第152話 雨降り3
俺の背中に衝撃。攻撃があってからは――いつも通り事は進んだ。
ってかさ。背中だからわからないのだが。絶対海夜に叩かれたところ。綺麗に海夜の手形が付いてるって。うん。綺麗に海夜の小さな手の跡があると思います。間違いない。
しばらくジンジンしていたからな。ホント元気なのも困ったものである。
とまあそんなことがありつつも普通に夕食を俺が作り。
そうそう、ちゃんと海夜に監視されつつ。ケチャップライス作りましたよ。オムライスにならないのがポイント。って、ポイントではないか。まあ海夜が言ったんだからな。ケチャップライスがいいと。多分今日は卵がいらない気分だったのだろう。
でもたまにはケチャップライスも美味しいである。
冷凍庫で凍っていた鶏肉を探して解凍してさ。冷蔵庫からは――君生きてる?まだ大丈夫?っていう感じの使いかけの玉ねぎを出して、あとはピーマンやニンジンにも登場してもらい。全部切る。鶏肉をちょっとワイルド感じに適当に切ったため鶏肉の主張が大きかったが――まあ問題なかった。うん。美味しければ問題ないのである。
ってか。ケチャップが底をついた。
結構使うんだよな。うんうん。
ちなみに俺がケッチャプライスを作っている時。ずっと横で監視していた海夜だが。さすがにずっと見ているだけでは暇そう。お預けをくらっている子猫みたいに見えなくもなかったので――。
「海夜。スープは棚にあるだろうカップスープ好きなので」
「先輩が楽しました」
「ある物を無駄なく使うんだよ。お湯沸かして作ってくれ」
「さらっと指示してきましたが――まあはい。作ります」
「良い子良い子」
「——先輩。あとでまた叩きますよ?今は火を使っているから我慢しますが」
「さらに良い子良い子」
「調子に乗り続ける先輩ですね。覚悟しておいてくださいよ?」
「はいはい。やけどするなよ」
「しません」
海夜に頼みスープは作っておいてもらった。簡単に作れるものを置いておくとこういう時に助かる。
それから無事に夕食は完成。2人で食べて――ちなみに評価は高評価だった。海夜もおいしそうに食べてくれたから良しである。そして食べて満足したのか。叩くことは忘れてくれたらしい。良かった良かったである。
夕食後はあまり遅くなってもなので、食べ終えて少しすると海夜は帰る準備をしていた。
「じゃ、またな海夜」
「はい。ごちそうさまでした」
玄関まで海夜を送り。ドアを開けると――暗くなっていたので雨は見えないがちゃんと音がするほど雨はまだ降っていた。
「あー、雨、まだ降ってるか。こりゃホント止まないな」
「しばらく雨みたいですね」
「まあここから帰る分には濡れないだろうが」
「濡れませんね。ずっと屋根があるのに濡れる方がおかしいですね」
同じ建物だからな。横殴りの雨だと濡れることはあるだろうが今の雨なら問題ないだろう。
「まあ足元は気をつけろよ。階段滑って落ちたとかいらないからな?」
「大丈夫です。ドジっ子じゃないですから」
「ひっくり返っても知らんからな」
「何で2回も言うんですか。大丈夫ですから。もう。おやすみなさいです」
「ああ。おやすみ」
ちょっと口を尖がらせつつも、海夜は少し笑みも浮かべ靴を履き外へと出て行く。すると海夜は何か思い出したのか振り返った。
「あっ、先輩。明日こそ晴れたらお昼行きますから」
「いやいや、この雰囲気はまあ無理だろ」
「むー」
「怒るなら天気に言え」
「——晴れないかなぁ」
ちょっと暗い空を見上げる海夜。俺も覗いてみるが――まあ無理だろうな。予報でもこのまま降るみたいなこと言ってたし。空を見た後、下を見てみると、地面は結構大きな水たまりが出来ていたので――これは晴れても――という感じだったのでね。地面がぐちゅぐちゅということは、ベンチもなかなかの状況の可能性があるんでね。
「とりあえず、明日もあるしちゃんと寝ろよ」
「あ、はい」
玄関でちょっと話してから海夜は自分の部屋へと帰って行った。途中ズッコケるなどの音は聞こえてこなかった。うん。無事に帰ったらしい。
海夜が帰った後の俺はというと――よし。くつろごうである。うん。1人平和に部屋でくつろいでいたのだった。
1人に時間も必要なんだよ。息抜きも大切である。
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