第128話 楽しむために準備は大切

トランプ終了後。2人でしばらく星を眺めたあとの事だ。

うん。ちょっとした食後の休憩にはいい感じだっただろう。

俺も結構満腹だったのだが。もう大丈夫。という感じになっていた。


すると――少し星を見て、いろいろ忘れたのか。もうどうでもよくなったのか。俺の隣でニコニコしていた海夜が――。


「あっ、先輩。忘れてました。湯あみ着でしたっけ?あれ受付で借りるみたいですから借りに行きましょう」

「お腹いいのか?」

「よくよく考えたら湯あみ着着たら隠せます」


勝った。と言わんばかりの顔の海夜だった。あれか。俺が星を見ながら何をさせようか考えていたのと同じで海夜もどうすればいいかを考えながら星を見ていたらしい。って――うん。命令はそんなの着ても見れるがな。うん。でも――そろそろ露天風呂もだしな。うん。後ろにある風呂いい感じだから浸かりながら――もいいな。と俺は思いつつ。


「—―借りるのがビキニみたいなら面白いのに」

「ち、違いましたから……って、先輩がキモい」

「おい」

「……嘘です。って、そんなに水着姿—―見たいんですか?」

「まあ……それなりにな」


うん。あの時に、何買ったかちょっと気になってるしな。と、俺が思っていると。


「変態——最低だー」


海夜が楽しそうな表情でそんなことを言ってきた。


「こいつ――」

「はいはい。受付行きますよ。変態さん」

「面倒なやつだな。とりあえず、はいはい行きますよ」


それから俺たちは湯あみ着とやらを受付で借りてきた。

普通に短パンみたいな感じで、海夜は上着?まあ派手とかは全くなく。何というのか――本当に服みたいな感じ。まあ身体が隠れるものだった。

肩だけが見えるようになった。と言えばいいか。あー、まあ太ももから下もだが、変なこと考えていると海夜に怒られるからな。とりあえず借りてきたし。部屋にも戻ってきたから――着替えるか。である。


部屋に戻って来ると海夜がさっと洗面所へと着替えに行ったため、俺は部屋でささっと着替えることになった。


「先輩早く着替えてください。私より遅いと私が余計なもの見るはめになりますからね。ぱぱっと着替えてくださいよ」


そんなことを言いながら海夜は洗面所に行ったのでね。ってか。普通に交代交代で洗面所を使えばいいのでは?だったが――って、すでに俺は着替えを終了している。脱いで履くだけだからな。

ってか。これ――海パンとの違いはなんだろうか?まあ……いいか。うん。気にしなくていいな。


俺がそんなことを考えていると――。


「先輩。着ましたか?」

「着替えた」


洗面所の方から海夜が声をかけてから出てきた。


着替えた海夜は、ちょっと海夜には大きかったらしいが――まあ普通に服と言えば服だった。肩や太ももがいつもより見えるが……まあ、他人に見られるわけじゃないしな。と俺が思っていると。


「……先輩。見過ぎです。着ているのに恥ずかしくなります」

「いや、お腹わからんなー。って」

「もう!ま、マシになりましたよ。へっこみました」

「へー」


そう言いつつ視線を落としてみるが――うん。わからん。っかそもそもパンパンの海夜も知らないしな。見てないし。などと俺が思っていると。


「見るの禁止です」

「はいはい。っか着替えたんだし。風呂入りたいんだろ?入るか?」

「—―はい」


俺が言うと海夜がこちらへと寄って来て、俺の手を掴み外へと向かう。

ってか、なんか、こういう個室の露天風呂だと。入りながら飲み物とか……なんかしたくなるんだよなぁ。そういうのってダメなのかな?って、海夜が居るから無理か。ここで食べ物飲み物の話するとまた怒るかもだからな。俺はそんなこと思いつつ。

さすがにここのガキは飛び込んだりは――しないと思うが一応外に出た時に海夜に声をかけた。


「飛び込むなよ?」

「飛び込みませんよ?」

「かけ湯しろよ?」

「しますよ!って、なんか私子ども扱い――って、ちょっとお湯熱めです」


桶を持ってお湯を触った海夜が言う。俺も海夜の隣にしゃがみお湯の温度を確認してみる。


「—―まあ、ちょっとな。でもこんなもんだろ」


うん。めっちゃ良い湯加減だった。


「ですかね?って、なんか服着てるみたいで変な感じですね。お湯をかけるの躊躇すると言いますか……普段は何も着てないので――」

「脱ぐなよ。対処に困るからな」

「なっ、脱ぎませんし!先輩、今日は変態すぎますよ?」

「忠告してるだけなんだがな」


そう言いながら2人でお風呂。露天風呂に――ならなかった。

何故なら。あれだ、さっき俺が思っていたことをな。お隣の奴も――ってことがありましてね。ちょっと入るのが後回しとなったのだった。

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