第175話 冷たいもの注意2

携帯ショップからの帰り道――俺の予想通りの事が起きたところだ。

だから――俺は特に驚くこともなかった。


「……えっと――先輩。お腹冷えちゃったみたいです」

「はぁ……だから腹壊す言っただろ」


俺はそう言いながら少し後ろで立ち止まった海夜の元に向かう。


「うぅ……痛い」

「だろうな。冷えるって言っただろうが」

「はい……」

「まあ冷えたなら温めないとだな」

「やっぱホットが私はいいです。アイスはたまに――普通サイズでいいです。ちょっと――本当にお腹痛いです」


そう言いながらゆっくりしゃがむ海夜だった。


「だな。あれはデカかったから。だから手伝おうか、って言ったのに1人で食べてこれか」

「……すみません」


結果少しその場で海夜を休ませて――うん。たまに通る人に怪しい感じで見られた気がするが――仕方ない。とりあえず少し海夜の腹痛が落ち着くのを待って――その後海夜を支える形で家へと向かったのだった。その後は海夜を海夜の部屋へとほりこんで――うん。とりあえず後はいろいろ恥ずかしいというか。うん、俺が居てもなのでね。何かあったら連絡しろよ。ってことで、海夜を家に届けて。俺は俺で自分の部屋へと帰ったのだった。


それからしばらく海夜からの反応はなかったが――俺が風呂に入り。出てきた時にメッセージが来ていた。


「治まりました。ご迷惑をおかけしました」


うん。どうやら治ったらしい。良かった良かったです。なので俺は「馬鹿食いはほどほどに――」と返事をするとすぐだった。


ピンポン。


「——夜中に来たか」


現在22時26分。俺の部屋のインターホンが鳴る。まあ海夜だろうな。と思いつつ。


「はい?」

「あっ。先輩」


ガチャ。


海夜とわかったところで俺はドアを開ける。いや、もしかして――があるからな。知らない人だったら怖いだろ?うん。確認大切だよ。


「腹壊し娘か」

「ちょ、先輩」


海夜の頬が膨らむ。ちなみに――海夜上着を羽織っているが、どう見ても下はパジャマである。うん。見えてる。ってことは――。


「どうした?」

「……冷えたから先輩に温めてもらおうと――」

「自分の部屋で布団に入りなさい」


俺はそう言いながらドアを閉め――。


「なっ。なんでですか。ってさらっとドア閉めないですください」


れなかった。結局海夜により強制的にドアは開けられ、海夜は開いた隙に俺の部屋に入って来たのだった。


「不法侵入」


ドアのカギを閉めつつ俺が室内へと入って行った海夜に言う。


「いや、それ言ったら先輩今鍵を閉めましたから監禁です」

「……開けれるから問題ないだろ」

「いや、あります。って――その、さっきはごめんなさい」

「おお、真面目に謝れるようになった海夜。じゃ、おやすみ」


俺はそう言いいながら閉めた鍵を再度開けようとすると――。


「だ・か・ら。一緒に寝たいです。だから来たんです」

「えー」

「何でそんなに嫌そうな顔なんですか」

「子守は大変だからな」

「子守!?」

「まあ泊まるなら――海夜がバカみたいなの食べて腹壊した。あと、なんかお金がたくさん入っていたから最新機種買ってました報告海夜母にしないとな」

「ふふふっ、既にお母さんには連絡済み――って、先輩なんで余計なことも言おうとしてるんですか」

「面白くなりそうだから?」

「むー」


やばいやばい。海夜の頬パンパン。破裂するな。


「はいはい。って、海夜ももう寝転がるだけだろ?」

「あっ――はい」

「じゃあ今日は何か歩き回ったしもう横になろうとしてたから。横になろう」

「賛成です。あっ。あと、先輩。寝転がりながら。先輩の連絡先また登録させてください」

「えっ?あー、そういえば、海夜の電源付かないんだもんな」

「はい。で、バックアップとかほとんど――ってか。全くしてなかったので」

「そりゃ困る――いや、海夜の交流関係的に困らない気がする」

「……なんかさらっと言われるとムカつきますね。先輩も同じく連絡先なんて数えれるくらいしかいないくせに」

「親と海夜と――海夜母だな」

「お母さんのは消しましょう。何で入ってるんですかね。って、先輩ホントに少ないですね」


俺のスマホを覗き込みつつ海夜が言う。


「海夜もだろ?」

「えっ?そんなことないですよ?前のスマホには――実家。お母さん。一応お父さん。先輩ですけど?」

「……なんか一応ってのと、実家の番号を数に含めていいのか――とかあるんだが。変わらんよな?俺と」

「いやいや先輩の倍です」


そんな何とも悲しい言い合いをしながら俺達は部屋に移動し。そのまま2人でベッドに寝転がった。するとすぐに海夜が真横へとやって来て2人でうつぶせになりスマホを操作したのだった。

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