第186話 こっちの実家も大変10
ちょっとしたドタバタから少し。俺と海夜はまた部屋の電気を消して、窓の外を見ていた。先ほどまでのドタバタが嘘のように、またのんびりしている俺達だった。まあ基本海夜は甘やかせば大人しくなるのでね。ってか。海夜は先ほどから寛いでいるのか眠いのかあくびをしている。平和な空間となっている。
「ふあぁ――あっ、先輩。そういえば先輩のお父さん何時までお店してるんですかね?」
すると海夜がふと話しかけてきた。
「うん?さあな、あの雰囲気だと長そうだが――」
「1人で大変ですね」
まあ楽しんでいるみたいだから1人でも全く問題無さそうだがな。
「じゃ海夜。手伝ってきたらどうだ?」
「無理ですから。こんな姿でって何度も言わせないでください」
「まあ、確かに酔っぱらいも居るみたいなところに海夜はダメだな」
「先輩がシャツしか貸してくれないからー」
「文句言うならシャツ脱がすぞ?」
「できないくせに」
ベーっという表情をしてこちらを振り向く海夜。うん。絶好調だな。こいつ。
「最近は強気な海夜だった。だから俺は海夜をくすぐりで壊してやったのだった」
「ちょ。先輩。怖い未来予測言わないでくださいよ」
「海夜が油断した瞬間にだな」
「しなくていいです!ダメですよ」
「面白そうだがな」
「ダメです」
「まあ、したらあとが怖いからなーさっきもボコボコにされたし」
「そうです。先輩をまたボコボコにしますからね」
「怖いわ。って、海夜。そろそろ寝るか?眠そうだけど……」
俺が確認してみると。
「あっ……ですね。横になりましょうか。眠くなってきましたから」
海夜もちょっと身体を伸ばして俺の上から動いた。
「そうそう蹴飛ばしたらくすぐりな」
「ちょ。なんでですか」
「過去に何度もだからな。って、そうか」
「はい?」
俺は海夜と話しつつ。ふと思い出したことがあり。立ち上がり……。
ガチャ。
よし。鍵OK。これで安全。うん。睡眠妨害はすこし軽減だな。まあ中に1人居るから……と、思いつつ向きを変えると。
「……」
薄暗い部屋の中で海夜の目が点になっていた。そしてはっと、何かあったのか。海夜は恥ずかしそうにベッドへと移動して――布団を持ち。顔だけ出した。何してるんだ?こいつ。
「海夜?どうした?」
「いや……先輩。鍵閉めましたから――ちょっと」
「ああ、邪魔されるとだからな」
俺はそう言いながら背伸びをしつつベッドへと移動する。
「なっ、なんで急に――いきなりとか……恥ずかしいですね」
すると何故かもじもじしている海夜って――
「え?」
「……え?」
すると海夜がポカンとした。ってか……何度か俺変態って言われているが――こいつこそ、変態な気がする。そういうの考えまくってそうだし。
「海夜。単に寝てる時に親父が入ってこないようにしただけだからな?あの親父普通に寝顔見に来たとか言って入ってきそうだなら。何か変な勘違いしてないか?」
「……そ、そうですよね。わかってました。いきなり入ってこられたら――ですからね。さすが先輩。そうですよね。はい。私もわかってました」
「……本当は?」
あからさまにワタワタしている海夜。
「な、なにもです」
「襲われると思ったか。この変態」
「ち、ちが……だ、だって先輩いきなり鍵締めたじゃないですか――そして邪魔が――とか」
「海夜。変態」
「はっきり言うなです!」
「顔真っ赤」
「先輩!もう」
「ほら、寝ろ寝ろ」
「目が覚めましたー」
俺はそう言いながら海夜の横に寝転がる。ってか、シングルベッドだから海夜と2人って密着必須なんだがね。先にベッドに座っていた海夜もぶつぶつ言いながら俺の横に寝転がる。
「先輩のせいで眠気が無くなりました」
「じゃ……ちょっとくらい海夜が、寝るまで甘えさせてやろう。ほら」
「……」
俺がちょっと身体を起こして、海夜に隣来るように言うと――海夜はちょっと考えてから。ニコッとしてからさっと俺の伸ばした腕を持って――なんか角度調整のち。自分の頭を置いたのだった。あれ?そこ?腕が伸びていたのはたまたまなんだが……。
「腕枕する予定ではなかったんだが……単にくっつくのOKしてやっただけなんだが――」
「今のは腕枕するの形でしたね」
「海夜が腕を動かしたような気がするんだが……まあ、いいが。っか、海夜」
「はい?」
「蹴飛ばしたら――蹴り返すかたな」
「はーい。まあ先輩なら怖くないですけど。私にそんなことできませんから」
「おい」
「ってか。そういえば先輩に腕枕されるのはあまりありませんね。今度からはこれで、すごくいい感じです」
「嫌だよ。疲れるし」
「ダメです」
結局それから海夜は俺の腕を離すことなく。しっかり頭を置いて、寝息をたてだしたのだった。うん。動かせないってつらいな。まあ真横にかわいい寝顔があるのは――なかなかいい事だが――でも腕が――である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます