第108話 とある集団のお話

高校の校舎裏で数人の女子グループが昼休みを過ごしていた。


「ここのところ面白くなーい」


派手目のリーダー格の生徒が言う。


「ほんと。暇」

「海山道のやつ。雰囲気変えてから近寄り難くなったから、ボンボンからお金貰えないし」

「だねー。まあ地味に強気でーで、なかなかもらえなかったけどねー。ボンボンなんだから分けてくれたらいいのに。友達なんだし」

「あんた友達だったんだ」

「そりゃもう。私の財布」

「そういや、調子乗って、定期券割ったお方がいましたねー。友達を財布とか言っているお方?」

「だ、だれかなー。そんなひどいイジメするのは――」

「「「あんたっしょ」」」


笑いが起こる。なお。この集団の周りには――他の生徒は寄って来ていなかった。

まあ普通に近寄りがたい雰囲気ということもあるだろうが――ホント誰も近寄っていなかった。


「いやいや、あれは流れ。流れで。ってかあんな簡単に割れるわけ?ちょっと踏んでみただけじゃん」

「踏むって言う発想が出るのがなかなかと思うけどねー」

「ってか、結局あれから海山道どうしたんだろ?」

「知らない」

「知るわけないし」

「歩いて帰ったんじゃない?確かあの時もお金ない。とかずっと言って結局もらえなかったし。だから誰かさんがイラっとして踏んだんだもんね」

「ほんと誰かなー」

「ってか。そんな昔のことよりさ。あのボンボンなんなの?最近1人のくせにイキイキして」

「あれでしょ?大学の人と仲良いとかなんでしょ?だから幸せーみたいな」

「噂マジなの?」

「ほんとらしいよ。昼休みは毎日会いに行ってるみたいだし」

「あー、あれでしょ?ほら一回私たちの前にも来たじゃん」

「……あー、あのおじさん?えっ?あんなのが好みなの?趣味悪っ」

「誰?」

「いやいや、あんたも居たよ?」

「昔の事はわからないわー」

「おばあちゃんか!」

「誰がおばあちゃんか!」


また笑いが起こる。


「ってか。海山道って年上が好みなの?」

「知らない。興味ないし」


などと、女子グループが話していると。先ほどまではほとんどの生徒が彼女らを避けていたが――。


「高校におばあちゃん混じってんのか?」

「何楽しそうに話してんだ?」


そんなことを言いながらちょっとチャラめの男子2人が飲み物を飲みながら彼女らのところへとやってきたのだった。


男子が混ざったことでまた話が始まった。


しばらくは先ほどまで話していたことを再度男子にも話して……。


「あー、海山道?おまえらあのかわいい子にちょっかい出してるのか?かわいそうじゃん」


男子の1人がそんなことを言いながら笑ったが……この男子は全て知っている。彼女らの行動を。そして自分もそれに加わったことがある。それはもう1人もで――。


「あー、女子怖い怖い」


とか言いつつ笑っていた。すると、女子の1人が……。


「っか、あれじゃない。男子使えばよくない?」

「あー、なるほどなるほど。」

「無理矢理。怖がらしてみるか」

「恥ずかしいことさせたら、仲良しのおじさんにも相談しないしょ」

「なるほど」

「ヤバイね」

「ヤバイヤバイ」

「ヤバイわ」


その場でヤバイコールが起こっていた。

彼女らの中ではよくあること。


ちなみにそれを見ていた男子たちは……。


「あれ?俺ら忘れられてる?」

「いやー、違うだろ。使われそうなんだよ。俺達。っか。なんか盛り上がってるなー」


などと話してると。


「男子ー、海山道襲ってきて」


リーダー格の女子生徒が笑いながら男子に言ったのだった。


「はい?」

「何だって?」


男子2人が反応する。


「だから、襲ってきて」

「いやいや、なに言ってだよおばあちゃん?」


男子の一人が笑いながら言う。


「誰がおばあちゃんか!」

「ってか、襲って。ってより。誘ってきて」

「うわー、裏あるわ。っか今既に裏を言ったか」

「だな。こいつら怖っ」


男子2人が笑いながら話す。するとリーダー格の女子生徒が……。


「海山道連れてきたら、海山道自由にしていいよ?私たちボンボンのお金しかいらないし」

「っか俺達も遊びに行きたいんだけどー。っか海山道なら自由に使ってみたいわ」

「じゃあ連れてきて?」


リーダー格の女子生徒と、男子の方の乗り気の生徒が話していると……。


「俺はあんま海山道じゃーな。俺は微妙タイプじゃないし」


もう1人の男子がそんなことを言っていたので、それに対して乗り気の男子生徒が――。


「そうか?ガタガタ震えてたらかわいいんじゃないか?」

「おまえの趣味もなかなかだよなー」

「泣かせたら面白そうじゃん。普段見れない姿とかゾクゾクするし」

「やっぱわからんわー。お巡りさんとかじゃなくて病院紹介しようか?」

「なんで病院なんだよ」

「精神科?」

「俺正常だぞ?」

「危ないわー」

「まあ、休み時間に声かけるかー」

「なんか話が進んでるが――俺の予想では無視されるな。おまえキモいから」

「キモい言うなよ。まずは挨拶だろ?積極的に挨拶で頷けばokだろ?」

「付きまとうと挨拶は違うだろ。まあ面白そうだが」

「とりあえずおまえも付き合えよ。クラス違うからな。俺一人は嫌だわ」

「1人で何もできない奴だった。と」

「勝手にまとめるなよ」

「まあ、面倒だが……どんな奴かは気になるからな。ぼっち美少女」

「ぼっち美少女?」

「いや、一人でばかり居るって聞いたことあるしな」

「ビッチ美少女かいいなー」

「こいつの頭はもなかなかー。やっぱり病院行ってきた方がよくないか?」


男子2人がそんな話を話していると――。


「男子なに話してんの?」

「さあ?」

「謎」

「キモいのはわかったけど。何かしてくれるみたいだからまかせとこ」

「だね」

「まあ、まかせとこ。で、あとでカラオケだね。まあ海山道が金持ってたらだけどー」

「でもまた渡しません。やらやら言われるんじゃない?」

「そもそもあいつ金持ってないかもだよねー。前もどんどん渋り出したし。盗んだ方が楽?あいつチクらないし」

「まあ持ってなかったらー男子に渡して私たちは男子の金で」

「うわー、ひどー」

「ってか男子……聞いてないし」

「なら勝手に決定っと」


――多分周りを通過していた生徒は彼女、彼らが話していたことは……理解出来ず通りすぎていただろ。

そもそも関わりたいと思う生徒は――だったのでね。

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