第185話 こっちの実家も大変9

海夜とともに座りながら自室から空を見てみると――ちょっと見にくい――というのはあったが。それでも星は確かに綺麗に見えていた。周りが暗いってすごいな。ちょうど俺の部屋は裏側。お店の明かりも全くないところなので、星が綺麗に見えていた。


「おー、いいですね」

「だな」

「ってか、先輩。彼女とくっついて興奮してます?なんか先輩から熱を感じるんですが――」


何で即いい雰囲気をこいつは壊しに来るか。


「風呂上がりだよ。馬鹿か」

「本当ですか?」


何故かニヤニヤしながら振り返ってくる海夜。超意地悪そうな笑みで海夜がもたれてくる。


「ニヤニヤしてるな。おい」

「先輩が熱くなってますー」

「謎なことを言うな」

「ちなみに先輩」

「なんだよ」

「温かい先輩もいいですねー」

「さらに謎」

「抱かれてる感じが強いです」


そういいながら、もたれくる海夜って――風呂上がりの俺は暑いんですがね。地味に海夜もまだ熱持ってるし。


「落としていいかなー」

「嫌です」

「くすぐったらいいか」

「叫びます」

「ここ防音」

「なっ……ごめんなさい。くすぐりはダメです」

「……やばいなぁ。めっちゃくすぐりやりたくなった」


うん。そうだよ、防音なら海夜が言うこと聞かなければなんでもやりたい放題というね。そのことに気が付いた俺だった。


「先輩!」


まあ俺の足の上でなんか抗議をしている奴がいたがね。まあ特に問題ない。 それからしばらく海夜がもたれて来ており。2人で星を見ながら馬鹿なことを言い合っていた俺たちだった。


それからしばらくして。


「海夜?」

「はい?」

「喉乾かないか?」

「あっ、欲しいです」

「なんか探してくるよ」

「一緒に行きます」

「はいよ」


俺たちは一度水分補給のために部屋を出た。すると、まだお店の方は賑やかで――ドアを開けた瞬間だった。本当に防音が完璧なんだな。という答え合わせかのように――。


「あらー、息子さん遂に彼女を?」

「そーなんですよ。いきなり連れてきまして」

「今居るの?」

「2人仲良く裏にいますよ」

「あらあらー」

「俺のところが彼氏とか連れてきたら――ぶっ飛ばしてやるのに」

「まあまあ、飲みすぎよ」

「かわいい娘取られてたまるかー」

「でも若いっていいわねー」

「まあ、触れるもできない息子だと思いますけどねー」

「あら。大変」


どうも、勝手に会話がお店の方で行われているらしい。だが、今出て行く気にはならない。絶対嫌だしな。むしろ今聞いたことはすぐに忘れることにした。ちなみに、声からして……ママさん会?まあなんかのサークル言ってたから噂好きみたいな人が多そうだからな。うん。我慢我慢。声的には――親父より上。または親父くらいか。あと男性も居るのか。既に酔っぱらいも居るらしい。こんな山奥でどうやって帰るんだろうな――ってタクシーがあるか。


「……」


俺がなんか聞こえてくる会話にいろいろ思っていると――。


「先輩言われてますね」


後ろに居た海夜がニヤニヤそんなことを言ってきた。


「うるさいな」

「まあ、ちゃんと抱きしめてもらいましたけど、触れるはクリアですね」


海夜は楽しそうコソコソ言ってきた。


ちなみにその後リビングへと移動した俺たちは冷蔵庫内を確認。って、ちゃんとあの親父好きなの飲めと冷蔵庫にメモがあった。準備が良すぎるだろ。普段ならありえないのに。海夜効果はすごい。


「まあ水とお茶でいいか」


ジュースなどもあったが。俺は手前にあったペットボトルを取る。


「——ココアはないですね」


俺の横から顔を出した海夜はそんなことを言っていたが――。


「今日で数年分飲んだだろ?」

「そんなに飲んでないですよ」

「っか、腹壊されてもだからな」

「だから、大丈夫です。ちゃんとわかってます」

「はいはい。で、海夜もこれでいいか?」

「はい。それで大丈夫です」

「じゃ。戻るか。ここに居ると聞きたくない会話が勝手に聞こえてくるから」


飲み物を俺が持つと海夜が冷蔵庫を閉め。俺たちは地下に戻っ――。


「俺くらい経験豊富ならねー」

「あはは」

「よっ、マスター」

「どうせ童貞のあいつじゃなー」

「……」


うん。なんか聞こえてきたが何も聞こえなかったふりをして――俺はドアを閉めてから。


ドン!。


うん。ちょっと頭を打ちたくなったので壁にぶつかっておいた。防音なので大丈夫だろう。少し揺れたかもだが――。


ホント。お店では……俺たちの話で勝手に盛り上がっているみたいだ。賑やかだ。やめてくれなんだがね。しばらく出るのはやめよう。精神的にやられる。


ちなみに――ちょっとおでこ痛い。するとここで追い打ちをかけてくるのが俺の彼女である。


「先輩は未経験なんですねー」

「……海夜?」

「てへっ」

「はぁ……馬鹿ばっか

「あっ。私も馬鹿に入れましたね」

「入れた」

「あったり認めたー」

「ちなみに訂正があると思うぞ」

「——訂正?」

「『先輩は未経験なんですねー』じゃなくて『先輩も未経験なんですねー』だろ?」


俺がふと海夜に言ってみると――海夜少し考えてから――顔が真っ赤になった。


「……なぁ!何言うんですか!」

「じゃ海夜は経験豊富と」

「違います!」

「はい。仲間仲間」

「むぅ――こんな形でバレた」

「知ってたし」

「何で!?」

「嘘。今確定した」

「——この先輩は!」


その後俺がいじめられたが――もちろん俺たち以外に知られることはなかった。防音ってすごい。ちょっとしたバトルのち俺達はやっと水分補給をしたのだった。うん。水分飲むために暴れるとか。俺達馬鹿だな。

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