第145話 夜は長い4
現在バタバタ海夜が俺の前で暴れている。バタバタである。
まあ海夜が暴れているのは原因は俺なんだが――にしても、おかしいな。単に海夜の言う通りの事を俺はしていただけなのだが……撫でまわすとかね。あれ?違った?撫でるだった?でも――別に撫でると撫でまわす一緒じゃない?一緒だよね?うん。一緒だろう。だから俺は海夜に言われたことをちゃんとしてあげているので、褒められてもいいと思うのだが――でもなんかいけないことをしているみたいな状態となっていた。
今俺の足の上では―—着ていた浴衣が乱れに乱れている海夜が居る。っか。上はまだ大丈夫なんだが――海夜は足をバタバタさせていたため。綺麗な太ももからのラインが――なのだが。って。黒いのもチラッと見えてしまっているのだが――また黒。
「……下も黒?ってかさ。海——」
「ふぎゃああって、変態か!変態です!先輩!単なる変態ですから!何見てるんでしゅか!」
「でしゅか。ね」
ベチべチ。
さすがに恥ずかしいのかちょっと強めに海夜が俺を叩いてきたが――それよりも。
「って、あれ?海夜。タイムタイム」
「タイムじゃないです。み、見ないでくださいよ。もう。乱れました。こっちこそタイムですよ。目をつぶるです!」
わたわたと浴衣を直す海夜。
残念。綺麗な足が見れなくなったが。浴衣の帯が緩んだらしく。ちょっと海夜は大変そうにしていた。うん。再度言うがいけないことをしていたつもりはないのだが――いや、ちょっとはそんな可能性を考えることも無くはなかったがとりあえず。そんな様子を見つつ俺は少し前から気になっていたことをわたわた着直している海夜に聞いてみた。
「下着かと思ったら……なあ。海夜それ――違うよな?」
「なっ……」
俺が聞いてみると。ハッという表情をしつつ。顔を赤くした海夜がこちらを見てきた。
「それさ。この前見てた水着じゃね?なんか見覚えがというか――」
「ぐぬぬ……」
「海夜?」
「……なんで、一瞬見ただけでわかるんですか。変態すぎます。そういう――し、下着もあるかもじゃないですか。って見るのは変態です!忘れるのです!」
「いや、海夜の首元掴んだ時にも今日は黒かだったし。うん。前も後ろもというか。胸元とかゆるゆるだったからな」
「すでに見られてた!?」
「で、なん水着着てるんだ?」
そうそう、それである。何で室内に居るのに、この後プールとかに入るでもないのに海夜が水着を着ているかである。
普段から部屋着が水着ではないはずだからな。それに――海夜が普段着ない色というか。いや、黒い服とかはあるが――下着はね。いや、はっきり見たことないが――なんかね。イメージがないな。などと思っていると。
「……の、ノーコメントですよ。この変態先輩は……」
浴衣を再度着直した海夜が恥ずかしそうにそう言ったのだった。ってその時に俺はピンときた。だった。うんうん。今日は頭の回転が速かったようだ。
「……なるほど、やっぱり買ったから見て欲しかったと。なるほどなるほど」
「無駄に完璧に答えてきた!って!ち、違いますから!?」
今認めたよな?うん。認めたよ。
「あっ。マジだったか。見せてくれるとは――それはそれでめっちゃ嬉しいな」
「へ、変態には見せません。見せませんからね。襲われそうです。食べらますから!」
胸元を隠しつつ?というか。浴衣をしっかりガードしつつ。ちょっとだけ下がっていく海夜。が、いつも通りの事だが。そこまで離れないというね。
「いや、もうなんかチラッとだが見たが?」
「もう見せませんです!」
「でも――せっかく着てくれてるし――って、海夜ならくすぐって壊せばOKか」
「にゃっ!?」
あっ、海夜の顔がさらに赤くなった。
「急にまた猫になったよ」
「ち、違います!く、くすぐったらおまわりさん行きですから!」
「じゃ、くすぐらないから。海夜の母に水着で誘惑してきました。って、報告か」
