第147話 夜は長い6

なんかいろいろやった後の俺たちは――静かにゆっくりまったりした時間を過ごしていた。特に雑談するでもなく。ただくっついていただけ。うん。これはこれで平和でホント落ち着く良い時間だった。

やっぱり海夜の抱き心地が良いんだよ。ちょうどいいサイズなんだよ。これ以上いろいろ成長したらダメなんだよ。まあはっきりそんなことを言うと叩かれそうなので――無言でとりあえず海夜を抱いている俺だった。

ちなみに海夜もコアラのようにしがみついていたので――まあ向こうもちょうどよかったのだろう。下手したら静かだしこのまま海夜は寝ていくのではないだろうか――という状況だった。


そんな感じでしばらく海夜とくっついていると……。


「——あの。先輩先輩」

「うん?どうした?」


耳元で海夜の声が聞こえてきた。って――耳に近いからちょっとくすぐったかった。


「もう一回。露天風呂入りましょうよ」

「あれ?今の雰囲気このままおやすみなさいじゃないのか?寝るとかいう雰囲気じゃなかったか?」


うん。この今の静かな雰囲気は海夜が寝て――という流れを勝手に俺は予想していたのだが。どうやら海夜に寝る。眠いはまだなかったらしい。今日は元気だわー。こいつ。ちらっと横を見てみたら全く眠そうな雰囲気はなく。ちょっと顔を赤くして――楽しそうにしていたのでね。


「いや――変態すぎる先輩が変なことをしてくるから――その、変な汗かきましたし。だから寝る前にもう一回お風呂入りたいです――先輩も一緒に」

「水着に関しては、勝手に海夜が着ていただけのような――」

「黙るです。先輩」

「まだまだ元気か」

「むー」

「はいはい。まあせっかくだしな。普段はないことだし。また風呂入るか。1回しか入ったらダメとかじゃないしな」


俺はそう言いながら足の上に乗っていた海夜をベッドに下ろすと。何故か海夜がこちらに手を伸ばしてきた。


「……先輩抱っこで連れて行ってください」

「今日の海夜のテンションもなかなかな気がするんだが――まあ、はいはい」


俺は自力で動く気が無く。甘えまくりの海夜の身体を再度持ち上がる。って――軽いよな。うん。軽すぎてマジで心配。


「先輩もなんやかんや言いながら今日はすんなりですね。いいことです。ずっとそんな感じでお願いします」


俺の首に手をまわしながら海夜が話しかけてくる。うん。ずっとくっついていると。こういうのもなんか慣れてくるというか。さっとできるんだよな。俺はそんなことを思いながら。海夜と移動――って、そういえばだが――のんびりし過ぎて海夜は自分の姿を忘れているみたいなので……。


「ってか、海夜はまだ水着のままだが?」

「——なぁ!?忘れてた!おろしてください。着替えないとです」

「猫耳と鈴もだな」


リンリン。


俺が海夜の首に付いている鈴を揺らすと。海夜が俺の腕の中でバタバタとする。って、危ないだろうが。落ちるぞ……まあ下ろせアピールを海夜はしまくっているが――そういえば海夜は浴衣の帯を締めずに羽織っただけだったので――うん。また黒ビキニ海夜猫バージョンがそれから公開となったのだった。うん。ちょっと最後俺がめくったのは――バレてな……。


「どさくさに紛れて、めくらないでください!この変態!先輩今日は変態です!」


バシン。


うん。即気が付かれてましたね。そういうのはすぐに気が付くんだよね。うん。結構強めに海夜に叩かれました。

でも――再度目に焼き付けました。あと――さっきより至近距離というか。密着状態でしたからね。うんうん。良いもの見ました。可愛かったです。


バシン。


それからの事を言うと、俺は特に何も言ってなかったのだが――視線が悪かったのか。また叩かれてから……海夜を下ろし。そうそう。俺も着替えないとか。今は浴衣だからな。ということで、俺と海夜は再度露天風呂に一緒に入れるように着替えて、あっ、猫海夜もここまでだったな。濡らしたくなかったのか。ちゃんと海夜は猫耳やらを外してきたのでね。って、そのままの海夜でも十分かわいいんだがね。今日は照れていることが多いから――いい表情してるし。

まあとりあえずその後は着替えて――2人で再度露天風呂に入ったのだった。

気が付いたら結構遅い時間だったが……まあいろいろアホなことをしていたのでね。それなりに時間は経過していたらしい。

でも、周りが真っ暗で静かな中での露天風呂もなかなか良かったな。お湯が出ている音だけが聞こえる。うん。いい感じだったよ。海夜も静かに俺の横でリラックスしていたしな。2回目の露天風呂はのんびり。平和に時間が過ぎていったのだった。

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