第166話 安静に……4
ピンポンピンポン……。
「元気なピンポン押しだな。押しすぎで壊すなよ。って、はいはい聞こえてますよ」
これは海夜だな。と思いつつ連打されるインターホンの音を聞きつつ俺が玄関を開けると――。
俺の服を着たままで多分寝起き?の海夜が玄関の前には立っていた。ってか、靴がなかったからかサンダルでここまで来たらしいが――ザ・部屋モードみたいで、なかなかこれはこれでレアな海夜の姿だった。うん。これはこれでありだな。
「先輩、なんで起きてるんですか!ってか。何で私自分の部屋に居るんですか!」
そしてドアを開けて早々にいろいろ文句を言われた俺だった。
「——朝から元気だな……って、海夜。近所迷惑だからとりあえず入ったら?」
「ホントですよ。失礼しまーす」
とりあえず俺は海夜を部屋の中へと入れた。室内へと移動して――俺がベッドへと腰を掛けると海夜をすぐに横に座り。再度お話が続いたのだった。
「朝からバタバタしてる先輩ですね。騒々しい」
「いやいやいや、騒いでいたのは海夜なんだが――?」
「何で私自分の部屋に居る――って、待ってください。何で先輩起きてるですか!?」
何でこのタイミングで――だったが。うん、まあまだ海夜は寝ぼけているのだろうと俺は勝手に思いつつ。
「今?って――いや、元気になったし。超元気。睡眠大切だよ。寝たら治ったよ。ただ寝ただけで」
「寝ただけで――すごいですね。まあ昼過ぎからずっと寝てましたからね。飲まず食わずで、本当は起こした方がいいかと思ったんですが――」
「まあな、ってことで今から朝ご飯なんだが――食欲も戻ってるみたいだし」
「回復力が意味わからない先輩ですね。私だと――無理ですね。はい。寝ただけで――治るかもですが。こんな急に。1日で完全復活っておかしいです。ココアとか飲ませてくれたら――治るかもですが――って、それは置いといてです。何で私自分の部屋に居たんですか!?」
いやいや、海夜よ。ココア飲んだら治るってのも――なかなかというか。おかしい気がするぞ?今度そんな機会があったら試してみたい気もするが――ってか。そうだよ。
「先輩?聞いてます?実はまだ体調悪くないですか?」
「あー、悪い悪い。朝から騒がしいのが来て、意味わからん事言ってるなー。こいつ頭大丈夫かなー。実は海夜に風邪うつして俺治った?それだとさすがに悪いから――まあとっとと追い返して――とか思いながら。まあ海夜が怒らない言葉を考えていた」
「……先輩の方が意味わからばいですよ?って、考えていた割に怒らせようとしてません!?わざとですよね!?」
「元気だなーって、いやー、海夜は俺が早朝に起きたらなんか横で寝てたし。そのままだとさすがに辛そうな姿勢だったから。海夜の部屋まで運んだ。あっ、そうそう鍵机の上な」
俺はそう言いながら海夜の部屋の鍵を指差す。そこには海夜の部屋の鍵がある。
「あっ。そうですよ。鍵!って、なっていたんです。ちょっと鍵だけ閉めてきます。開けっぱなしとか不用心ですから」
「行ってら」
それからバタバタと海夜が出て行き――すぐに戻って来たのだった。
「泥棒さんはいませんでした」
「中は見たか?」
早かったので多分鍵閉めてきただけだろうな――と俺は思いつつそんなことを言ってみると――。
「あっ――先輩一緒に来てください」
どうやら本当に海夜は鍵を閉めて出てきただけだったらしい。まあ大丈夫だとは思うがな。でも真面目に海夜が――心配。という表情になっていたので。
「——大丈夫だろ?」
と、言いつつも俺は立ち上がって。
「だめですよ。もしかしたら――ですから、一緒に着てください」
「はいはい」
海夜に引っ張られる形で海夜の部屋へと向かったのだった。
ちなみに、短時間だが。鍵を開けたままの海夜の部屋の室内確認したのだが――まあ問題なしだったがな。海夜の指示のもと各部屋。風呂場も全部俺が先頭で見ることになったのだが。問題なし。ってか。確認中に「勝手にいろいろ見ないでください!」と、何度も言われたが――見ないで確認は無理だろ。だった。うん。まあそんなことがあって再度俺の部屋へと戻って来たのだった。
朝からバタバタだよ。でも身体は――問題ないな。うん。マジで治ったらしい。怠さ0となっていた俺だった。むしろいつもより元気なくらいだった。
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