第187話 こっちの実家も大変11

海夜が寝てしばらく。


「——よいしょ」


俺は眠った海夜の頭の下にあった俺の腕を抜く。うん。起こさないようにするのが大変だよ。起こしたら起こしたで怒るからな。でも成功。ちゃんと枕へと移動させた。ってか。枕1つしかないんだよな。まあいいか。


俺はそれからまだ眠くなかったため。いや、だってさっきの寝るか?ってのは、海夜が眠そうだったから。だからな。だから寝かし終えたら、俺は起き上がり。窓の方へ。うん。先ほども見ていたが改めて――真っ暗。さすが山の中だわ。っか。この前旅行で行ったところに負けないくらいだな。って、なんで俺達はこんな山奥ばかり来ているのだろうか。決して好んでるわけではないのだが――自然とこうなっている。ってか。お店の方はどうなっているのだろうか?


俺はスマホを探して時間を確認してみると――0時前。23時55分だった。


ガチャ。


そっと鍵を開けて俺は外に出てみると――。


♪~


先ほどまでの笑い声とか会話ではなく。次は楽器の演奏が聞こえた。まあ俺の部屋は本当に防音らしい。開けるまでわからなかったからな。

まあ山奥だから、夜中にこういうことをしてもクレームとかは確かにないだろう。だから――ここはいいところにある店なのか。俺はそんなことを思いつつドアを閉めた。


ガチャ。


そして再度鍵を閉めて。うん。忘れてないぞ。いつ営業が終わるのか知らんが。その後親父が覗いてもだからな。せっかく取り付けられている鍵。ちゃんと使おうである。なんか――海夜の寝顔見せたくないし。うん。

俺は室内へと戻ると気持ちよさそうに寝ている海夜を起こさないようにそっと横に寝転ぶ。うん。先ほど俺が寝ころんでいたからちゃんと俺のスペースありである。今のところ海夜が寝ながら転がるということがないので良しだな。


すると――。


「——えぃ」

「ぐわっ」


――ドテ。


デジャブ。うん。前もこんなことをされた気がする。俺が寝ころんで数秒。なんか横から蹴られたというか――押されたのだった。今の感じからして――蹴られたというより。手で押されただな。


「——こいつ」

「先輩が腕枕から逃げたからお仕置きです」


天井を俺が見ていると、海夜の顔がベッドから覗いてきた。


「——起きてたのかよ」

「音楽の音で起きました」

「——それはなんか悪い」

「まあそれで先輩が逃げたことが発覚したので落としてみました。まだ寝てないので睡眠妨害じゃないですよね?」

「喧嘩売っているのには、変わりない気がするが……」


俺は大好き床から離れ――いやいや床なんて好んでないからな?たまたまよく落とされて――だからな?


「先輩。はい。腕枕やり直しです」


そう言いながらベッドに座った海夜がベッドを叩く。こいつ――ここに来てからホントご機嫌である。あと強気。うん。


「——」

「先輩?どうしたんですか?寝ないんですか?」

「生意気な後輩をどういじめるか検討中」

「いじめる必要はありま――きゃっ。ちょ、先輩」


俺はベッドに腰掛け。その後海夜を引き寄せる。海夜は俺の足の上に乗っかった感じだ。お腹がね。打ち上げられた魚のような状態。うん。良い感じ


「先輩。何するんですか」

「眠くないし。生意気な後輩を指導しようと――」

「へっ――?きゃ、きゃははははっはっ」


打ち上げられた状態の海夜の両脇に手を入れてくすぐってみる。うん。良い反応。足をバタバタ逃れようとするが。そんな簡単に逃がすわけはない。俺はしっかり確保し。気が付いたら暴れる海夜をベッドでうつぶせにして。指導していた。うん。ベッドの上でおぼれる海夜だった。時間にして5分。うん。優しい俺だ。長時間指導はしないからな。こんなことを数十分としたら。そりゃ本当に海夜が壊れてしまうかもしれないが。俺はちゃんと時間は守っているこれは前からちゃんとしていることだからな。無限に――ということはない。うん。優しい俺である。


「——はぁ……あはっ……ははっ……」


俺がくすぐりから海夜を開放すると――打ち上げられた海夜はしばらく壊れたのち――毎度のことのように俺は怒られたのだった。うん。実家でも賑やかな海夜だった。まあ防音効果なのかは知らんが。お店の方の出来事を知らない俺達と同じく。お店の方も俺達の事に気が付くことはなかったみたいだがな。


「何するんですか!」

「海夜が悪い」

「先輩、そこに寝転びなさいです。同じことします」

「無理だろ」

「できます!」


まあ海夜が何度叫ぼうとも誰も来なかったとさ。ちなみにそれから俺と海夜の夜間勝負は続いた。うん。なんか続いたな。必死に海夜が俺に馬乗りになろうとしたり――再度俺が反撃。するとまた休憩のち海夜が暴れて――と、まあそんなことがあって――散々バタバタした後。気が付いたら朝で俺の腕を枕にしている海夜が真横に居たのだった。

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