第129話 浸かる

現在目の前には露天風呂。

それも個室なので貸し切り。まったりのんびりできる場があるのだが――入ろうとなった時。ふと海夜が俺に言ってきた。


「あっ、先輩」

「なんだ?」

「私—―あれやりたいです。というか、やってみたいと言いますか。着替えてから言うのもですが……」

「あれ?変な事思いついたか?やめてくれよ。マジで対処が――だからな」

「へ。変な事じゃないですよーもう。あれです。あるじゃないですか。温泉にお盆浮かべてー。って。飲み物とか飲みつつ――なんかいい感じじゃないですか?」


……なんだ、海夜も同じこと考えていたか。ってか。これならいいか。うん。俺もやってみたかったしな。俺はそんなことを思いつつ。


「……未成年が」


そんな冗談を言いつつ立ちあがる。


「いや、お酒じゃなくて――えっとお菓子とか。お菓子はダメですかね?でも飲み物とかは――ほら、そこにも水分補給はしましょう的な事書いてありますし」


海夜がそう言いながら壁の方を指差したので見てみると――確かにそのようなことが書かれていた。長風呂注意と水分補給やらやらと、まああれか。注意書きみたいなことか。と俺は思いつつ。


「海夜はお風呂に入りながらまた腹を膨らませたいと」

「なっ、いや――それは――でもせっかくならお湯に入りながら。ちょっと普段はしないことをと言いますか。のんびりと言いますか」


俺はそんな海夜の話を聞きつつ「はいはい」と言いながら部屋へと歩き出す。


「わかったわかった。ちょっといじめたからな。面倒だが。浴衣でも着て飲み物とアイスとかあれば買ってきてやるよ」

「あっ。いや。飲み物だけで――そこまでしてもらわなくても――」

「いいからいいから。海夜は入ってろ」

「——もしかして、先輩がノリノリ?実は先輩が食べたかった?」


おっと、海夜に見抜かれかけたが――俺はそのまま室内へと入った。

なんか後ろから聞こえたが俺は聞こえないふりをしつつ。着替えたばかりだが。さっと旅館の浴衣を羽織った。これなら湯あみ着脱がなくてもだからな。俺はささっと浴衣を着て財布と鍵を持って廊下へと向かった。


その際、海夜が言ってくれてラッキー。と再度思っていたのは秘密である。

なんか海夜にはバレてそうだが――うん。バレてたかな。顔に出ていたかもだしな。

いや、でも非日常的な事したいじゃんである。


ちょっといつもと違う環境でテンション高め?の俺達だった。


俺は部屋を出ると、初めに確認した売店に向かった。

そして特に迷うことなく飲み物などを購入した。って――そこまで種類がないというか。たくさんありそうな感じで同じ種類が多かったり。海夜に何がいいか聞かなかったからな。俺は無難に普通の物を選んだ。


そうそう、こういう時に海夜の好きなココアとかがあったら――なのだが。あいにくこちらにはなかったのでね。ってか。何で海夜普段はココア好きなのに飲まないのだろうな。と、ちょっとだけ買い物時に思った俺だが――まあ部屋へと向かっていたらす具に頭の中からは消えていた。


嫌だってよ。何度も言うが。露天風呂に入りながら――っていうのがね。うん。最高じゃん。テンション上がるじゃん。である。うん。早く戻ろうだったのでね。


俺はちょっと急いで。部屋で待つ海夜のところへと戻ったのだった。

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