第169話 困ることはありませ――ん?
太陽がかなり高い位置にある。
今日はこのまま晴れと思っていいだろう。という天気だ。うん。いい天気。今日は休みということもありのんびり……?あれ?のんびりで良かったんだっけ?なんかあったような――って、まあちゃんと覚えているのだが――などと俺が思っていると。
「先輩先輩」
俺の横に居た海夜が話しかけてきた。
「うん?なんだ?」
「今日の予定覚えてますか?」
「覚えているが――まあ、なんかおかしいな。予定通りじゃないというか――」
時間を見つつ俺が返事をする。ちなみにもうすぐ12時だ。お昼のね。正午ということだ。
「おかしいですね。私の予定では朝から先輩とお出かけだったんですがね?なんでこんなことになっているんですかね?」
ちょっと怒り気味?拗ね気味?で海夜が言ってくる。って、待て待てだ。
「待て待て俺のせいにしようとしてないか?」
「先輩が原因です。昨日私を甘やかし続けて、たくさんお昼寝までさせちゃったから。夜寝れなくて、先輩を突っついていたら楽しくなってー起きたらお昼だったじゃないですか」
「……明らかに原因は甘えん坊だった海夜では?」
「違います。先輩がなかなか私を寝かせてくれなかったんです。寝かせてくれなかったんです」
「嘘を2回も言うな。あと今俺を突っついていた。と、自分で言ったよな?」
「……そ、そうです。先輩が私を離したくないからと。えっと――そ、そうです昨日は家にも帰らしてくれなくて……」
「……過去をコロコロ作るな」
頭が痛くなってきた。というか。俺たちは何を今してるんだろうな。ちなみに海夜が言っていることは全て嘘である。今のところ起きたらお昼だった。というのが正しいくらいか。
「せ、先輩がずっと私を抱いてました。だから寝れなかったんです。抱かれたんです」
「——」
まだ何か海夜は言っているが――これも嘘である。 2回もまた海夜は同じこと言っているがな。大切なことなので2回というより。言うことがなくて同じことを2回言っているのかもしれない。
「……先輩?」
あれ?返事してこない。反応してこないんですか?という表情をしながら海夜が俺の顔を覗き込んできた。ちなみに海夜に関していろいろバラしてやるとザ・寝起きである。髪はボサボサで着替えもしていない。全く出かける準備ができていない海夜だ。まあこれはこれでかわいいのだが――って余計なことを言うとなので。
「——次嘘言った場合はお仕置きだな」
「なっ、お、お仕置きってなんですか。意味わかんないですよ。先輩が壊れました。やっぱり熱がまだあり――いや、元から先輩はおかしいか?そうですね。私をいじめてきますから」
「——海夜?」
なんかまだぶつぶつ言ってるな?と思いつつ俺が海夜に声をかけると何故か緊張でもしたのか。パッと海夜がこちらを見て返事をした。
「は、はい?」
もしかしたらお仕置きという言葉が効いている?と俺は思いつつ。
「ラストチャンス。説明は正しくすること」
「……説明って、わ、私たち以外居ないですよ?誰に説明――」
「確認作業は大切だからな。ほら」
「……えっと……昨日は先輩に甘えました」
「うん」
「先輩にくっついていたらやっぱり安心して……離れたくなくなって。あっ、それは前の日先輩がぶっ倒れていたのが悪くてですね。私我慢してましたから――だからとにかくずっと甘えて――でも気がついたら私寝ていて……」
「うんうん。寝てたな」
「起きたらまた――その先輩に甘えたくなって」
「うん。起きてすぐになんか飛んで来たな」
「——な。なんか。先輩がなんか審査員みたいです」
「ほら、海夜。正しく最後まで」
「う。うー、えっと。夜になっても帰りたくないと――しばらく私が駄々をこねました。先輩とくっついていると……幸せ……って、先輩これなんか恥ずかしいです……」
「みたいだな。顔赤くなってるな。でも話す」
「意地悪だー
「はい。次」
「……うー……その、結局私が無理矢理先輩にしがみつき。なんとか泊めてもらいました」
「その後は?」
そう、大変だったんだよ。昨日の海夜は何故か久しぶりに会ったみたいにくっついて来てよ。うんうん。帰れと言ったらくっつくし。離れないから逆にくっついていていいって言ったら――マジで離れなかったし。大変だったんだよ。
