第140話 とある家のリビング

これは仁悠にちかと海夜が2人で秘境旅館へとお泊りへと行っている時のとある家での出来事である。


――――。


「ぬわああああぁぁぁぁ」

「はあ……ホント困った人ね。いつまでグズグズ言ってるのかしら?これを海夜が見たら――どんな反応するか」


現状を簡単に説明すると、リビングのソファーに丸まって駄々をこねている男性1名。それを見ている女性1名である。

この家には娘も居るが――その娘は高校入学と同時に駄々をこねている男性により。一人暮らしをするように言われ。今は家を出ている。

また現在は彼氏とお泊り旅行中だったりする。


「海夜が知らない男に取られたー。なのに何で連れ戻そうとしないんだ!?」


海山道家リビングは今日も賑やかだった。

ちなみに賑やかなのはいつもの事である。


「二階堂さんちゃんと何回か来たわよ?それにあなた電話で話したじゃない。認めたんでしょ?」

「知らん知らぬぞ。知らんからな。ぬわぁぁぁぁぁ。海夜ー!」

「——これ動画にでも撮っておこうかしら。そのうち2人に見せたら――ふふふっ面白そう。って何で急に思い出したかのように駄々こねてるのよ」

「友人が仲良さそうな家族写真送って来たんだよー。だからうちも――って今は海夜が。海夜がー。やはり連れ戻すか。そうだ。遅くはない。連れ戻そう」

「そんなことがあったのね。ってそもそも海夜があなたと写真なんて撮らないと思うけどねー。ってそうそう、今は連れ戻せないと思うわよ?留守だから」

「——なんでた?留守?聞いてないぞ!?」


駄々をこねていた男性が緊急事態。と言わんばかりにびしっと立ち会がり。女性の方を見ている。


「ふふふっ、今2人で秘境旅館でイチャイチャしてるわよ?」

「な、なんだと!知らんぞ!聞いてないぞ!何でそんなことになってるんだ!

親に相談なくなんてことだ!海夜!」

「私が勝手に進めたからね。今頃——子作り?私たちに孫の顔見せる準備していたりー。ってそれは早いかしら?ふふふー」

「当たり前だ!ってそもそも許さん!許さんぞ!認めてないぞ!今すぐ連れ戻す。連れ戻すぞ!どこ行った。海夜はどこに連れてかれた!どこの旅館だ!」

「はいはい。今日も海夜の事になると元気ね。なら何であの時「1人暮らしして来い!」とか言っちゃったのかしらねー。あっ、でもあなたが海夜を出したから。二階堂さんと――だから。あなたが原因じゃない。よかったわね。海夜良い人早速見つけてきてくれて。思い通りでしょ?」

「こんなこと予想してなかった!そうだ今なら行ける。まだ助けられるな。うん。怖くないぞ。怖くない。海夜に嫌われても――大丈夫だ。うん。怖くない怖くない」

「足震えてるわよー。ホントめちゃくちゃねー。って認めてるくせにどうしてそこまで反対の事言えるのかしらねー。面白いわ。ふふっ」


女性の方は男性の方がバタバタしているのはいつもの事。のため。優雅にお茶を飲みつつ男性と話している。これがこの家の日常?である。


「認めとらん。認めてないからな!」

「はいはい。元気ですね。あっ、じゃ私の相手をしてもらおうかしら?もう一人いっちゃう?海夜喜ぶかもよ?」

「あっ、それは間に合っておる。根こそぎすっからかんにされるからな。明日に影響する」


突然男性が大人しくなり。部屋を出ようをくるりと向きを変えた。それを見た女性の方は――獲物発見!という感じで……。


「……あらー。そろそろお仕置きが必要かしら?ふふふっ……あっ。その前に元気にしてるか電話してみましょうか」


女性の方は不敵な笑みを浮かべつつも、手に持っていたコップを机に置き。

そろそろ一度娘が元気にしているか。楽しんでいるか確認しようと思っていたので、女性は机の上に置いてあったスマホを操作して連絡先から、娘のところをタップしたのだった。

――すると父は今がチャンス。といわんばかりに、リビングから逃走したのだった。が、ドアのところでちらちら見ているのを女性はちゃんと確認していたのだった。


男性の方はバレてないと思っているらしいが――バレバレである。でも女性の方は気が付かないふりをしつつ電話をかけ始めたのだった。

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