第149話 明るくなっても――2
俺が顔を洗ってからは、交代で海夜が洗面所へと入って行った。
ちょっとだけシャキッとした俺は部屋でテレビを付けてのんびり。
ちなみにこの後は――朝食があって――って、そういえば俺と海夜。朝食の時間など気にしないでいたが――実は時間が決まっていたりする。うん。明るくなってすぐ起きてよかった。起きれてよかったである。時間を過ぎると――多分食べれないのでね。朝ご飯は、部屋ではなく受付があったところの建物に食べるところがあるらしく。そこに指定された時間に行けばいいらしい。
うん。どんなものがあるのか――。
テレビを見つつ。ちょっと朝ご飯の事を考えていると――。
「先輩!」
「——ひゃっ!?」
突然真後ろから声をかけられて――変な声が出てしまった。ビックリさせるなよである。あー、心臓に悪いなどと思いつつ俺が声の方を見ると……まだニヤニヤしている海夜が立っていた。
「先輩。面白いですね。良い反応です。動画撮っておけばよかったです。ずっといじれそうな感じでしたよ」
「今日も絶好調だな」
「先輩がずっといやらしい事考えているみたいですからねー。ホント困ったもんです」
「何を勝手に言ってるのか」
「先輩の顔に書いてあります」
「海夜の方が朝からアホなことを――じゃないか?」
「そ、そんなわけないです。はい。先輩と違いますからね」
「ふーん」
「な。何ですか」
「いや」
「むー。この先輩は」
「っか。海夜。朝ご飯の時間」
「あっ。そういえば――どこか行くんでしたよね?」
「だな」
それから俺と海夜は部屋からちょっと移動。そしてだ――。
朝ご飯リッチ!
以上である。いや、焼き魚美味いし。やっぱり朝はご飯にお味噌汁最強だよ。うん。あと、普段家では食べない漬物もあってさ。うん。シンプルな中にリッチさが詰め込まれていた。うん。美味しかった。
朝ご飯後は――また俺と海夜は出発時間まで部屋でのんびり。ちょっと時間があったから3度目の露天風呂も満喫したら――結構バタバタになったという。
「もう。先輩が変な事するからー」
「何を突然言い出すか。何もしてないし。単に2人でぼーっとしてただけだろうが。いきなり捏造するな」
「先輩が再度水着とか言い出すからー。って着替え着替え」
「勝手に何か言ってるよ。ってその辺にもの置いたりして忘れ物するなよ」
「子どもじゃないです。長風呂する先輩が子供なんです」
「謎。って――何で最後がバタバタか」
「先輩が悪いんです」
「なんか言ってないで着替えろよ」
うん。そんなことが少し前にあったが――まあ最後まで旅館を楽しんだのだった。露天風呂最高でした。かなり満喫した2人だった。
それからは――さあそろそろ帰ろうである。
まあ簡単に帰ろうと言っているが。この帰ろうもなかなかなのでね。よくよく考えたら、行きもかなりの時間がここまでかかっていたので――帰りもかかるという事。帰りはあっという間。ということはない。
普通ならせっかく来たから近くを観光。とかいうことに旅行に来たのだからなるのが普通だと思うが――どこかで観光して帰る。ということをこの後すると――もう一泊になりかねないのでね。今回は秘境旅館を楽しみに行きました。以上。である。なのでまっすぐ家へと向かった俺達2人だった。
って――この移動が十分旅行か。こんな長時間バスとか電車もなかなかないからな。
なお。帰りは――2人ともほとんど夢の中というね。昨日遊び過ぎたか。または――今日たまたまだが早く起きたから。というのもあるかと思うが――ほとんど帰りは夢の中で気が付いたら見慣れた車窓になっていたのだった。
それから駅に到着した後は家まで歩くである。うん。もういつもの光景だな。
「なんか。結構時間はかかってるが。寝てたからか。ここまであっという間だったような――」
ずっと座っていたので、ガチガチになった身体をほぐしつつ俺は歩きながらつぶやいた。
「——眠いです」
隣では、移動中ほとんど夢の中だった海夜が寝ぼけつつ歩いている。
「まだ寝ていてもいいぞ?」
「いやいや、歩きながら寝るって無理ですから」
「おんぶもあるぞ?」
