第157話 お別れ5
「えっと――ここに穴をあけるためにキャスターを合わせて――印をして」
「ですです。変なところに付けるとバランスが崩れますからね」
「っか。なかなかしっかりしたキャスター買ってきたんだな」
ホームセンターで海夜が買ったものは。まあ安っぽい感じの物——ではなく。ちゃんと台車とかで使っていそうな。しっかりしたものだった。まあ机を乗せるのでね。ある程度の強度が必要だったので――海夜の選択は正しかったのだがね。
「こういうのはしっかりしている方がいいんですよ。あまり動かなさいかもしれませんが。物を乗せたりしたらさらに重くなりますからね」
「海夜がしっかりしてるよ」
「あっ。先輩。ズレてます」
「——ってか。俺の作業多くない?海夜見てるだけが多くないか?」
「監督です」
「おい」
「あっ。ネジ出さないとですね」
「会話が成立していない――」
その後もそんなやりとりをしつつ結局暗くなった頃に作業は終了して――。
「できました。よし。先輩。配達お願いします」
「はいはい。運べばいいのね」
「はい」
海夜先頭で、出来たばかりの台車か。うん、元は机の子ちゃんとした台車になりまして――海夜の部屋へと運ばれたのだった。
ってか。海夜は俺の部屋によく来るが。俺が海夜の部屋に来ることは少ないんだよな――と思いつつ。最近いつ入ったかな?などと思いつつ。綺麗に整頓されている海夜の部屋に入場。
海夜が電気を付けて――。
「先輩先輩。とりあえずここに置いておいてください。籠とか。どのように乗せるかはまた後日考えます」
「はいよ。それはご自由にだな」
そう言いながら俺は完成したばかりの台車を海夜の部屋の隅に置いた。
「あっ。先輩。外した足は不要ですからご自由にです」
「あれは処分だろ。うん。金属と――足は木だから燃えるごみで行けるのか?破砕か?まあまた調べとくか。どうせ。資源や破砕ゴミも少しあった気がするし」
「あっ。先輩。ゴミ出す場合声かけてください。私も便乗します。可燃ゴミならいいんですが。その他はちょっと面倒ですからね」
「はいはい」
もともと折り畳みの机で重さはそこまでなかったのだが。地味に運んでくると大変というね。うん。俺はちょっと背伸び――って、ふと、海夜の部屋を見渡すと――窓際の室内に普通に洗濯物があって――。
「——ふぎゃああ。先輩の変態!」
ベシベシ。
「いやいや、今のは事故だろ。海夜が室内入れたんだし」
うん。いろいろかわいいものを見せてもらったら――その分くらい叩かれた俺だった。
「先輩。早く出てくです!」
「俺の扱いよ」
その後俺は海夜に背中を押されて――海夜の部屋を退場したのだった。
って――別に今更見て――なんだが。まあ海夜が恥ずかしそうにしていたので、まあその後は触れずに俺は大人しく部屋へと戻ったのだった。そして――地味に大変だった玄関の掃除をして、いや、やすりで削ったりしたからな。木くずがすごかったんだよ。うん。置いてあった靴の中にも入ってるしさ。うん。工作の前には準備も大切だな。うん。
ちなみに、俺が玄関を片付けていると――多分洗濯を片付けた海夜がまた戻って来て――。
「見た罰で晩ご飯を要求します」
などといわれた俺だった。まああれだな。時間が遅くなって海夜作るのが面倒になったと見た俺だった。
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