第162話 安静に……

「あー、美味しいわ。今日は暖かいお茶が美味しいな」

「ですね。でもこういう時に先輩は私の好きなものを準備していると評価ポイントが上がるのに」

「お茶もいいだろ?」

「まあいいですけどー」

「無いものはない」

「まあ先輩ですからね」

「どういう意味だよ」

「準備が悪いという事です」

「濡れネズミが」

「むー」


現在俺は部屋にて海夜とともに暖かいお茶を飲みつつまったりとしてるところである。ちなみに俺の横で――チュウかヂュウかはわからないが――なんか訴えそうな雰囲気の海夜が居るのだが――うん。そっとしておけばいいかな?多分海夜的にはこういう時は好物。ココアとか準備できないんですか!みたいなことを言っているのだと思うが――いやいや家に常備されてないからな?まあそのうちしてもいいが――って、夏でも海夜はホットココアがいいのだろうか?それともアイスココア?うーん。それはまた聞いておかないとか。

そうそう、あと外は――大雨のままである。窓が綺麗になっていくよ。ずっと水がガラスを流れている感じだからな。


「先輩」

「うん?」

「風邪ひいたんじゃないですか?」

「いやいや、元気元気。誰かさんがくしゃみしまくるから俺の身体もくしゃみしたくなった――いや。海夜に貸したジャージが久しぶりで埃を持っていたか」

「まあ――見た目元気そうですね」


何故か俺がくしゃみをしてから海夜が俺の事をずっと見てきている。

そういえば……前に風邪をひいてなくて怒られたことがあったような――って、今のパターンは海夜の方が風邪ひいてそうなんだがね。ずぶ濡れだったし。濡れネズミだったし。まあ今はもういつも通りの海夜――ぶかぶかのジャージがちょっと面白いが。歩く時にズボンをちょっと持って歩く海夜がかわいかったりした。うん。ちょこちょこ歩いているみたいでね。


「——は……は……はくしゅん!」

「——」


うーん。あれだな。海夜に貸した服が埃を持っていた様子だ。

すると急に俺のおでこに冷たいものが触れた。ぴたっと海夜の手がやって来たのだった。


「——海夜?何してるんだ?冷たいんだが?」

「うーん。お風呂の後だから――これくらい?うーん」

「海夜?」

「でも先輩ちょっと顔が赤い気がしますね」

「……何をしてるんだか。くしゃみくらいするだろが」


またまた俺がくしゃみをしてしまったから、海夜が俺に付か寄って来て――座っていた俺の足の上に乗って――うん。何で乗るかな?まあ軽いから良いんだが――とりあえず俺の上に乗り。人の体温確認を始めた海夜だった。


「先輩。安静が一番ですよ。さあ寝ましょう」

「いやいや、夕方。まだ夕方」


うん、寝るには早すぎるって時間だった。って、俺自身普通に元気なんですが――。


「明日まだ平日ですよー。知りませんからね。寝込んでも」

「俺が濡れた原因を作ったの海夜なんだが――」

「知りません」

「おい。もう一回濡れネズミなって来るか?」

「きゃっ」


俺は軽い軽い海夜を抱えてみる。うん。ホント簡単に持ちあがる奴である。


「ちょ、先輩。おさわり禁止です」


そう言いながら俺の手を軽く叩いてくる海夜。


「なんかめっちゃいけないことしているような言い方をするな。持ちあげただけだろうが」

「先輩の服大きいから紐を結んでもズボン持ってないと脱げちゃうんです」


よく見ると。片方の手はズボンを持っていた。うん。そりゃ――脱げたら大変って状況だからね。


「脱げたら脱げたで海夜が静かになりそう」

「意地悪!怒りますよ。怒りますからね。早くおろすんです」

「はいはい。泣かれたら大変だからな」

「泣きませんよ。もう」


そう言いながらズボンをぎゅっぎゅっと履く海夜だった。いやー、細すぎるというか。大変だな。結んであってこれか――と俺が思っていると――。


「何で見てるんですか。変態ですか」


海夜に怒られた俺だった。

なお。その後の事を言うと――。


雨が強いからという理由で、海夜は夜まで俺の部屋に居て――ご飯も食べていき。

くつろぎ――くつろぎ――うん。俺の足の上を占拠して、テレビを見たりだったな。

何故に俺の上かと言うと「私が座っていれば先輩が変な行動できません」とかだったのだが――いやいやだからな。持ち上げられるんだよ。うん。意味ないぞ?だったのだが――まあうん。くつろいでいるのをわざわざ壊す必要もなかったんでね。

ちょうどテレビでクイズの番組をしていたため。それが終わるまで海織とともにのんびりと過ごしたのだった。


その後やっと雨風が弱くなったようで――その隙に海夜は自分の部屋へと帰って行った。そうそう俺の貸した服は着ていったので――まあそのうち洗濯して返してくれだな。多分海夜裾が擦っていたから――うん。汚れているだろうからな。部屋の前の通路めっちゃ雨が吹き込んでいたから水たまり出来ていたからな。うん。絶対あれは濡れてるだろうからな。綺麗にして返してくれよである。一応普通に着ている服なのでね。


それから俺は自室でのんびり。のんびり。


「——くしゅん!」


……翌日。ちゃんと熱が出た俺だった。

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