「ば、馬鹿ですよね!って、なんか今日の先輩やっぱりテンションおかしいです!変態です!さっきは落ち着いたみたいなこと言ってましたが嘘ですよね!めっちゃ変態的にテンション高かったです!騙されました!油断しました!」
「元気だな――って、いや、海夜もだろ?」
「……違います!」
「まあ、とりあえずわかったことは……水着猫は――最高?」
うん。今はちゃんと見えてないが……うんうん。水着に猫耳。さらに鈴ありは――やばいな。かわいいじゃん。想像するだけで――最高じゃんである。うん。普段そんな姿見せないというかしてくれないしな。今は浴衣で隠れているが――これうん。堪能するチャンス?などと俺が考えていると……。
「み、見せませんよ!?見せませんから。危険です。近づくの禁止です!」
海夜が浴衣をしっかり持ちつつそんなこと言ってきた。でももう離れたりということはないらしい。先ほど少しは離れたが――今は離れるという感じはない。謎なやつである。
「そこをなんとか?」
「……嫌ですよ。何でまだお願いしてくるんですか」
「ちょっとだけ?」
「なんか先輩がめっちゃおかしいです」
「あっ、記念に写真も」
「いきなりなんか言いだしました!それは絶対嫌です。恥ずかしいです。って、やっぱり今日の先輩壊れてます!絶対明日頭抱えますよ!知らないですからね!ホント知らないですからね。面倒見ませんからね!」
「いや――レアだし」
「……うぅー」
「……」
見せないと言いつつも何故かめっちゃ悩んでいる海夜。うん。頭を抱えて――何か考えている考えているである。
しばらく俺は悩んでいる海夜を見ていると――いや、見ているだけでも十分かわいいというか。うん。浴衣猫耳。鈴付きも改めて見ると――なかなかいいである。
「——なっ、先輩じっと見てきても――ダメです。はい。見せませんよ!」
「じゃ……見たいし襲うか」
俺がそう言いながら海夜に手を伸ばしてみると――いや、フリだよ?フリ。うん。っか。普通に手の届くところから海夜動いてないし。嫌がりつつ全く離れていないというね。
「だ、ダメです!そんなことで積極的にならなくていいです。別の事で積極的になってくださいよ!このぼっち!」
「いきなりぼっちをぶっこんでくる海夜だったって、まあ、冗談だがな。嫌がることしないからな?」
「えっ……」
するとなぜか 残念そうな表情をする海夜。ってか、その様子から考えられるのは――。
「えっと。その反応ということは――あっ、早く脱がせだったのか?見せたかったんだな海夜は。感謝感謝」
「違いますから!」
ドン。
さすがに胸あたりに海夜のグーパンチが飛んできたが――うん。痛くはなかった。骨に当たった音がちょっとしただけだっ……いや、地味に響いてきた。何気にそこそこのパワーで海夜に攻撃されたのだった。でも、海夜は俺に近づいてきただけなので。
「顔真っ赤だな」
海夜の顔がよくわかる状態となっただけだった。
「……」
「黙ったな」
「……」
「……」
フリーズでもしたのか。海夜が話さなくなったのでちょっと下を向いている海夜を覗き込んで見ると、俺が見ていたことに海夜も気が付いた。
「……む、無言なし。見るのも――なしです。にゃ」
「かわいいかわいい」
うんうん。見せないやらやら言いつつも、ちゃんと忘れたころに猫語で対応してくる海夜。面白いなどと俺が思いつつ。今度はちゃんと頭を軽く撫でると――。
「むー」
「膨らむ膨らむ」
何故か今度は頬が膨らんできたので――俺がその膨らんできた海夜の頬を触ろうとすると……。
「——はむっ!」
「!?」
俺が人差し指で海夜の頬に――と、言う瞬間。海夜が急に横を見て――俺は海夜に指を噛まれたのだった。って、普通に噛んできた!いやいや何で!?それも甘噛みとかではなく。しっかり噛まれただった。
「痛っ――!?」
うん。俺達――旅館で何してるんだろうな。まあいつも通りのやり取りといえばやり取りなのかもしれないが……って痛いわ!マジで噛んできた!ホント噛んできた!痛い!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます