第92話 GWはいろいろある11
ベッドの中央で布団に丸まっている海夜。
どうやら俺の言ったことでご機嫌斜め?になってしまったのか。
ベッドを占拠してきたのだった。
「っか、その寝方されると俺の寝場所ないじゃん」
「……知りません」
布団の中から小さな声が返ってきた。
まあ、冬じゃないし。床でもいいが……と俺は思いつつも。
今日はいろいろあって疲れたし。普通に布団で寝たい。うん。布団に入れてもらおう。ってことで……。
「はいはい、悪ーござんした」
と言いながら布団をめくると……。
「――なっ!?」
うん。可愛く丸くなっていた海夜と目があった。特に布団を握っているとかではなく。本当に布団の中で丸まっているだけだった。
なんか猫みたいだな。と俺が思っていると……。
「……急に捲らないでくださいよ」
ちょっと怒られた。って別に捲るくらいいいだろう。と思いつつ。
「いやいや、真ん中陣取るなよ」
「じゃ……先輩。抱っこ」
甘え声パート2とか言っておこうか。ちょっと恥ずかしそうに海夜がそんなことを言ってきた。
「子供か!?」
「――抱っこ」
パート3である。
「ガキじゃん」
「抱っこ」
パート4……うん。何回言うつもりだろうか――ってホントいつまで続くんだよってことで――。
「何回言うんだよ!?言いながらめっちゃ恥ずかしそうだし――はぁ……」
俺がそう言いながらベッドに腰掛けると、海夜はむくっと起き上がり――。
そっと俺に近寄り……くっついてきた。
まるで子猫みたいだった。うん。今日は子猫というか……猫にでもなりたいのだろうか。こいつ……と俺が甘えてくる海夜を見ると……。
「……」
「海夜?どうした?なんかやっぱさっきからおかしくないか?」
「おかしくないです。情緒不安定なんです」
「ダメじゃん。ってか。どうした?」
「大丈夫です。先輩が抱きしめてくれれば大丈夫です」
「謎なやつだなぁ……」
でもまあ自分から――情緒不安定とか。なんか言い出したんでね。
こういう時に突き放すのは……なので俺はそう言いながら海夜を引き寄せ足に乗せた。相変わらず軽い。である。簡単に持ち上げれたよ。とか俺が思っていると、海夜はすぐに抱きついてきた。
「――先輩」
「うん?」
「しっかり抱きしめてください」
「なんだよ。急に」
「先輩エネルギー不足ですから」
「また意味わからん事を……」
とりあえず俺は自ら情緒不安定とか言っているやつをしばらく抱いてやっていると……。
「……すぅ……」
「――寝た?」
うん。少しすると普通に寝息が聞こえてきたのだった。
「……すぅ……すぅ――」
「マジかよ」
うん。海夜は気持ち良さそうに人に抱かれながら寝ただった。うん。本当に寝たよ。ほっぺを突っついても……起きなかったしな。
「はぁ……っか、抱いてるとあったかい。っか。なんか。離したくなくなるが。寝たからね。寝かしてやらないとか。やっぱり疲れてたのか――」
ちょっと離すのは――寂し感じもあったが俺は向きを変えて海夜をベッドにそっと寝かせた。
にしても無防備というか。うん。こいつ安心しきっているというか。
まあいろいろ俺は思いつつも。俺は電気を消して海夜の横に寝転んだのだった。
――が。
それから少しした頃だった。
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