのコンビニに入ってみたが――なかった。綺麗に入り口横にあった傘コーナー空だったため。俺はすぐに海夜の元に戻ったのだった。うん。冷たい。濡れた。まあずぶ濡れではないが――そこそこ激しく降っているのでね。短距離でも――だった。
「やっぱりコンビニに傘ないわ」
「駅まで行くには――濡れますね。はい先輩。ハンカチどうぞ」
「助かる」
海夜の元へと戻ると海夜がハンカチを手にして待っていてくれた。こやつ出来る子。ってか。どうするかねだった。海夜がつぶやいたように俺達は今駅からそこそこ離れたところに来ている。もしかしたらバスとかで向かえるのかもしれないが――この雨と川みたいな状況ではね。俺1人なら――だが。海夜を歩かすわけにはいかない。
ゴー。
ほら、なんか雨の降り方もおかしくなってきたよ。圧迫感を感じるレベルになって来たよ。音が尋常じゃないというか。雨粒が尋常じゃない感じだ。入り口近くで途方に暮れていた人たちが店内へと戻りだした。雨もおかしいレベルで降っているが。どうやら風まで吹いてきたらしくまるで嵐だった。
「先輩。とりあえず店内に避難しましょう。上の階に戻りましょう」
「だな。ここだと人がどんどん集まって来るかもだからな」
雨宿りのために人が増えてきたため。俺達は一度電気屋に戻った。そして電気屋の2階のところの隅っこにあったベンチにへと移動した。休憩スペースみたいなところだな。少し奥にあったからか。今この場所に居るのは俺と海夜。あと――高校生カップルだけである。ちなみにここは窓もあったため外の様子がわかるのだが――。
「音は聞こえませんが――光ってますね」
「だな」
「これはしばらく出れませんね」
なんかどんどん悪化している感じだった。今からが本番という感じで怪しい雲が――だった。それから海夜とスマホで現在の天気を確認すると――線状降水帯というのだったか。活発な雨雲が連続で俺達が居た場所に今流れ込んでいるらしく。というか。湧いていた。どんどん赤い雲が現れるという感じだった。ちなみに天気予報では晴れなのだが――うん。天気予報。今大雨だよ。
「あっ。先輩。電車止まりました」
するとスマホを見ていた海夜がつぶやいた。
「マジか」
俺は海夜のスマホを覗き込むすると――うん。運転見合わせの文字が出ていた。
「あと――線路が冠水しているとかでしばらく運転見合わせ見たいです」
「……2店舗目くらいで大人しく帰っていれば雨には振られなかったか」
「先輩が子供みたいにはしゃいでました絡んで」
「……」
待て待て逆だろ逆である。
「な、なんですか」
「いや、何にも。なんか海夜が言ってるなーと」
「突っ込んでくれないと私困るんですけど」
「ツッコミ待ちだったか」
「——うー。これはこれで恥ずかしい」
「海夜がテンションハイだったな」
「遅いです」
「ってか。気温差がったなー」
海夜とどうでもいい話をしながら俺は俺でスマホで天気を見て、現在の気温を見ていた。すると海夜が今度は寄って来て。
「むしろ下がりすぎですね」
俺のスマホの画面をのぞき込んできた。今は建物の中に居るのであまり感じないが。先ほど俺達が大学の最寄り駅に居た時は確か36度だったかと思うが――今はスマホに表示されている現在地。俺達が居る所の気温は22度まで下がっていた。確かに先ほどコンビニまで――というので肌寒いくらいに感じたが――マジで極端すぎる。意味が分からないである。地球大丈夫かよ。ってか、海夜を気にしてやらないとこいつ最近体調崩しやすいから……と思いながら隣の奴を見る。って、いや、単なるあれは飲み過ぎか。うん。馬鹿だから大丈夫か。今は何も飲んでないしな。それに寒がっている感じもないし。大丈夫である。
「先輩失礼なこと考えてません?」
おっと、まさかの何かを察知された俺だった。顔に出ていたのだろうか……。
「まさか。傘どこかで売ってないかなーって考えてたんだよ」
「先輩。傘買っても電車止まってますよ?」
「あっ、そっか。ってか、海夜。悪いな。あの時2店舗目の時でも、そこそこいい時間だったのに、ここが近いからで付き合わせたらこんな状況になって」
「いや、良いですよ。私も――先輩とぶらぶらたくさんしたかったですし。でも――傘持ってない先輩デートの準備としてはマイナスですね」
何故かニヤッと笑みを浮かべながらそんなことを言ってきた海夜だが――。
「待て待て。あの猛暑で傘とか持っている奴居ないから」
「折り畳みとか持っている人は居るかもですよ?」
「残念ながら俺には極力荷物を持たないようになので」
「それがマイナスですね。今傘があったら駅に向かえたのに」
「さらに待て、今は電車止まってるから傘あっても駅までしか行けない――って同じ会話してる気がするんだが?」
「——ですね。ちょっと温度変化に頭が付いていってないですね」
ベシベシと俺の腕を叩きながら楽しそうに笑っている海夜。うん。まあ現状帰れなくなっているが。海夜のご機嫌は悪くないのが救いか。
「海夜。頭が付いていってないとか言っているが。ここ電気屋の室内だからな?温度は快適だからな?ってか、どうするよ。なんか帰宅時間になっちゃったからか。このあたりもすごい人だし」
俺がちょっと窓から外を見ると――現在俺たちの周りこそ人はいないが。外は未だに雨は降っており。傘がいくつか見えており。ずぶ濡れで走っている人。カバンやタオルを頭にのせて――という人がかなりいた。うん。先ほどより通りを歩く。走る人は確実に人が増えているな。そして電車が止まっているということは……間違いなく駅の方はこれ以上に人が多いだろう。俺が窓の外を見ていると、海夜も同じように見つつ。
「あれですね。道路も冠水してるとかですから。もしかするとバスとかもダメで――みんな帰れないからタクシー乗り場とかが凄そうですね」
「俺達はタクシーは無理だぞ?」
海夜の言う通り。こういう時はタクシーすごいだろうなであるが。俺達がタクシーで帰ったら破産。いや、財布の残的に無理だからな。結構な距離離れているからな。まあでもタクシーで電車が動いている区間とかがあるならその駅まで行くという方法もあるが――今海夜が言ったように混んでいるのは間違いなく。待つというのは――なかなかだろう。俺がどうしたものかと考えていると。
「じゃあどうするんですか?電車動くの待ちますか?でも動いてもすぐはギュウギュウですよ?そもそも今のままだと駅まで行くだけでずぶ濡れになりますね」
海夜がそう言いながらスマホで雨雲を見せてくれた――うん。夜遅くまで強い雨がこのあたりはかかり続ける予報らしい。って――海夜の表情。何か期待してるな。顔が何か俺が言う。提案するのを待っている感じだった。
「海夜」
「はい?」
「何か言いたいことあるか?」
俺が言う。ではなく。言わしてみることにした。まあこういう時の海夜は――頑張って帰るじゃなくて――などと俺が考えていると……。
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