第117話 よし今回は壊そう

海夜が俺にくっついてからしばらくの事。


「……すぅ……すぅ……」

「—―はい?」


静かな時間。と俺が思っていると――途中から寝息が聞こえてきたのだった。


いやいや、眠れてもなかったのか?と、俺は思いつつ――動こうとしたが……でもね。まあ今日くらいは――このままでもいいか。動くことをやめて……もう少し俺はそのまま座っていることにした。


いや……ふと見えたね。めっちゃ安心した寝顔が。気持ち良さそうだったからな。動けなかった。


結果。それからさらにしばらくして――。


「……あれ?」


海夜が起きたことにより。やっと俺は姿勢を変えれたのだが――その頃には……。


「……足痺れた」


うん。さすがにずっと海夜も抱きついたままは――だったみたいで、起きるとすぐに俺から離れて。背伸びをしていたのだが――海夜は離れたが……立てない俺だった。

結構長い時間胡坐という同じ姿勢だったからか――うん。マジでジンジン超ジンジンハイパージンジンくらいで足が痺れていた。


海夜が動いて、さあ俺も――って時にはもう超ジンジン。動かすに動かせない。うん。超痺れた。というのが今の状況である。


すると先ほどは寝たことをちょっと恥ずかしがっていた海夜だったのだが。また俺に寄ってきて――。


「先輩。足ツンツンしましょうか?」


とかいうふざけたことを海夜が――めっちゃ楽しそうな顔で言ったのだった。


「こ、この後輩—―喧嘩売ってる!?って……痺れたー。マジで――あー」


俺が1人ジンジンと戦っていると――。


「とーっても――触りたい。先輩が泣くとこ見たいです」

「海夜—―怒るぞ?」

「大丈夫です。優しくいじめてあげます!」


とか言いながら海夜は目を輝かせながら――。


……ツンツン。


絶賛痺れている足を突っついてきたのだった。うん。それはもう――。


「—―!?!?」


……ツンツン。


「ぎゃああ」

「—―楽しい」


……ツンツン。


「—―!!」


……ツンツン……ツンツン。


この甘えん坊馬鹿がー!と、心の中で叫び……俺は死んだ。うん。めっちゃツンツンって攻撃力高かったんだな。足がハイパージンジンの時に触るのは危険すぎる。である。

絶対良い子は足が痺れている人の足をツンツンしてはいけません。うん。悲鳴。


いやいや、ホントに。

俺めっちゃこの時足痺れてたわけ。産まれたての子ヤギみたいに。プルプルだったわけ。全く動けなかったわけ。なのにこの笑顔の後輩。甘えん坊馬鹿は――ツンツンしまくってきた。うん。こういう時は教育が必要である。


……許さん。いや、逃がさん。である。

しばらくして、何とか俺の足が正常になると、俺の横にちょこんとしゃがんだ海夜が……。


「先輩。可愛かったです。にひっ」


そんなことを笑顔で言ってきた。

その時に多分海夜は油断していたのか。ピンクの布がチラリとしゃがんだ際に見えていたが――いや、俺はまだ立ち上がっていなかったのにね。海夜は横にしゃがんできたからな。角度的に見えてしまったのだが――まあそれは今のところおいておいて――。


俺は、隣にのこのことやって来た甘えん坊馬鹿をこの後再度抱きしめてやった。

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