第146話 夜は長い5
「痛っ――!?」
「——がるるっ」
現在俺はしっかり指を噛まれてます。はい。
噛まれています。動物とかに噛まれているではなく人に噛まれている。あれ?人も動物と言えば動物……?ってそんなことより痛い。結構痛い。もう一度言っておくが甘噛みとかではない。下手したら食いちぎるつもりだったのか。というレベルで俺は指を噛まれている。
海夜にだ。犬とかではない。人間に噛まれている。あっ。猫耳と鈴は付いているがな。人間に噛まれている。って、頬が膨らんでいたから指で突っついてみようとしたら――噛まれました。はい。これが現状である。
おかしいな。海夜が何故か黒の水着。多分買い物の時にこそこそ買ったビキニを着ているから――何で?みたいな感じで話が進んでいたのだが――指を噛まれる未来は俺。全く想像してなかったである。うん。痛い。ホント結構痛い。さすがにこのまま噛まれてると指を持っていかれる可能性も見えてきた。
「ちょ、い、痛いだろうが!海夜。噛んでる。噛んでるから」
「——」
いやいや、何で?海夜全く離れないし――と、思っていたら。パッと、海夜が俺の指を解放した。
「——い、いじめてきた罰です。ふん」
海夜から解放された俺の指には――普通にしっかりと海夜の歯型が……前歯かな?2本分くらいしっかり歯形が付いている。すると海夜は立ち上がり俺から離れた。
「痛いな。マジで……って、うん?海夜?どうした?」
さすがにいじりすぎた?怒った?と、俺が考えていると。
「……明るいのはダメです。それは譲れません」
「……うん?」
俺から離れて入り口の方へと歩いていた海夜がこちらを振り向きつつそんなことを言った。えっと……海夜が向かった先には――部屋の電源。スイッチがある――うん。なるほど。
「あっ、なるほど。ってさすが神。海夜様か」
「も、もう。って、いやいや、先輩やっぱりキャラ崩壊ですね。今日の先輩の頭の中ヤバいですよ」
「いやいや、さすが神」
「先輩が壊れました!」
海夜はそう言いながらも部屋の電気を消した。
パチンと、音がすると部屋は暗くなった。でも、外。露天風呂のところの電気が付いているので、真っ暗ではない。ちゃんと互いの姿は見えている。
電気を消してから海夜はまた俺の近くに戻ってきた。 ちょっと恥ずかしそうに戻って来た。
「……あの先輩」
「うん?」
「さ、触るのはなしですから」
「はい!」
犬のように一言。はっきりと俺は答えておいた。
「……あー、先輩……やっぱり壊れたんですね。修理しなくて大丈夫ですか?」
「いや、海夜。残念そうに言うなよ。ってか、普通彼女の水着姿は見たい。おまけに猫耳付き。さらに鈴付きとかレアだろ。レアすぎるだろ」
「猫耳と鈴は予想外ですよ」
リンリン。
そう言いながら海夜ベッドに座っていた俺のところへと戻って来て――お楽しみ。などと俺が思っていたら。
「あっ、しまった。先輩に近寄ると襲われる可能性があるんで、1メートル以内には近寄らないでください」
「OKです」
「……先輩。お酒飲みました?」
「いや。海夜様の行動に感謝してる」
「——これ酔ってますよ。はぁ……いつの間にか先輩が変態になってしまいましたか」
その後の事は簡単に言っておこう。あまり詳しく。じっくり話すと海夜が噴火。大噴火して大変なことになるかもしれなきのでね。
はい。超可愛かった。うん。黒ビキニ海夜猫バージョン。めっちゃ似合うし。ヤバかった。こんなに似合うのかだったな。
ってか、猫耳に鈴付きとか、いけないことしている感じ満載だった。
なお、海夜のサービス時間は時間で言うと2分ほどだったりする。うん。カップ麺出来ないよ。という時間だったが――とってもいいものを見た大切な時間だった。うん。めっちゃ可愛かった。なお、黒ビキニ海夜猫バージョンになった海夜は――ホントすぐだったな。俺的には5秒も経ってないのでは?という体感だったのだが。
「——せ……先輩。は……恥ずかしいです。見過ぎ――です。もう――いいですよね?」