「……えっと、お昼寝し過ぎたから夜は全く眠くなくて……だから先輩で遊んでました……夜中まで……眠そうな先輩の睡眠妨害しました。ちょっと楽しかったです」
「——結果は?」
「……2人してお寝坊さんです」
「はい、よくできました」
うん、確認作業終了である。これが昨日の午後の事だ。海夜が話し終えると俺は海夜の頭を撫でる。つまり俺全く悪くない。むしろ被害者ね。昨日甘えん坊の相手大変だったんだからな。マジで大変だったんだぞ?これでも一応病み上がりだったのにね。後輩の相手して。って、まあ本当にあの体調不良は嘘だったのでは?ってくらい治ったら治ったでめっちゃ元気なんだがな。
「な、なんですかー。これ」
説明が終わると顔を赤くした海夜が抗議してきた。ちなみに撫でるのは続けろ。だった。
「いや、普通に事実確認。俺悪くないっていう証明」
「必要ない気がします!私と先輩しかこの場には居ないのに。恥ずかしかっただけです」
「大事だろ?海夜が暴れたって。うん、ちなみに恥ずかしいということをずっとしていた海夜だからな」
「なっ。ってか暴れてない――です。はい」
「大荒れだろ。現に今自身な下げだったし」
「せ、先輩も嘘禁止です。説明は正しくですよ!暴れてはないです」
「寝る時までしがみついて来て撫でろやらやらうるさいし。俺が寝てたら乗っかって来るし」
「そ。それは――先輩が寝ぼけて――記憶違いです。私はその突っついたりしただけです」
「いやいや、突っつくもあったが。なかなか暴れていた」
「あれは暴れてないです。暴れるのはもっと暴れます」
「——」
「何で黙るんですか」
「海夜は変態っと」
「何でそんなことになるんですか!」
ということで、海夜が騒いで俺の胸あたりをぽかぽかしだしたところで現状説明もしておこうか。
今日は海夜のスマホが調子が悪いということで、携帯ショップに行くと言っていた俺たちだが。昨夜海夜が元気だったがために、2人して先程起きたところである。うん。2人とも寝起きだ。
ってか――別に時間指定があるわけではないので――。
「まあ、昼から行けばいいか」
「あっ、はい。まあですね。時間はいつでも良かったので」
「俺は関しては単なる付き添いだがな。居なくてもいいという」
「居ないとダメですよ」
「そうなの?」
「そうです。ってか、先輩」
「うん?」
「体調大丈夫ですか?」
「——まさかの昨日夜寝かす気ゼロだった奴がそんなことを聞いてくるとは……びっくりだわ」
「ぜ、ゼロではなかったですし。先輩も楽しんでました」
うん。ホントなんで今このタイミングで思い出したかのようにそんなこと聞いてくる?だった。ってかここで実は俺まだ体調が――と言ったら海夜はどうするんだろうな。ちょっと気にはなるが――まあ別に元気だし余計なことは言わなくてもいいだろう。
「楽しんでいたね……あー、まあ暴れる海夜のほっぺを引っ張ったくらいだな」
「あっ。そうですよ!思い出しました。痛かったです。あれはダメです」
余計なことを俺言ったらしい。海夜は忘れていたらしいが――ってか。海夜がぐっと近寄ってきた。
「あれは海夜が睡眠妨害。突っつきまくってきたからだ」
「ほっぺを引っ張ったお詫びとして――」
「何もしないからな?」
「まだ何も言ってないです!」
「ってかさ。海夜。着替えてきたらどうだ?出かけるんだろ?」
「あっ、です。着替えてきます」
「あと、早くよだれ洗ってこい」
「なっ、そ、そういうのは早く言ってください。恥ずかしいじゃないですか!って、髪もボサボサにされました!先輩撫でながらボサボサにしてきました」
「よだれは嘘。髪は俺が触る前からボサボサだよ」
「もう!準備が大変です。って嘘は禁止です」
「知らん」
「何でですかーって、準備してきます」
それから海夜はバタバタと荷物を持って自分の部屋へと帰って行き――またしばらくしてからこちらへと戻ってきた。外出バージョンでね。ちゃんとオシャレしてきたよ。
ということで。やっと予定通りに事が進みそうだ。
俺たちはその後簡単にブランチ?単なる昼?まあ軽く食事のち家を出発したのだった。
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