第173話 ここ危険?安全?2
宅配便のお兄さんが帰ってすぐの事。
「先輩。行きますよ。遅くなります。スマホ買えないじゃないですか」
「あ、だな、うん。じゃ、バタバタですが今日は――」
再度海夜が俺を引っ張りながらそんなことを言ってきたので――まあ確かにな。ここで時間を使うとまたスマホの買い替えに後日出かけることになるということで、挨拶をしようとすると――。
「あらあらー、いろいろ聞きたかったのにー。ちなみに子どもは出来そうかしら?ふふふー」
ポン。と爆弾発言を落としてくれる海夜母だった。一気に海夜の顔が赤くなり――。
「お母さんに持つ持って、とっとと部屋戻って!先輩。行きますよ!早く!バスの時間もあるんですから」
乱暴に引っ張られる俺だったとさ。
「あらあらー。慌ててるわー。これは――まだね」
「うるさい!」
「——海夜。ちょっと近所迷惑じゃないか?」
「そうよー。あっ、それに海夜。バスだと――」
「お母さん黙る。先輩行きますよ早く」
海夜母が何か言いかけたが海夜により遮断。そして俺は、顔を赤くした海夜が力強く俺の腕を引っ張ってきたため、俺は海夜家から出ることとなったのだった。その際になんかにこやかに手を振っている海夜母が居たのだが――ホントここに来ると何かあるだった。ってか、滞在時間短っだった。
ちなみに海夜の家を出た後も――。
「先輩。早く歩くんです。あんなところ居ちゃだめです」
グイグイ引っ張られる俺だった。
「海夜顔真っ赤」
「うぅ――うるさいです」
「怒るなよ」
ちょっと海夜の隣まで追いついてみて、頭をポンポンしてみると、ちょっと海夜は口を尖らせながら……歩くスピードを落とした。
「怒ってないです。もう、適当なことばかりお母さんも毎回言って――子どもとか……それに何で先輩何も言わないんですか!」
「大人しくなったと思ったらすぐに戻ったよ」
「……なるほど。ヘタレ先輩はお母さんにニヤニヤしていたと。串刺しにならなくて残念ですね」
「海夜。呼び方おかしくなったぞ?」
あれ?ちょっと適当ポンポンはだめだったかな?と、思いつつ海夜の方を見ると――。
「——ヘタレ」
海夜と目が合った瞬間そんなことと言われたのだった。ニヤッと海夜もしていたので――楽しんでやがるみたいだ。
「おい」
「ヘタレ先輩」
再度言われた。
「喧嘩売ってきたか」
「ヘタレ先輩は串刺しになればよかったんです。そこで私が助けたら私に頭が上がらなくなったのに」
「そんな未来は嫌だな。海夜様になるとか」
「付いてくるんです。家来先輩」
そう言いながらまた海夜が俺を引っ張る。
「意味わからんことを言うな」
「お母さんに横取りされるくらいならとっとと家来にしないと――」
「何で家来なんだよ」
「いうこと聞くのです」
「はぁ……」
それから俺は海夜に引っ張られつつ――バス停まで戻って来たのだった。そして俺が時刻の確認をすると――。
「あれ?海夜」
「はい?」
「バス停には来たが……バスないぞ?」
「えっ!?」
俺がちらりとバスの時刻表を見ると……ショッピングセンターの方に向かうバスって……夜までないぞ?という現状だった。ってか本数少なっ。だった。
俺が言うと海夜はバスがあると思っていたらしく慌てて俺の横でバスの時刻を確認しだした。
「見てもないぞ。3時間待つな」
「嘘ー!?って、なんか本数減った気がします……確か前はもっとあったような――」
時刻表を見つつぶつぶついう海夜。ってそういえば海夜の家を出るとき――。
「ダイヤ改正でもして減ったか。ってか、海夜の家出るときに海夜母がバスの――とかなんか言いかけていたの。これじゃないか?」
「それは知りません」
「即答だな。って、どうする?駅行って大回りするか?」
うん。海夜の家からバス停は駅とは真逆だったため結構歩くことになるのだが――などと思いつつ俺が聞いてみると。海夜も考えつつ。