「いやいや早すぎだろ?ってか。問題ない。普通に水着だろ?プールとか行ったらずっと着てるじゃん。っか……ヤバイな。海夜可愛いわ」
「ほ、褒められるのは――ですが。む、無理です!もう、恥ずかしいです。先輩。見過ぎ――」
うんうん。顔を真っ赤にしている黒ビキニ海夜猫バージョン。はい。皆さん目に焼き付けましょう。超レア光景です。はい。って――他の奴には見せたくないわ。うん。
「っか。これ長時間見てはいけないというか。他人には見せたくないな」
「……当たり前です。見せませんよ」
「っか、海夜」
「は、はい?」
「浴衣。羽織ってくれ」
目にしっかり黒ビキニ海夜猫バージョンを焼き付けた俺は海夜に声をかけた。するとちょっときょとんとした表情を海夜はしてから――。
「え……えっ?あ……はい」
「刺激が強い」
「……そこまでですか。って、自分のスタイルに自信は無いのですが――まあ恥ずかしいから終了をちゃんと言ってくれた先輩は褒めてあげます」
そう言いながら超高速で海夜は浴衣を羽織りなおしていた。先ほどはワタワタしていたが。今回は――多分下着と水着の違いというのか――まあささっと着直していた。
「暗くても肌見えすぎはヤバイな」
俺はそんな海夜を見つつつぶやいた。すると帯はせずに浴衣だけ羽織った海夜が俺の横に戻って来て――。
「そうですよ。ブヨブヨを見られていたこっちなんてパンクですパンク。恥ずかしい……」
「いやいや、海夜細いし。全く無駄ないだろ。全体的に」
うん。ほぼ真っ直ぐだしな。隣にやってきた海夜を再度眺める俺。うん。帯を締めてないからちょっとチラリが残っているが――もうわかっているのでね。うん。問題ない。するとしっかり浴衣でちらりを隠してから海夜が――冷たい視線で俺を見てきた。あれ?なんだろう――余計な事言ったかな?
「——先輩」
「うん?」
「余計なこと考えてません?」
「考えてますん」
「な、なんですか!ますんって」
「ますと、ませんの合体か?」
いや、うん。海夜はすらっとしているからな。それも海夜のいいところだし。決して悪いとか言ってない。うん。俺は好きだぞ?などと思っていると――。
「むー、この先輩は。がるっ」
ヤバい。また噛まれそうな雰囲気になったので。
「大丈夫大丈夫」
俺は再度海夜の頭を撫でてみたのだが――。
「大丈夫じゃないです!」
ちょっと撫でるだけでは効果が薄かったのか。海夜は空いていた俺の片手を掴み。指に狙いを定めだした。いやいや、食べても美味しくないから。って――絶対海夜もテンション高いし。今の状況をなんやかんやで楽しんでいると思われる。うん。間違いないかと。
「海夜は今のままで十分OK」
「噛みま――なっ」
再度噛まれそうになった瞬間。俺は優しく海夜を撫でつつ引き寄せた。うん。ジャストフィット。やっぱり今の海夜が抱き心地完璧なんだよな 。これ以上小さくも大きくなっても困るんだよな。うんうん。
「……あっ、せ、先輩。さ、触るのは禁止って言いました。触ってます。禁止行為です」
「なら、離すが?」
俺が撫でていた手と支えていた手を緩めると――。
「……ダメです。むしろ気がつきました。これの方が見られなくて済むと」
今度は何故か海夜がくっついてきた。うん。何してるの俺達?だが――まあいいだろう誰かに見られているではないしな。
「よし。じゃ、次はくすぐりの準備でもするか」
ペチン
「……この先輩は。調子乗りすぎです」
「攻撃力が増したな」
「当たり前です」
「はいはい。普通に抱いてますよ」
「そうです――離しちゃダメなのです」
結果それからしばらく再度俺は海夜を抱いたあげて――大人しくしていた。
海夜は海夜で大人しく。俺にくっついていたのだった。
いや――無言でもね。心地いい良い静かな時間が流れたのだった。
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