第155話 お別れ3

広い店内をくるくる回る2人。えっ?何をしているかって?現在俺達はホームセンターへとやってきたところだ。


くるくる回るというのは店内を見てまわっているということである。


いや、ホームセンターって意外と楽しいというな。説明が疎かになるくらい楽しく飽きない場所だ。到着したのは少し前で本来の目的はキャスターだったか。戸車とも言うのかもしれないが。まあそんなものと。ドライバーやちょっと必要そうなものを探しに来たのだが――。


「先輩先輩。ちょっと来てくださいよ。いろいろありますよ」

「はいはい」


俺と海夜なかなか目的のところへとたどり着いていなかった。海夜もホームセンターに来てから、まったく目的の場所とは違うところを見ている。まあ普段はあまり来ないところなのでね。まあゆっくりしても問題ないだろうということで、先ほどから各場所を俺たちは見て回っている。


先ほどは入ってすぐにあったあれは――何コーナーというのだろうか?魚?観賞用ゾーン?うん。名前はちょっとわからないが。入ってすぐのところでメダカや金魚が泳いでましてね。そこでいきなりストップしていた俺達だった。

なんかメダカとかってずっと見ていれるというね。


海夜も獲物を狙うかのように――って猫じゃないな。うん。こんな余計なことを思っていると足をけられるかもしれないので忘れて――海夜も普段見ないものを楽しそうに見ていた。


そしてやっと入り口近くからは離れて―—お店の中へと進んで行ったのだが。本来の目的の物がありそうな場所は左側だったのだが……海夜は何かにつられて右側へと進路変更していき俺を呼んでいた。


「これ、テレビとかでも見る高圧洗浄機ですよね」


海夜のところへと行くとそんなことを言われた。


「……メダカの次は掃除道具か。って、まさかの次はそれか」


海夜の前にはちょっと大型の――というのか。あれだ。水圧で掃除する奴と言えばいいのか――あっ。海夜が言っていたか。高圧洗浄機。うん。それを見ていた。ってなんで高圧洗浄機?である。


「いや、テレビではめっちゃ綺麗になっていたじゃないですか。あんな簡単に綺麗になるのかなーって思いまして、試せないんですかね」

「突然何かに目覚める海夜って――ここでは試せない感じだな」

「残念ですね。ここで先輩を綺麗にしてみようかと思ったのですが」

「おい、何をしようとしている。それに人に向けちゃいけないレベルの奴だろうが。穴が開くわ」

「だって先輩、さっきメダカとか見てる時に絶対私の事変な目で見てましたもん」

「……えっ?」

「ガキが居るガキが居る。って感じで見てましたよね?だからその先輩の心を綺麗に洗おうかと」

「——何を考えているのか」


いやー、よかった。猫と見ていたことは気が付かれなかったらしい。って――ちょっとバレていたかである。危ない危ない。


「うん?先輩。どうしました?」

「いや、なんでも」

「もしかして本当に考えてました?」

「いや」

「……あっ、もしかして違うことを考えてましたね。この先輩は」

「何も考えてないな」

「怪しいですね」

「さあさあ目的の物探しに行くか」

「あっ、逃げました。絶対何か考えていたじゃないですか。失礼な先輩です」


余計なことを詮索される前に終えは高圧洗浄機のところから歩き出したのだった。後ろからは海夜のちょっと怪しんでいる視線があったが――まあ問題ないだろう。うん。


それから俺と海夜はやっと目的の場所へと――たどり着いてなかった。


「あっ、先輩。クッションとか座布団もありますよ。マットとかも結構あるんですね」

「だな。この冷感マットはこれからの時期いいかもな」

「どれどれ……あっ。ひんやりですね」

「枕にかけるものもあるんだな」

「あっ。私それ使ってます」

「気持ちいか?」

「まあずっと――という感じではないですが、安かったのでも結構はじめはひんやりして気持ちいいですよ」

「ふーん。なるほど。あまり海夜がくっついてくるようなら夏場はこれが居るか。海夜に巻けば――うんうん」


ぺチ。


「先輩。変なことを考えないでください」

「いや、海夜が甘えん坊だからな」

「こんなところで変なことを言わないのです」


ぺチぺチ。


「あっ、竹のマット?みたいなのもあるんだな」

「また先輩がさらっと話を変えてきました。もう」

「海夜。これも気持ちいいぞ。ちょっと重たいが」

「——あっ。気持ちいい」

「硬めだが。これはこれでありだな。ちょっとメモしてネットで探すか」

「先輩が何かに目覚めそうですね。でもこれ――この上で寝ころんだら夏場気持ちよさそうです」

「俺が使うんだが?」

「私もあれば使いますよ?」

「どう見ても1人用」

「大丈夫ですよ。何とかなります。それにそうですよ。前みたいにエアコンが壊れたらこういう物で暑さをしのぐ必要がありますからね」

「だから何故に俺の部屋でくつろごうとしているのか」

「エコですね」

「エコ――なのか。って海夜。メインはここじゃないよな?」

「あっ。そうでしたキャスターキャスター……」


やっと目的の物があるだろうという方向に歩き出した俺と海夜次こそは――だったのだが。


「目当ての物がなかなか見つからない」

「聞いた方が早いですかね?」

「まあ――ってそういう時に限ってスタッフの人居ないんだよな。居ても接客してるし」

「ですね……このあたりな気がするんですがね」

「木材とかがある方か?」

「あっ。なるほど。えっと――あっ。木材は一番奥にあるみたいです」

「まあ行ってみるか」

「はい」


それから俺と海夜が目的の物を見つけるまでに――15分ほど時間がかかったのだった。

いや、普段から利用してないとその場所になかなかたどり着けないんだよ。うん。余計なものは良く見つかったがな。

あれからも何故か煉瓦とか見ていたり。木材も見ていただろ。あと工具も見ていたな。あっ。そこでドライバーは確保したな。あと近くにあったやすり?紙やすりか。海夜がもしかしたらあったほうがいいかもということでそんな物も買っていた。

そしてくるくる回ってから――。


やっと目的物キャスターをゲットし俺と海夜は――まだ店内をぐるぐる回っていた。

うん。お会計までも遠かった俺達だった。

結局しばらくの時間ホームセンターをくるくる回った俺と海夜。たくさん購入ということはなかったので――お店的にはお金を落としてくれない客と思われたかもだが――まあ言い出ろう。何も買わずに出て行ったではないからな。


「よし。買えました。あとは帰って合体ですね」

「まあこれで上手に付いてくれたら問題なしだな」

「ですね。早く付けて見ましょう」


それから俺と海夜は家へと向かいだして――少ししてホームセンターへと戻っていたのだった。

理由。

キャスターは買った。が。キャスターを止めるためのネジが別売りの物だったらしく――再度購入へと戻ってきていたのだった。いやー、途中でちょっとチラッと見てよかったよ。うん。これ家に帰ってから気が付いていたら――だからな。


うん。慣れないものっを買うときは注意である。ってか初めから寄り道は後にしてお店の人を捕まえて聞いた方が早いな。うん。次このパターンがあったらそうしようと思いつつ。2度目のお会計に並んでいる海夜を待っている俺だった。

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