「……何でそれ今提案なんですかー。もうアパート見えてるのに」
「見えてるから提案してみた」
ちょっとぶりの家が見えてきている。当たり前だが何か変わっているとかいうことはない。
「全くおんぶする気なしじゃないですか」
「少しくらいならしてやるかもだぞ?海夜。疲れてるみたいだしな」
「——恥ずかしいから嫌です」
「でも本音は?」
「——してほしい――です」
寝ぼけているからだろうか?なかなかかわいい小声が聞こえてきた。もしかしたら聞こえなかった――と言いそうなレベルだったが。運良くちゃんと俺には聞こえたのだった。って――話していたら家到着というね。
「じゃ、海夜。またな」
「えっ……夜まで先輩の家居ます」
「疲れてるんじゃないか?」
「先輩のところで休みます」
「謎——」
一瞬別れる――感じで俺が声をかけたのだが。まだ別れるではなかったらしい。
海夜は、自分の部屋に荷物だけ置いて、身軽になって俺の部屋へとそのままやってきたのだった。
「やっぱり先輩の家は落ち着きますね」
俺の部屋に入るなり背伸びをしてくつろぎ度マックスの海夜だった。
「自分の部屋で休めよ」
「良いんです」
「まあいいが、ってか。そうだちなみ海夜」
「——はい?」
「——水着ってこれからも見せてくれるの?」
「……はい?」
うん。こういうのは流れというか、その時に聞いておかないとだからな。また後日――とかだと聞きにくくなるかもだから。俺は家に帰って来て。思いついた段階で寛いでいた海夜に一応確認してみた。
いや、夏ってこれからだからな。もしかしたら――また拝めるかも。ってことで。
ちなみに、俺が聞くと海夜はポカン。という表情で固まり――頬が赤くなってきた。
バシン。
うん……ちょっと俺には、まだ昨日の雰囲気が残っていたらしい。家に帰ってきてからすぐの事。俺は海夜に怒られました。はい。正座しましたよ。するように言われたので。いつまでもお馬鹿な事考えてないでシャキッとしろ見たいなこと言われましたね。でも――まあ海夜もちょっと嬉しそうにしていたの多分大丈夫。うん。そのうちまた見せてくれるらしい。聞いてよかったである。
あっ、そうそう猫耳と鈴だが――あれは海夜に回収されました。はい。俺の手元からはさようならしました。すぐに海夜の部屋へと消えたのだった。
理由は――「こんなの先輩が持っていたら何をしてくるかわからないので没収です」らしい。でも――没収。捨てるとは言ってなかったので――こちらもそのうち登場はあるかもしれない。期待だな。
にしても――ホント刺激が強いというか。うん、海夜似合いすぎていたのでね。たまにが良いのかな。うん。落ち込んだときとかに見せてほしい――って余計なことを言うとまた結構な力で背中を叩かれて、正座やらやらになる可能性があるので――うん。さすがにそろそろ大人しくしようと思う。
はい。良い旅行でした。海夜母にも感謝ですね――——って、忘れてた。海夜母……どうなる?あっそっか。騒がなければいいのか。うん。とりあえず大人しくこっちはしていればいいかな。今の海夜は――多分そのことに関しては忘れているだろうからね。うん。そっとしておきましょう。
なお。これは別の話だが。
この数分後、海夜母からお電話があり。
ワタワタしている海夜を見ることが出来たのだった。
俺?普通に満喫しました。ありがとうございます。的な事を普通に海夜母と話したな。海夜の父は――登場しなかったが――何やら起こっている雰囲気はあった。うん。いや、こちらに被害というか――むしろ安否確認?をした方がいいのかもしれないが――海夜曰く「ほっておけばいいのです」だったので――うん。今のところそのことに関してはそっとしておくことにしたのだった。
まあそれより。海夜母のお相手の方が大変だったからな。1時間コースでのお電話だったからな。ホント――どこかで見られているのだろうか。というれレベルだったな。
あー、大変だったよ。電話が終わった後はぐったりの俺と海夜だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます