第116話 先輩は馬鹿です2

なかなか正座が解除されない現状。

俺は家に帰ってきてから――なんかほとんど時間正座をしているという状況だった。まあ海夜もしてるんだがな。

ちなみに今は――。


「先輩。私……怖かったです」

「まあ今も聞いたし。囲まれてたからな、あと襲われかけてたみたいだからな」

「……はい。だから――」


うん。この雰囲気は厄介なことを海夜が言ってきそうだったので――。


「ゆっくり休め。以上、解散!」

「違います!」


海夜が耳元で叫ぶ。うん。強制終了は出来なかった。


「う、うるせー」

「……その――」

「なんだよ」

「……だ、抱っこしてください」


海夜が小さな声でそんなことを言いながら――俺のへと近づいてきた。


「—―正座やめていい?」

「無視してきた!なんでですか!」

「違うからな?ほら、胡座の方が楽なんだよ。正座で海夜をその――抱くとか。体勢的になんかつらいというかな。うん」


俺はそう言いながら胡座になり。近寄ってきていた海夜に手招きをすると――素直に海夜が俺にくっつき。コアラみたいになった。うん。コアラだわ。

こいつ足まで絡めてきたよ。制服のままだからスカートだろが。足開くみたいなポーズいいのかよ。まあ――俺が居るから誰にも見られないからだろうと思うが。と俺が思っていると――。


「……先輩の匂い」

「おい」


いきなり匂いを嗅がれた。


「海夜。気持ち悪いことを急に言うな」

「先輩の香りがやっぱりいいです」

「聞けよ」

「……あと先輩。今は発情しないでくださいね?」

「意味わからんこというな!」


うん。こいつはくっついたらくっついたでいろいろ言ってくるな。と俺が思いつつ目の前にある海夜の顔を見ると――嬉しそうな顔をしつつ。


「今は……抱っこ。この姿勢がいいです。安心します」


「……甘えん坊コアラ」

「はい?なんですか?」

「その名前で返事するのかよ……」


俺は呆れつつも……まあ確かに怖かったみたいなので、海夜の背中に手を回した。


「先輩。もっとぎゅっとしてください」

「—―甘えん坊」

「もっとです」

「ハイパー甘えん坊」

「今は何を言われてもこのままです」


海夜がそんなことを言いながらしがみつくので、抱きしめがてら――。


「ってか、海夜の方がいい香りだな」

「ふぎゃぁあ!?」


うん。突然海夜がパニクった。が。抱きついているため動けず……なんかもごもごしていた。うん。そして海夜が動くと――いい香りがーだった。なんでこいついつもこんないい香りするんだろうな。柔軟剤とかか?と俺が思っていると――。


「先輩。息したらダメです!」

「死ぬよ」

「大丈夫です」

「—―何が大丈夫なんだか」

「匂い嗅ぐとか――ダメです。変態ですか」

「いい香りだけど?って少し前の海夜はどうなんだよ」

「—―先輩」


すると少し前の事は触れてはいけないというか。あれはノーカウントだ。という感じで海夜がちょっと拗ねつつオーラを出してきたので……。


「はいはい。悪かったよ」

「です。お風呂入った後とかなら――大丈夫です」

「何言ってるんだか。こいつは――」


それからしばらく海夜は離れなかった。しっかりと俺にくっついて――癒されていたらしい。何か――何回も首筋でクンクン。という匂いを嗅いでそうな雰囲気があったのだが――まあ触れないで置いた。ちょっとくすぐったかったがな。

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