第190話 雨率高い2
季節外れの暑さ……だよな。うん。まだ夏ではなかったはずだからな。季節外れの暑さ。猛暑でいいだろう。とりあえず。暑さに耐えながら電車を待っていると。途中で合流して一緒にいた海夜が今から帰っても室内暑いし。ちょっとお出かけに行きませんか?と提案をしてきたところである。そして電車が到着して、ドアが開くと同時に俺と海夜は室内へ入り――。
「「天国」」
以上。車内へと入った俺達の感想である。いや、外は猛暑。でも電車の中は――超快適空間だった。一気に汗が止まる。ちょっと寒いくらい――温度差が激しかったが。でも今はそれがちょうどいい。そして席に座るなり「こんな快適な電車からすぐに降りるのはもったいない」という海夜の意見に俺も激しく同意し。俺達はそのまま終点の大きな町へと向かうことにしたのだった。しばらくは快適空間で移動である。海夜と少し話しながら過ごしていると、あっという間に電車は終点へ。地獄のような暑さで待っている時は3分が凄く長く感じたが――快適空間での移動は30分ほどだったかと思うのだが。あっという間に感じられたのだった。
「着いたな」
電車の外に出るともちろんまた暑い。でも今は体が冷えているため。しばらくは大丈夫そうだ。
「先輩外暑いですから早くお店行きましょう」
「だな」
町に着いた後は、足早に俺たちは駅から1番近くにあった電気屋へと向かったのだった。電車で移動中に調べておきました。というやつだ。極力太陽燦々の中を歩くことが無いように近いところをいくつかチェックしておいたのだ。だから駅からの移動はスムーズだった。少し歩いて目的地到着である。
電車から降りて数分後。俺達は電気屋の中に居た。ここもまた、電車と同じく快適空間だった。そして現在はというと――。
「家電量販店っていうんですかね?いろいろあるから飽きませんよね」
俺の手を持つ海夜楽しそうに店内をキョロキョロ見ながら歩いている。まあ結構大きな店なのでね。入ってすぐからいろいろな商品が並んでいて、これなら結構な時間時間を潰せそう――って、あれ?俺達何しに来たんだっけ?という状況だった。
「パソコン見にきたんだが……」
ちなみにだが。俺は目的忘れてはいない。でも――ね。
「あっテレビ。めっちゃ大きい。そして――ほぇー、めっちゃ画面綺麗ですね。えっ?こんに綺麗なんですか!?うそー。いいなー。これくらい大きいと」
「……」
「あっ、先輩見てくださいよ。このサイズならもう映画館ですよ。ソファとかに座って観たいですね」
お店に入ってすぐ。海夜が超楽しそうだった。
「——海夜。無駄にテンション高いな」
「楽しいじゃないですか。涼しいですし。いろいろ見るものありますからね」
「まあ、いろいろあるが……」
えっと。海夜?パソコン――という話で俺達来たのでは?と俺が思いながら引っ張られていると……。
「あっ、先輩ドライヤーちょっと見たいです」
「——いや、ちょ海夜。俺のパソコンーー」
「ドライヤーは……あっち見たいですね。ほら、先輩」
「……パソコン」
どうやらパソコンにはまだ到着しないらしい。ドライヤー目指してまっしぐらの海夜だった。
「うわー、いっぱいありますね」
ドライヤーが並んでいるところで海夜が商品を見ながらつぶやく。まあせっかく来たということで、俺も海夜の隣でドライヤーを見ている。
「まあ、確かにって、高いのあるな。他より0が1個多いのもあるし」
「ピンからキリまでですね」
「マジかー。ドライヤーってあまり気にしなかったが……種類多いな」
「ですねって、先輩先輩。お隣にマッサージ機あるじゃないですか。ちょっと座ってきます」
「——こっちはマジで自由人だよ」
ドライヤーをくるりと見た後。海夜は別の物に惹かれたらしく。トコトコ歩いて行ったので、まあ急いでないのでね。俺も海夜に付いて行ったのだった。
これ――パソコンにいつ到着するかな?到着しない?まさか。
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