第188話 こっちの実家も大変12

翌日は夜間にバタバタしていた俺達だが。特に親父には何も聞かれることもなく。もちろん話すということもなかったのだった。

まあ翌朝起きて親父に言われたことと言えば――。


「何で2人っきりで何もしてないんだよ。ホント男か?」


みたいなことを言われた気がするが。スルーしておいた。


っか。なんか――俺の腕とかに赤い跡があったのは――なんだろうね。すごくつねられた気がするような……まあでもそんなことを親父の前で触れてもなのでね。それに服を着るとちょうど隠れていたので親父にはバレることがなかったためその話にはならず。まあ海夜も何も言わなかったからな。

ってことで、親父とともに朝ご飯を久しぶりに食べて――それから俺達はあまりいてもなので、昼前のバスで帰ることになった。


「じゃ」

「仁悠ー。もう帰るのか?夕方のバスもあるぞ?」

「疲れるからいい」

「先輩。お昼ごはんもらって帰りましょうよ」

「何で海夜が馴染んでるのか」

「ほらほら。仁悠。海夜ちゃんも言ってるじゃないか。っか。海夜ちゃん置いていってくれていいぞ?もっと話したいからな」


そう言いながら海夜に近寄る親父。だが――海夜はささっと俺に寄って来て――。


「——それは――先輩。早く止めてくださいよ」

「何で?」

「何でじゃないですよー」


なんか言ってきたのだった。まあ親父は残念である。


「仲が良いなー。何で仁悠にこんなかわいい子が付いたんだ?謎すぎる。俺にあってもいいだろうが」

「うるさいな」

「なんか海夜ちゃんに振られたような――」

「親父振られたんだよ」

「ショック!」

「——元気だな……」


はい。ということで、俺達は昼前実家を出発。山道を下ったのだった。しばらく嘘泣きをしながら別れを惜しんでいるような感じの親父が居た気がするが――あれ気のせいだろう。


「先輩のお父さんは面白い人ですね。はじめに聞いていたのとまったく違いました」

「そうか?」

「はい。うちのお父さんよりホント良いですね。お母さんとは――なんか似た香りを――あっ。もしかして、初めて私の実家に行ったとき。先輩がすぐにお母さんと意気投合していたのって――」

「似た雰囲気を知っていたから。マジかー。だったけど。あー、これなら仲良くなっていたら海夜の情報が流れてくるかーと」

「何で言わないんですかー。それなら警戒したのに――まあ今回先輩の情報をたくさんいただいたので良いですが」

「何を無駄にもらったのか。聞いた以上にもあるのか?」

「ありますね。それに先輩のところのお父さんのお店。ココア美味しかったです。あれは安心する甘さですね」

「腹壊していたら面白いのに」

「そんなに飲んでません」

「3杯」

「——」

「ちなみに今日も朝からもらってたよなー?知ってるぞ?」

「……」

「まあいいが。飲みすぎ注意だな」

「——大丈夫です。一度したミスは繰り返しません」

「はいはい――って……あれ?」


海夜と話しながらバス停へと来た時。俺はあることを思い出した。


「俺――何しに実家帰ったんだっけ?」

「えっ?」

「なんか用事があって来たような――」

「そうでした?」

「うーん……あっ。パソコン資金」

「あー、そういえば」


はい。目的を忘れていた俺だった。結局その後俺達は実家へと戻り――ってこの後の話だが。親父は気が付いていた。パソコンを買いたいから資金を――と言っていたくせに、もらわずに帰って行ったから。また来る口実になるだろうと勝手に思っていたとか。そんなことないからである。しばらく来ないよ。疲れるから!


再度実家に戻った俺達はお昼のバスには間に合わなくなったため――夕方まで実家に居る事になり――。


「仁悠。海夜ちゃんとのこれまでの事もっと聞かせてくれよ。開店まで時間あるし」

「先輩。先輩が話してくださいよ。どんな感じで先輩が覚えているのか知りたいです」

「ほらほらー」

「ほらほらです」

「——」


早くバスの時間にならないかなーだった。


「ほらほら」

「ほらほらー。いっぱい思い出ありますよね?」

「あっ。海夜ちゃん。ココアのおかわりどうだい?」

「あっ。もらいます。ありがとうございます」

「……」


お店にてなんか取り調べ――みたいなことになっていたのだが。俺は終始無視ということで――いや、答える必要なさそうな事ばかりだったからな。お店にあったテレビをぼーっと見ていたよ。

まあそしたらそしたで海夜と親父が勝手に話を作って盛り上がっていたんだがね。ホントこの2人――である。ちなみに――。


「先輩。ちょっと待ってください――お手洗い……」


出発前なんか海夜が騒いでいたのは――触れようと思ったが。まあこれだけ言えばわかるな。うん。飲みすぎなんだよ。3時間くらい親父と話していて、ずっと飲み物飲みつつだったからな。ちゃぷちゃぷになったらしい。


ちなみに無事に俺が1人暮らしの方の家に帰ったのはその日の夜だった。うん。なんか疲れた2日間だったな。


あっ。そうそう、パソコン資金ゲットである。なんか――親父が言っていた額より多かったのは気のせいだろう。あっ。海夜と同じっだな。良いものを買えというやつだろう。決して――他の事に使えではないと思いたいが――まあ結局海夜の時も何故多かったか――わからないままだったが――俺の方もわからないままだった。とりあえずお小遣いということにしておいた俺だった。

――メモがあってなんか書いてあったが――そんなものは見ていない。うん。あれは紙くずだ。


2人とも謎な親を持ったもんだよ。        

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