第191話 雨率高い3

 暑さから逃れるために電気屋へとやってきている俺と海夜。現在の海夜は――おばあちゃん。ではないが――マッサージチェアーを体験中である。


「いやー、すごいですね。気持ちいいです。背中ゴリゴリされます」

「めっちゃ体験してるよ。ってか。くつろいでるな。」

「先輩も座りましょうよ。空いてますよ」


 隣にあるマッサージチェアーを指差す海夜。


「まあせっかくだし試すか」


 海夜に言われるがままという感じで、俺も海夜の横のマッサージチェアーに座る。そしてボタン操作……って、あっ、これやばいわ。めっちゃいい感じで押してくる。うん。あと振動も――って足の方にもなんかあるのか。うわー、締め付けてきたというか。すげー、気持ちいい。


「これ――めっちゃ……いいな」

「ですよねー、ほぐれます。足気持ちいですね」

「わかる。最高」

「これ家にある人いいですね」

「確かに、家にあると毎日使えるのか」


 うん。良いじゃん。めっちゃ良いじゃん。置く場所困りそうだが――これ見ながらテレビとか。良さげである。


「先輩。買いましょう」

「バカを言うな。いくらすると思ってるんだよ。ってか、置き場所も無いから」

「まあ冗談です。私は先輩の上がいいですからね」

「謎なこと言ってるよ」


 周りに人が居ないからか。甘えん坊海夜になっていた。すると海夜がマッサージチェアーから降りて、また周りをキョロキョロ。次こそパソコン――。


「あっ、美容器具もあるんですね」


 じゃなかった。


「次から次へと……」


 俺もマッサージチェアーの電源を切りつぶやきながら立ち上がる。その間に海夜は美容器具の方へとふらふら――からのその後は照明を見ていた。うん。パソコンに辿り着かないな。パソコンって看板は離れたところにさっきから俺の視線には入ってるんだがね。海夜の視線には入らないのだろうか……?ってか――通過した。などと俺が思いつつ海夜の後ろを付いていっていると――ふと海夜が振り返り。


「ってか先輩。私たちなんで電気屋に来たんでしたっけ?」

「パソコンだよ!」

「あー、忘れてました」


 こやつ。マジで忘れていたらしい。確か海夜がパソコンって思い出させてくれたはずなんだが――いろいろ商品があり。その記憶はどこかへとぶっ飛んで行ったらしい。


「海夜。来てからすぐ楽しんでたからな」

「楽しかったです」


 超良い笑顔で返事をする海夜だった。うん。まあ楽しんでくれたのならいいかである。


「ってか。海夜。パソコン通過した気がする」

「気のせいですよ。じゃ戻りましょう」

「戻りましょう言ってるし。って、やっとメインだよ」


 くるりと海夜がUターン、というか振り返っていたため。俺の方へと海夜が進んできた。そしてやっとここに来た目的物を俺達は見ることになった。


「うわ、かわいいサイズもありますね」


 パソコン売り場はパソコン売り場で海夜がすぐに商品に飛びついていた。まるで――子供だな。うん。楽しんでるわー。


「めっちゃ高いのもあるな。まあわからんが性能がいいんだろうな」


 ここは本日の俺の目的地なので、俺もちゃんと商品を見る。


「先輩先輩。予算いくらですか?」

「まあ資金得たからその前後で、少し貯めてあったのもあるしな。使いやすいのがあればだな」

「あっ、先輩あっちにタブレット?としても使えるみたいなのありますよ。キーボードが外れるやつですね」

「へー、いろいろあるな」


 海夜に呼ばれて海夜の方へと歩いて行く俺。マジで何を基準で見たらいいのだろうか――というレベルで商品が並んでいる。


「あっ、先輩先輩。これホントタブレットみたいに使えますよ」


 並んでいる商品を触りながら海夜が言ってきたので、俺も海夜の隣へと行く。


「海夜。マジでめっちゃ楽しんでるな」

「いろいろあると楽しいじゃないですか。ほら先輩。これ使いやすいですよ?キーボード――あー先輩だと小さいですかね?私は普通に使えますが……」

「ほー。なんかあまりちゃんと見たことないから新しいのはわからないが。ちょっと海夜。場所変わってくれ」

「はいはーい。って、先輩おじいちゃんみたいなこと言ってませんか?」

「仕方ないだろ。普段新しいものとか興味ないし」

「まあですね。先輩新しいものにすぐ飛びつくタイプじゃないですもんな。一つの物を長く使うですね」


 海夜に場所を変わってもらい商品確認をする。うん。前のパソコンより小さいため軽い。でも――すごくシンプルで良い。ってか。タブレット?にもなるのいいな。持ち運びも便利そうだし。スリムなのでね。ケースとかあればカバンに入れて普通に大学へ。というのも今までのより楽そうだった。今までのちょっと大きくて持ち運び大変だったんだよな。


「先輩それにしますか?」


 あまりに俺が熱心に見ていたからか。俺の腕にくっつきながら海夜がそんなことを聞いて来た。


「まあ、他の店とかも見たり。ネットで評判や値段を見てだな」

「地味に真面目な先輩でした」

「いや、高い買い物だしなちょっとでも安くなれば嬉しいし。一回実物触るとな。ネットでも買いやすいじゃん」

「まあですね。ネットで何も知らないで買うのは――ですからね」


 そう言いながら、海夜も俺の触っていたパソコンを触り見ていた。ちなみにタブレット?にもなるからか。ちゃんと画面をタッチしても反応するというね。うん。凄いわ。これなんて言うんだろうな。ノートパソコンではないよな?これもノートパソコンに入るのか?でも前に使っていたパソコンは画面触っても何も反応しなかったからな。それに今俺達の目の前にあるのは、画面とキーボードがあるが。それがそれぞれ別になるし――うん。知らない間にいろいろ進化しているよ。ってか。マジで画面綺麗だし。ぬるぬるっていうのかな?操作がすごくなめらか。前のは――そこそこ使っていたから重たくなっていたのかもしれない。その後の俺達はというと――。


「海夜。せっかく来たから近くの店――いいか?」


 俺、海夜にもう少し買い物のお付き合いをお願いしていたのだった。


「仕方ないですねー。まあ明日休みだからお供しましょう」

「ってか。発案者は海夜だったような――暑いからの流れで……まあいいか」

「いいんです。で、先輩。次はどこのお店ですか?」

「えっとー。さっき見ていたのは――」


 それから俺達は、近くにある別のお店もチェックするために移動を開始したのだった。暑い。でも先ほどまで快適な空間に居たため。少しくらいなら大丈夫。と、思っていたのだが……。


「先輩。地味に遠いじゃないですか。結構歩いてますよ?暑いです」


 現在俺は隣を歩く海夜にクレームを言われていたのだった。いや、スマホで調べている時は少し歩いたら――だったはずなんだがね。歩くとそこそこ距離があったというやつだ。


「仕方ない。スマホで調べた時は近く見えたんだよ」

「ポンコツナビな先輩ですね」


 やれやれと言う表情をしつつこちらを見てくる海夜。


「でも海夜。楽しんでるだろ?」

「まあ移動は暑いですが。先輩とのお出かけは楽しいですし。電気屋巡りは面白いですね」

「暑いのは仕方ない」

「お店は涼しいですからね。早く入りたいです」


 海夜とそんなことを話しながら歩いていると、次の目的地が見えてきたのだった。っか。町。大きい町って便利だね。いろいろお店あるし。電気屋だけでも近くに数店舗あるからすぐに比較できるし。便利だわ。

 その後もなんやかんやで結構ゆっくり電気屋巡りをしていた俺達。いや、パソコン見るだけのはずでもね。海夜があっちへふらふらこっちへふらふらでね。そこそこ滞在時間が長くなり。おまけにまだ近くにも電気屋が――ということで、さらにもう一軒と俺が海夜に言ったこともあり。結構長い時間町でぶらぶらとしていたのだった。

 そして最後のお店。電気屋に入っている時。俺たちは外の様子を知らなかった。気が付かなかったというべきか。最後のお店へと移動している際に暑いから足早に――という中でも遠くの空を見ていたら気が付いたかもしれないことだが。うん。俺と海夜は空など見てなかった。


 その結果――ドザーー。だった。

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