「ショップって19時20時くらいまででしたっけ?」
「わからん。でもそれくらいじゃないか?まあ時間的には大回りしても大丈夫だろう」
「なら、駅向かって、大回りでショッピング――って、先輩先輩」
くるりと向きを変えて、さあ、またちょっと長いが歩くか。と俺が思っていると、海夜が声をかけてきた。
「うん?どうした?」
「よくよく考えたら――駅前にも携帯ショップあります」
あははー。という表情で海夜がそんなことを言ってきたのだった。つまり――。
「……つまりショッピングセンターまで行かなくていいと、バス停までは無駄足だったと。海夜が母から逃げるためにグイグイしてなければ――か」
「……てへっ」
なんかかわいい仕草をしているが――海夜よ。家から逃げるだけしか考えてなかったな。である。うん。このおバカさん。あとでちょっといじめようかな。無駄に歩かされたし。
「……はぁ――褒めてない。ってか、家から離れるしか考えてない海夜だったか。もっと早く近くにショップあるの海夜が思い出していたら――」
「だ、だって。いろいろ言われましたから。それにあのまま居たら先輩動かなくなりそうでしたから」
「動かなくはならないと思うが――」
「ご飯とか出てきたら?」
「……なるほど」
「ってことです。それに――子どもがどーとか……話す必要……ないです――から」 「まあ触れなくていいな」
あー、そんな話もありましたね。うん。俺はスルーしたが。って、さっきも海夜はぶつぶつ言っていたような……めっちゃ気にしてるよな。などと俺が思っていると。
「ってことでとりあえず家から離れることで大変だったから仕方ないんです」
海夜がなんか、えっへん。という感じでそんなことを言っていた。うん、まああとで歩かせてきた分いじめておこうは決定しているから今は何も言わない俺だった。すると、何も言わない俺が気になったのか。
「——?ヘタレ先輩。なんかいやらしい事考えてません?」
にゃっとした顔で海夜がこちらを見てきた。なんかムカつくというか――うん。そういう表情。馬鹿にしているような表情を海夜はしていた。
「めっちゃ馬鹿にされてる……よし。海夜。やっぱ1人で行ってこい。俺ゆっくり帰るわ」
「あっ、ごめんなさい。先輩来てくださいよ。お金持って1人は――怖いじゃないですか。ちょっとふざけただけです」
慌てている感じの海夜だが――表情は緩んでいる。つまり――楽しんでいるのだろう。うん。これはあとでいじめるのも追加だな。うんうん。
「……はぁ、仕方ないな。あとでくすぐり地獄か」
「な、なんでですか!意味わかんないです。何をいきなり言い出すんですか」
おっと、ちょっと声が漏れてしまった。
「ほら、いいから歩け歩け」
俺はとりあえずバス停居てもなので海夜の背中を押しながら歩き出す。
「あっ、先輩。くすぐり禁止ですからね?ちょっと、突然変な事言ってくる変態先輩」
「ってか、パソコンどうしようかなー」
「聞いてない!?スルーされました。ヘタレ先輩。変態先輩」
うん。聞いてないフリをする俺だった。ってか――歩きながらそんなことを言われ続けると俺が警察の御用になる可能性がなくもなかったので――すぐに海夜の首根っこをつまんで見たり。ほっぺをつまんで見たりしたのだが――。
「——先輩……外でこれは恥ずかしいです」
「——だな」
うん。どう見ても歩きながらイチャイチャしているようにしか見えなかったため――その後は大人しく駅まで歩いた俺達だった。
その後のことをいうと、俺達は無事に携帯ショップにたどり着き。まあちょっと待つことにはなったが。ショップが閉まる時間には無事に海夜のスマホ交換作業が終了したのだった。
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